わたしゾンビ
あかるい満月の夜
永い眠りからさめて
墓場を抜け出した
しめった闇の匂いに
熟れた花の香り
どこからか漂ってきて
不思議な心持ち
街はゴーストタウン
死に絶えたように寝静まり
人っ子ひとりいない
今夜は自由気まま
なんだか上機嫌
朽ちた布を引きずり
腐った肉を滴らせ
大通りをゆく
鼻歌うたいながら
足取りもはずみながら
向こうからやってきたのは
ひとりの美しい骸骨
広場の時計塔が0時の鐘を打った
白い骨の手に
爛れた肉の手を重ねて
満月のしたで踊る
石畳と骨が打ち鳴らす
軽快なリズム
夢中で駆けるステップ
朽ちた布をひるがえして
腐った肉をまきちらして
あら わたし
あなたと同じになれたわ
体が軋むほど抱きしめて
歯がぶつかるようなキス
こんな時に下手くそなんて
野暮は言いっこなしよ
いつのまにか集まってきた
黒猫 コウモリ お化けかぼちゃ
死神 魔女 吸血鬼
みんな手をつないで
輪になって踊りましょう
今夜はお祭り騒ぎ
あかるい満月のした