今年は「牛伏川階段工」完成100周年です。
その記念行事の第一弾として現地見学会があったので参加しました。
この川は記録の残る江戸時代より洪水を繰り返していて、その被害は信濃川を通して新潟港まで及んだとのことです。その対策が求められていて、明治になって内務省(国)の工事、県の工事が進められてきたそうです。完成は大正7年(1918年)です。フランスのサニエル渓の設計に倣って造られた石段水路で「フランス式階段工」と呼ばれています。重要文化財に指定されています。
完成真近い頃の写真(カードより)です。
ここの石積みは「空石積」(石だけで組んでいてコンクリートなどで固めていない)とされています。
第一号石堰堤は明治19年(1886年)に内務省施行となっています。
手前の大きな石積みは内務省のもの、向こうは後に県で作った(石が小型で揃っている)ものだそうです。
この工事に当たった方は地元の石工さんばかりでなく技術の高い富山からも来られたとのこと…
山の斜面には傾斜地を安定させるために「張石水路」が作られ、「積苗工」が施行されています。
第2号石堰堤は明治19年内務省施行です
丸みを帯びた造りも特徴です。
上流に行くと第3号石堰堤があります。
丸太の橋を渡ると第4号石堰堤です。
その先に二つの川の合流地点があり、一方の川に沿ってもっと上流まで行ってみました。
今も山や川の管理や修復が必要で、このような山の斜面を登る工事用トロッコも設置されていました。
橋を渡って上流を目指します。この橋、おそるおそる渡りました!
山の斜面にはいく筋もの「張石工」(導水路)があります。これは長年経過で土や植物に覆い尽くされていたのですが、この方、三沢明男さんが何年もかかって掘り出されたものです!ここまで毎日通い、手作業で掘り出された努力をお聞きし、驚きと称賛の拍手が参加者からわき起こりました!(許可を得て写真も…)
かなり上流まで石積み砂防水路が施行されています。
このあたりの水路には温泉成分が堆積されています。カルシウムだそうです。
山には明治、大正期の積苗工で植林がされましたが、「林相転換事業」で引き続きこのような木々を植えているそうです。
山の木々は青々と生い茂って、気持ちの良い空間になっています。
おまけは、この見学会で出会った花々…
まずは「クリンソウ」…川沿いのところどころにすてきな花を咲かせていました。
「タニウツギ」(ベニウツギ)はピンクの花をひっそりと咲かせていました。
「タツナミソウ」…花咲く様子が泡立って寄せ来る波にたとえられているとか、たくさん咲いている様子が見たい花です。
びっしりと花を付けた「ヤマボウシ」…見事に花盛りの様子です。
「カンボク」の花もたくさん咲いていました。
なごりの「キバナノヤマオダマキ」がひっそりと咲いていました。
参加記念として「牛伏川砂防カード」の7枚セットを頂きました。
時々出かける牛伏川ですが、防災の観点からこのように詳しい説明を聞くのは初めて…100年の重みを感じつつ先人の偉業に触れてとっても有意義な見学会でした。
秋には松本で牛伏川階段工完成100周年記念「石積砂防シンポジウム」も開かれるので、聞きに行きたいと思っています…
美しいですね~。
災害から守るためのもの、機能的な美しさ?
フランスのサニエル渓というところにはこうした石段水路があるということですね。
100年前にそれを学んだ方がいる・・そして今、土や植物に覆い尽くされていたいく筋もの「張石工」・・導水路なのですね、これを長年かけて掘り出された方がいらっしゃる・・ なんだか歴史的ロマンを感じます~。
「四つん這い橋」・・なんと恐ろし気な橋。私には四つん這いになっても無理!
ん?その下に「ズミ」の説明が見えますねぇ・・
私にとって「ズミ」はこだわりの木。山梨市駅前に「ヤマナシ」が植えられています。でもそれは「ズミ」だとも書いてありました。ヤマナシ=ズミではないと思っていたい私。・・・と さんざんこだわった樹木ですから。
あらら横道に入りそう・・
すばらしい「牛伏川階段工」見学と散策記事。私には到底歩けないこの行程、丁寧に紹介、みせてくださってありがとうございます!
あ、この記事、紹介してこようっと、私のところにコメントを寄せてくださる古賀さんに。牛臥川の階段工はご存知かもしれないけれど こういう丁寧な記事をね。
この「牛伏川階段工」は何度見ても美しいと、カメラを向けてしまいます。
その度、同じ写真になってしまいますが…
この階段状の砂防機能と美しい落水表現とで、近代土木遺産にも重要文化財にもなっているのだと思います。
その設計をしたのは内務省の池田圓男技師だそうです。
この方は内務省の欧州視察でフランスのサニエル渓谷の見学をして、ここを設計したそうです。
そして「張石工」を掘り出された方は本当にすごいです!
