りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“ミーナ” ―全7場― 2

2012年07月14日 14時49分55秒 | 新作(人形劇用)


    ――――― 第 3 場 ―――――

         下手よりミータ、走り登場。

  ミータ「あなたー!!あなた!!」
  
         上手よりネコ吉登場。

  ネコ吉「ミータ、如何した?」
  ミータ「あの後、ミーナがネコの村を飛び出して行ったみたいな
      んです!!」
  ネコ吉「ミーナが・・・!?」
  ミータ「ええ!!一体如何したら・・・」
  ネコ吉「・・・捜しに行って来る・・・」
  ミータ「え・・・?」
  ネコ吉「私がミーナを突き放したんだ・・・。」
  ミータ「私も一緒に行きますわ!!」
  ネコ吉「駄目だ!!」
  ミータ「でも!!」
  ネコ吉「屹度人間になりたい一心で、人間の町へでも出て行っ
      たに違いない・・・。そんな危険な所へ行くのは、私一人
      で十分だ!!」
  ミータ「あなた!!」
  ネコ吉「大丈夫!!必ずミーナを捜して、無事に連れ帰るから
      ・・・。」
  ミータ「・・・あなた・・・(泣く。)」

         その時、上手よりネコ達、走り登場。

  ネコ1「おーい!!」
  ネコ2「ネコ吉!!ミータ!!」
  ネコ吉「皆・・・」
  ネコ3「ミーナがいなくなったんだって!?」
  ネコ1「俺達も一緒に捜しに行くよ!!」
  ミータ「え?」
  ネコ吉「でも、人間の町へ行ったかも知れないんだ!!そんな
      危ない場所に皆を・・・!!」
  ネコ2「何言ってるんだ!!」
  ネコ3「皆、ネコの村の仲間じゃないか!!」
  ネコ1「そうだ、ニャア!!」
  ネコ吉「皆・・・」

         音楽流れ、ネコ達歌う。

         “皆 ネコの村の仲間
         何かあれば皆で手を取り合い
         協力し合う仲間なんだ
         遠慮はするな仲間だから
         力を合わせて立ち向かう
         どんな難題にも皆で向かえば
         解決出来ないことなんてない
         だからネコの村の仲間達
         遠慮するなんて水臭い
         困った時はお互い様だ!!”

  ネコ2「な!!ネコ吉!!」
  ネコ吉「皆・・・ありがとう・・・」
  ミータ「あなた・・・」
  ネコ3「じゃあ、直ぐ町に・・・!!」
  ネコ1「待って!!反対の方向に行ったかも知れない!!森の
      方へも捜しに行こう!!」
  ネコ2「森・・・?人間になりたいって言ってるのに?」
  ネコ1「もし、一番ネコに出会って、良からぬ入れ知恵を授かっ
      てたら、生まれたばかりのミーナなんて、コロッと騙されち
      まうに違いないぜ。」
  ネコ3「そうだな!」
  ネコ2「じゃあ二手に分かれよう!!」
  ネコ1「よし!!」
  ネコ吉「皆・・・ありがとう・・・」
  ネコ1「俺達は・・・」
  ネコ達「仲間だろ!!」
  ミータ「あなた・・・」
  ネコ2「俺達は森へ行く!!ニャア!!」
  
         ネコ2、3、下手方へ走り去る。

  ネコ1「頼んだぞーっ!!」
  ネコ吉「じゃあ、俺達は町へ!!」
  ネコ1「ああ!!ニャア!!」

         ネコ吉、ネコ1、上手へ走り去る。

  ミータ「あなた・・・!!あなた!!気を付けて!!ミーナを・・・
      ミーナを無事に捜して来て下さいね・・・!!」

         ミータ下がる。

    ――――― 第 4 場 ―――――

         紗幕開く。と、森の中。
         音楽流れ、下手よりノラ猫のノラ、ゆっくり
         登場。歌う。

         “ネコの村を追い出され
         一人彷徨うこのオイラ
         薄暗いこの森の
         中でひっそり暮らすのさ
         別に悪いことした訳じゃない
         ただちょっと悪戯過ぎただけ
         なのにあいつは見逃され
         オイラ一人が村の外
         ああ頭にくるぜ本当に
         何か気晴らし見つけるぜ”

  ノラ「本当忌々しい奴め・・・。どうしてオイラだけネコの村を追放
    されて、あいつは温々と・・・しかもネコの村の番人なんて言
    う役目をまんまと仰せつかりやがった!!・・・なんて調子の
    いい奴なんだ!!全く・・・!!ああ・・・頭にくる・・・!!何か
    面白いことはないかねぇ・・・。この退屈な毎日・・・ホント飽き
    飽きするぜ・・・。(上手方を見て。)おっ・・・向こうから、いい
    カモになりそうな子猫がやって来るじゃないか・・・。あいつを
    ちょいと誑かせて、楽しませてもらうとするかな・・・。へっへっ
    へ・・・」

         ノラ、後ろの木の陰に身を隠す。
         上手よりミーナ、走り登場。

  ミーナ「(上手方を見て。)1番ネコさーん!!早くー!!早く、こ
      っちよー!!もう遅いなぁ・・・。ネコって、もっと機敏に動
      けるんじゃないのかしら。(溜め息を吐く。)」

         音楽流れ、瞳を輝かせ、彼方に思いを
         馳せるようにミーナ歌う。

         “もう直ぐ叶うわ 私の願い
         ずっと夢見てた人間に
         なれるわきっと
         もう直ぐよ
         生まれる前から憧れた
         長い足と風に靡く綺麗な髪
         こんな風になると望んだ
         私の本当の姿なの”

