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8月の台風被害で今年の国慶節は見送り

2009年10月05日 23時25分23秒 | 台湾ニュース

(2004年の総統府の飾りつけ。「慶祝中華民国国慶」と書いてある。2004年)

今月1日、中国大陸での「中華人民共和国」が「建国」60周年を大規模な軍事パレードで盛大に祝ったことは日本のメディアでも大々的に報じられたはず。これに対して10月10日は中華民国の「国慶節」。建国記念日で、通常ならば総統府前で、中共とは比較にならない規模ながら双十国慶節祝賀大会が行われる。台湾でもかつては軍事パレードがあったが、ここ十年ほどは勇ましい陸・海・空の三軍儀仗隊によるマーチングのパフォーマンスや憲兵隊のパレードを除いて、そんな「戦時色」はほぼ見られなくなった。建国記念で毎年大規模な祝賀大会を催すこと自体、自由民主で、経済的にも世界トップレベルの実力を持つ国として珍しいのではないか。しかし、中共の1000基とも言われるミサイルに常に狙われ、内部的にもエスニックグループ間のわだかまりを抱えている台湾としては、こうした形で毎年、求心力を確かめねばならないのかも。

(2004年の国慶節祝賀大会。憲兵オートバイ隊の行進)

今年はしかし、8月上旬の台風被害で700人を超える死者・行方不明者が出たことから、馬英九・総統は双十国慶節祝賀大会実行委員会の委員長を務める王金平・立法院長(国会議長)と話し合った上で、早々と大会の中止を宣言した。多くの犠牲者が出たことによる自粛と、経費を少しでも被災地の復興事業に回すというのが理由だ。1999年の台湾大地震(犠牲者2400人超)の時にも中止された実績がある。
例年、10月10日にはまず、総統が総統府内で「中枢記念儀式」を行い、それから総統府前に設けられたステージに現れて、祝賀大会での祝辞を述べることになっている。今年、祝賀大会は取り消されたが、総統府内での「儀式」は例年通り行われる。ここでは総統が重要な談話を発表するのが恒例。毎年、中国大陸との関係などについての談話内容が国際的に注目されるが、中国大陸との関係改善に努める馬・総統が目新しいことを話すとは思えない。

(2004年の国慶節祝賀大会では珍しく、士林高級商業職業学校の儀仗隊が大役を果たした)

今年、中共の「建国記念式典」には中華民国総統府の国策顧問らも招かれた。「中華人民共和国」を認めていない馬英九・政権(馬・総統にとっての中国はあくまで「中華民国」)の関係者が、「中華人民共和国」の「建国60周年記念式典」に参加するのはあまりにも理不尽。この話が広がると台湾内部で強い抗議の声が上がり、政府は1日の朝に北京にいる国策顧問らと連絡を取って参加をやめさせた。政府は事前に把握していなかったようで、これらの人たちは発覚していなかったら出席していたのだろうか?
1日朝に自ら総統府と連絡して出席を取りやめたという国策顧問は2日に台湾に戻ると、与野党の立法委員(国会議員)が辞任を求めていることに対して、「国策顧問は無給職だし、平常心だ。去就は憲政体制の決定に従う」と悪びれた様子は見せなかった。さらには「いかにして中国大陸を敵から友に変えるかを考えるべき」と立法委員らに反論。また、政府系株主が50%を超えるチャイナエアラインの董事長(会長)は式典に参加した。呉敦義・行政院長までが「不適切」と指摘する中、この董事長は「あらかじめ報告すべきことでもない」と意に介していない。馬英九・総統はこの件についてコメントせず。
両岸双方の人たちが相手方の「建国記念活動」に参加し合い、笑顔で握手できるようになるのは決して悪いことではない。だが、台湾としてはその前に、こちらを向いている1000基以上のミサイルについてもう一度よく考えてみたほうがいいのでは。(U)

今年、祝賀大会はありませんが、過去の双十国慶節祝賀大会から、いくつかの場面を写真でご紹介します。

(空にはアドバルーン。最近のスローガンは穏やかな文句が多い。2006年)

(陸海空三軍の楽儀隊。リハーサルの写真のため正装ではない。 2004年)

(ライフルを片手で回転させる妙技。勇ましい吹奏楽と共に。2004年)

(2004年の国慶節。子供たちのパフォーマンス)

(原住民族の子供たち。台湾の野ユリの花を使った踊り。台湾では野ユリは民主の象徴。すこしおどろおどろしいイメージでインパクトが強かった。2004年)

(2006年。台湾で最もレベルの高い女子高。国慶節祝賀大会にはほぼ毎回出場する台北第一女子高校、通称「北一女」の儀仗隊。) 

(ライフルを空中に投げ上げてキャッチ。おなじみのパフォーマンスだ)

(右袖には国旗。肩章には誇らしい「北一女」の刺繍)

(2004年。民族色豊かなパフォーマンス)

(総統府は夜にはライトアップされる。2008年)

(特別に設けられる「牌楼」はどの年も美しい。2008年)

(台北賓館の門に飾られた「双十」のマーク。10月10日なので漢数字の「十」を二つ横につなげる。台湾ではこれを見ると、「あっ、国慶節!」という感じ。2008年)

 



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2 コメント

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Unknown (◆G9FlhTJB1k)
2009-10-06 18:58:49
>中共の「建国記念式典」
内容は、http://sankei.jp.msn.com/world/china/091006/chn0910060014000-n1.htm にて把握しました。
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情報ありがとうございます! (U)
2009-10-07 01:53:48
◆G9FlhTJB1kさま、情報ありがとうございます!
なるほど、そんな式典だったんですね。それにしても日本の村山元首相とはなつかしい!かえって新鮮です~ご健在だったのですね。中国大陸はやはりスケールが違う!台湾は人口で1/50ですから比較すること自体無理。でも、「台湾には台湾ならではの良いところがある・・・」と毎日念仏のように唱えています。(笑)
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