かなりの急斜面を手作業で、しかもお一人でこつこつと…
そしてチョウや花に詳しくて、先月の自然観察会に参加してくださって、あれこれ教えていただきました。
「四つん這い橋」…怖いネーミングですが、川は浅く高さもないので大丈夫でした。
そして「ズミ」…これは同じものでもその地によって呼び方が違うのかと思っていました。
霧ヶ峰では「ズミ」と聞き、入笠では「コナシ」と聞いていたので。
この時、この近くにこの木が見当たらなかったのですが、今度行ったよく見てきます。
この日、主催者の予想では20~30人位だった参加者が70人近くも集まって3班に分かれての集団移動…
見落としてしまった部分もあったかもしれません。
6月のコナシの咲く高原は本当にステキで、そんな光景を思い起こしています!
高原の花木のイメージ…山梨市ではそれが駅前にも植えられているのですね。
それはまたどなたの提案だったのか、素敵な選択!
この日の行程は片道2.5㎞位、標高差200m位でした。
興味津々で歩いたのでその時は夢中でしたが、後になって疲れが…
でも拙い記録が残せました。
コメントされている古賀さんはその道の専門家さんなのですよね。
お恥ずかしいですが、見ていただければ嬉しいです…
牛伏川階段工見学会、お疲れ様でした。
本当に素晴らしいですねぇ〜
行こうと思えばすぐにでも行ける場所なのに、まだ行ったことがないという・・・
こんな写真を拝見すると、すぐにでも行ってみたい衝動に駆られます。
でもまぁ当分は無理なので、いつの日か行ってみたい場所にノミネートです♪
(そんな場所がどんどん増えていくばかりで、なかなか消化できない…)
ここは秋の紅葉の時期も素敵でしょうけど、緑が美しい今の季節も良いですねぇ〜
きっと雪景色も素敵なんだろうなぁ…って想像します。
お節介ながら・・・
わたしも広島の堂々川砂留をこよなく愛しているブロ友さん(自然を尋ねる人さん)に、今回の記事を紹介してしまいました。
こちらの記事のURLを勝手に使わせていただきましたが、事後承諾ってことで悪しからず…(笑)
堂々川は今、ホタル舞う季節だそうですよ。
ホタル・・・
子供達の小さい頃は、夜な夜なホタルを見に近所の田んぼに出かけてました。
家の隣が田んぼでしたから、ホタルが家の中まで入ってきたこともあったのですよ。
あれからもう何年もホタルを見てないです。
こちらはコンクリートの水路なので、ホタルの姿はありません・・・
昨日は大変でしたね。
気になっていたのですが、コメントいただけて、ホッとしました。
きっと無事に終わって、経過も良いのだと思えましたので…
でも術後です、くれぐれもお大事になさって下さい。
みさとさんも無理されませんようにと願います。
牛伏川階段工…私は3年前に初めて訪れました。
山麓線は良く通っていてその存在も知っていたのに…
途中の牛伏寺も厄年の時にお参りに行っていたのにです。
それ以来、その周囲の自然にも惹かれて通っています。
四季折々いい所なので、旦那様がお元気になられたら行って見て下さい。
自然を尋ねる人さんはコメント欄で拝見していますが、素晴らしい活動をされておられるのですね。
拙い記事でお恥ずかしいですが、見ていただければ嬉しいです。
私もまたそちらの記事を見せていただこうと思います…
ホタルの時期は広島も信州も一緒でしょうか。
今日は辰野のほたる祭りとか…
人ごみがすごくて、このところほたる祭りには出かけていません。
昔は出かけなくても家の周りでホタルが見られたのに、と思いながら…
それにしても家の中までホタルが入ってきたってすごいこと!
風流ですね。
今年10月に100周年のシンポジウムが開かれるということからご招待をいただき、私もパネラーとしてお話をさせていただく予定です。
こちらは国の自然文化財当方は登録有形文化財私たちの管理場所とは違って素晴らしいです。
チラシと主催者のレポートだけで牛臥川を知っていましたが見ると聞くとは大違い訪問前に教えていただき感謝します。
みさとさんの所でお名前は拝見していました。
拙いブログに訪問してくださってありがとうございます。
堂々川砂留での活動の様子も見せていただきました。
こちらでは「牛伏鉢伏友の会」の方が活動されて案内もしてくださっています。
この秋の100周年記念シンポジウムにいらっしゃるのですね。
パネラーとして登壇予定とのこと!
ぜひそちらのお話をお聞きしたいと思います。
私は一般聴衆としてですが、会場からお目にかかれるのを楽しみにしています。
前日には現地見学会もあるようですので、実際にも見ていただきたいと思います。