少し偏った読書日記

エッセーや軽い読み物、SFやファンタジーなどの海外もの、科学系教養書など、少し趣味の偏った読書日記です。

鳥肉以上、鳥学未満。

2023-05-12 20:56:22 | 読書ブログ
鳥肉以上、鳥学未満。(川上 和人/岩波書店)

著者は鳥類学者。

このブログを始めてまもなく、定期更新も写真掲載もしていなかった時期に、この人の本を2冊続けて紹介したことがある。『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』と『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』。

少し変わった題名だと感じる方が多いと思うが、内容はそれ以上にユニークだ。

で、今回は、ニワトリの各部位を取り上げて、その構造や進化論的背景、他の鳥と比較しての特徴などを論じる。取り上げる部位は、胸肉から始まって、ささみ、手羽元、手羽中、手羽先、モモ肉・・・と続き、ボンジリ、皮、頭で終わる。(プロローグとエピローグに、ニワトリと卵に関する、あの有名な問いが取り上げられている。)

また、肉だけでなく、関連する骨や羽についての記述もある。全体として、(あるタイプの)恐竜の直系の子孫である鳥類について、ニワトリの部位をネタに縦横に語る、という内容になっている。(トリのトリビア満載。)

この人の文章には、おふざけがいっぱい出てくるのに、そのネタ元がわからない、とか、他事記載だらけなのに学術的な内容もみっしりで、軽く読み飛ばせない、という、フラストレーションがたまる要素が、確かにある。

だから万人にはお勧めできない、そういうタイプの本。ハマる人にはハマるはず。