昨日、「有馬温泉入初式」が開催されました。
有馬温泉入初式は、江戸時代から続いている伝統行事で、「神戸市地域無形民族文化財」にも認定されています。
有馬温泉を発見されました大己貴命(おおなむちのみこと)、小彦名命(すくなひこなのみこと)と、有馬温泉を再興されました恩人である行基菩薩・仁西上人に、報恩と温泉の繁栄を祈念して行う儀式です。
また、練行列や有馬の芸妓が扮する湯女衆が湯もみ等を行う、新春を寿ぐ行事でもあります。
温泉寺で「としのはじめ」を全員で歌い、練行列が出発します。
湯泉神社の神輿と、行基上人像・仁西上人像を乗せた温泉寺の輿が担がれます。
途中、「金の湯」で初湯をいただき、有馬小学校の文化講堂へ向かいます。
昨年に引き続き、神戸大学の外国人留学生も参加し、国際色豊かな入初式になりました。また、神戸芸術工科大学の協力の下、厄除け札も用意されました。今年の文字は林渓寺住職の書です。
文化講堂では、まず、神式の部として、祝詞奏上、雅楽演奏、玉串奉奠が執り行われます。
続きまして、行基・仁西両師の御像に初湯で沐浴をしていただくため、太鼓の調子に合わせ、湯女が初湯をもんで適温まで冷まします。
仏式の部として、有馬仏教会七カ寺による読経が行われ、参列者による潅仏(行基・仁西両師の御像に初湯で沐浴をしていただく)が行われます。
潅仏に続きまして、入初式の歌を湯女衆が歌い、祓い行事が行われます。
祓い行事とは、茣蓙にまかれた新米を湯女衆が若松の枝で掃き寄せる行事で、集められたお米は縁起物として配られます。
園田学園女子大学名誉教授の田辺眞人先生より、今年の大河ドラマ「軍師官兵衛」と有馬温泉の関係についてお話しいただきました。
文化講堂で入初式は閉式となり、再び練行列は温泉寺へ向かいます。
その途中、観光総合案内所前で、「戻せ、返せ」の行事が行われます。
入初式が終わって帰る輿に、湯女は「戻せ、返せ」となごりを惜しみ、輿は行きつ戻りつします。これは慈悲深い上人を慕い、上人のお帰りを惜しむ様をあらわしたものと伝えられています。
今年も入初式が滞りなく行われ、有馬温泉は新春をめでたく迎えました。
昨年と変わらず、たくさんのお客様に有馬の温泉をお楽しみいただきたいと思います。