終わりと始まり(池澤夏樹/朝日文庫)
この人の小説を、読んだことがない。ときたま新聞で見かける評論から、まっとうな知識人というイメージを持っているが、実は大昔に、この人が有名になる前の翻訳の仕事を読んだことがある。カート・ヴォネガットの「母なる夜」。重い寓意が、軽い独白体で語られる、ナチスをめぐる物語。
「終わりと始まり」は、池澤夏樹が朝日新聞に連載したコラムで、ちょうど東日本大震災の前後の時期に書かれたもの。題名は連載開始時に決まっていたから、象徴的な題名になったのはたまたまだが、やはり震災に関連することに多くのページがさかれている。
今の日本の状況では、少し左寄りの、という評価になるのかもしれないが、その主張や立ち位置にかかわらず、この人の言葉はまっすぐに届き、心によく響く。それは、言葉を発する以前の、思索の質に支えられているのだと思う。
だからといって、それでは小説を読んでみよう、とならないのが、この読書日記の、少し偏ってるところ。
この人の小説を、読んだことがない。ときたま新聞で見かける評論から、まっとうな知識人というイメージを持っているが、実は大昔に、この人が有名になる前の翻訳の仕事を読んだことがある。カート・ヴォネガットの「母なる夜」。重い寓意が、軽い独白体で語られる、ナチスをめぐる物語。
「終わりと始まり」は、池澤夏樹が朝日新聞に連載したコラムで、ちょうど東日本大震災の前後の時期に書かれたもの。題名は連載開始時に決まっていたから、象徴的な題名になったのはたまたまだが、やはり震災に関連することに多くのページがさかれている。
今の日本の状況では、少し左寄りの、という評価になるのかもしれないが、その主張や立ち位置にかかわらず、この人の言葉はまっすぐに届き、心によく響く。それは、言葉を発する以前の、思索の質に支えられているのだと思う。
だからといって、それでは小説を読んでみよう、とならないのが、この読書日記の、少し偏ってるところ。