rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

中世のタイムカプセル、チェコ共和国のプラハ

2012-12-08 23:43:33 | 街たち
「にじいろジーン 地球まるごと見聞録」ヨーロッパのハート、チェコの首都プラハ。
中世の街並が今なお多く残り、世界中からの観光客で賑わう街へと変貌した。
近年、前衛的な芸術を推奨しているようで、ジシコフ・テレビ塔に設置された黒い赤ん坊や、同じアーティストのはいはいする大きな黒い赤ん坊のモニュメントが市中においてある。
ほかにも、歪んだ建物など、奇天烈な建築物が堂々と市民権を得て面白い。
またヨーロッパでは短命だったキュビズムが、プラハでは建築物や食器などのグッズになって生きながらえている。
ストップ・モーション・アニメーションは、世界的に有名。
人形などを一コマ一コマ動かしながら撮影して作る、時間と手間のかかるもの。
社会主義時代、国家予算をつけて制作したという力の入れようで、そのクオリティーの高さは群を抜いている。
人形などの見栄えに拘るのではなく、ストーリーの練りこみに自信があるという。
「メトロ・シアター」では、ブラックライト・シアターを専門に、ブラックライトで浮かび上がらせたパントマイムやダンスで演じるせりふなしの劇を、1960年代から上演している。

チェコは、ボヘミアン・グラスが有名。
深く精巧なカットが美しいボヘミアン・グラスは、400年前、宝石をカットする回転砥石の転用から生まれたもの。
工房ごとのオリジナルデザインを持ち、ボヘミアン・グラスと似た江戸切子にヒントを得、今ではお猪口など作っている。
プラハから車で一時間半のところに、ボヘミアン・グラスの発祥の地セブロネツがある。
18世紀から続く、一つ一つ手書きで手作りのガラスボタンは、女達の手で生み出されている。
一時期衰退したらしいが、今またその温か味のあるよさが認められ復権した。

プラハのグルメ。
「溺れるソーセージ」ウトペネッツは、唐辛子を入れたビネガーに漬け込んだソーセージのことで、ビールによく合うおつまみ。
スマジェニー・シールは、チーズのフライで、タルタルソースをつけて食べる。
どうやらチェコは、世界一ビールの消費量を誇るというだけあって、ビールに合う食べ物には事欠かなそうだ。

チェコの人は、ヨーロッパ有数の読書好きで、本の友ブックマークが充実。
プラハ城の中、かつて城に仕える人の居住区の黄金小路には、ブックマークの店があり、読書家垂涎の品々を扱っている。
手作りで趣のあるそれらの品は、文房具マニアも、きっと目を輝かすに違いない。

チェコでは、お金が貯まることを願って、財布に鯉の鱗を入れるそうだ。
キリスト教では聖なる日に肉を食べない習慣あり、内陸のチェコでは魚と言えば鯉になる。
それでクリスマスの定番メニューとしての鯉は、幸運を呼び寄せる縁起のよいものということで、その鱗は幸運のアイテムになるのだ。

かつて社会主義で警察国家かつ独裁国家の閉ざされたチェコが民主化され、その手付かずの中世の街並みは、いっきに観光の目玉になった。
おかげで年々観光地化が進み、観光客には快適になっているようだ。
しかし、資本消費社会に蹂躙され、すれっからしにならないとは限らない。
人の心はままならない、奇跡的に残った人類の至宝を、食い尽くさないで欲しいと切に願う。