少し偏った読書日記

エッセーや軽い読み物、SFやファンタジーなどの海外もの、科学系教養書など、少し趣味の偏った読書日記です。

幻の女

2021-05-08 07:00:00 | 読書ブログ
幻の女(ウイリアム・アイリッシュ/ハヤカワ文庫)

ハヤカワ文庫のミステリー。HMの記号がついたハヤカワ文庫を買うのは、30数年ぶり、と書いたのは2週間前だが、その時に紹介した『あなたに似た人』と同じ時に買ったもの。(もう、他にはない。)

3月まで実施されていた「ハヤカワ文庫創刊50周年記念フェア」の帯がついており、江戸川乱歩に「世界十傑」と評された海外ミステリのオールタイムベスト、との宣伝文句。解説でも、池上冬樹氏が「古典中の古典であり、読んでいて当たり前」と書いている。

不明にも未読だった私は、かなり期待してページをめくった。

「死刑執行日の150日前」という章から始まる物語は、だんだんとその数字が減っていく。妻と食事してショーを見るはずだった夜、主人公は妻と争い、外に飛び出して、見ず知らずの女を見つけて予定の行動をとる。家に帰ると妻は殺されていて、アリバイを証言するはずの女は、不幸な偶然の積み重ねで、誰も見ていない、という。果たして彼は助かるのか、という趣向の作品。

さほど推理小説を読み込んではいないが、オールタイムベストという評価と、推理ファンでなくても読んでおきたい、ということについては、何の留保もなく、賛同したい。