少し偏った読書日記

エッセーや軽い読み物、SFやファンタジーなどの海外もの、科学系教養書など、少し趣味の偏った読書日記です。

スマイリーと仲間たち

2020-11-01 18:08:26 | 読書ブログ
スマイリーと仲間たち(ジョン・ル・カレ/ハヤカワ文庫)

ジョン・ル・カレのスマイリー三部作の完結編。

何が完結するかというと、ソ連のスパイマスター、暗号名『カーラ』とスマイリーとの因縁の対決。

ソ連からの亡命者が殺されたため、前作の作戦終了後、サーカスを引退していたスマイリーが呼び戻される。彼はほぼ単独でスパイ活動の現場に戻り、記憶と記録と工作員の行動原理から、真相に近づいていく。

その過程のリアリティーが、本作の魅力のすべて。30年以上前に出版された有名作品ではあるが、少しもネタバレせずに紹介しようとすれば、多くのことは書けない。このシリーズを通じて読者の気がかりであった妻との関係も、劇的ではないが、一応の終結に至る。

そして、ラストシーンは、いかにも冷戦時代のスパイ小説らしい、とだけ言っておきたい。