  ミーナ「(上手方を見て。)もう仕方ないなぁ・・・。まだ、あんなに
      遠くにいるんだから・・・。暫くここで休んで待ってよっと・・・
      。(回りをキョロキョロ見回す。)」

         ノラ、木の陰からゆっくり登場。

  ノラ「こんにちは・・・」
  ミーナ「(振り返り、ノラを認める。)・・・こんにちは・・・。あなたは
      ・・・」
  ノラ「俺様はノラ猫のノラ。この美しい森の中に住んでいる・・・。
    おまえさんは・・・」
  ミーナ「私はミーナ!今の私、猫に見えているかも知れないけど
      ・・・」
  ノラ「ああ、猫にしか見えないけど・・・?」
  ミーナ「私、もう直ぐ人間になるの!」
  ノラ「・・・人間・・・?」
  ミーナ「ええ!!人間よ!!」
  ノラ「(独り言のように。)へぇ・・・こいつは可笑しなことを言う子
    猫だ・・・。(何か思いついたように咳払いをして、ミーナに向
    く。)そうか!人間になるんだったら、是非こいつを持ってな
    くちゃならねえな。」
  ミーナ「何・・・?」
  ノラ「(袋の中から、ガラスの破片を取り出す。)ほら!!(ミーナ
    の方へ差し出す。)」
  ミーナ「(ガラスの破片を見て。)・・・それ・・・何?」
  ノラ「人間の女が皆持ってる“身だしなみ”さ。」
  ミーナ「・・・身だしなみ・・・?」
  ノラ「ああ。ほら、この中を覗いてみな。おまえさんの姿が映って
    いるだろ?人間の女は皆、この中に映る自分の姿を見て、
    美しく身なりを整えるのさ。」
  ミーナ「へぇ・・・。(興味津々に見て。)これ欲しいわ!!私にく
      れる?」
  ノラ「(笑って。)そりゃあ無理だな。こいつは大事な売りもんだ。
    どうだ、買わねぇか?安くしといてやるぜ。」
  ミーナ「でも・・・私、お金なんて・・・」

  一番ネコの声「おいおい、そんなチビネコに何ふっかけようとし
           てんだ?」

  ノラ「ん・・・?誰だ?」

         その時、上手より一番ネコ登場。

  一番ネコ「よお、久しぶりだなぁ。」
  ノラ「・・・おまえは・・・一番ネコ・・・!!」
  一番ネコ「元気そうじゃないか。(笑う。)」
  ノラ「くっそう・・・!!何で俺一人が追放で、おまえは無罪放免
    なんだ!!」
  一番ネコ「何のことかなぁ・・・」
  ノラ「何のこと!?よくもそんな白々しいことを言えたもんだ!!
     」
  ミーナ「あの・・・」

         音楽流れ、ノラ歌う。

         “おまえが考えた悪だくみ”

  一番ネコ「知らないなぁ・・・」

         “おまえが俺をそそのかした”

  一番ネコ「よっく言うぜ・・・(笑う。)」  

         “おまえの口車に”

  一番ネコ「おいおい、ネコ聞きの悪いこと言うなよ・・・」

         “まんまと乗せられた初なこの俺様”

  一番ネコ「誰が“初”だって?“初”って言うのは、こいつみたい
        な奴のことを言うんだぜ。」
  ミーナ「初・・・?」
  一番ネコ「ああ・・・。おまえさんのように生まれたて・・・純粋無垢
        な子猫のことさ。」
  ミーナ「ふうん・・・」
  一番ネコ「初な子猫は、この世の中のことをまだ何も分かっちゃ
        いねえ。そんな危なっかしい奴が、ウロウロと親元を
        離れてこんなとこに来てたんじゃあ、こいつみたいな
        悪いノラ猫に騙されたって文句の一つも言えないぜ、
        全く・・・」
  ノラ「誰が悪いノラ猫だ!!おまえだって同じだろ!!元はと言
     ば俺たちゃ手を組み悪事を働いてた悪いネコ同士・・・」
  一番ネコ「ばぁか!そんな昔の話し、知るもんか!俺様は今じゃ
        村にはなくてはならない、迷えるネコ達の指針・・・おま
        えなんかと一緒にされちゃ適わないんだよ。」

         一番ネコ歌う。

         “おまえが勝手に考えた”

  ノラ「何だと・・・!?」

         “誰も仲間になろうだなんて”

  ノラ「よくもそんな抜け抜けと・・・」

         “思っちゃいねえぜ笑わすな”

  ノラ「ふん!!ああそうかい!!もういい!!昔の話しなんざ、
    止めだ止めだ!!それより俺は、今このお客と話してんだ。
    これ以上、余計な邪魔するのはよしてもらおうか。どうだ?
    おチビさん、その首に掛かってるキラキラしたもの・・・そいつ
    と交換で、この大切な“鏡”をおまえさんに譲ってやるぜ?」
  ミーナ「かがみ・・・?」
  ノラ「こいつが欲しいんだろ?人間のレディの身だしなみだ。」
  ミーナ「ほんとに、こんなもので・・・その“かがみ”を私にくれる
      の・・・?」
  ノラ「ああ・・・。この優しいノラ様が一生懸命なおまえさんにだ
    け、特別価格で譲ってやろうってんだ。」
  ミーナ「・・・じゃあ・・・(首輪を外そうとする。)」
  一番ネコ「おい、ミーナ!!そいつはおまえが誰かを証明する
        大切な首輪だ!!外しちゃならねぇぜ!!」
  ミーナ「え・・・?」
  一番ネコ「おまえにはちゃんと“両親”ってもんがある!それは
        その証拠だ。」
  ノラ「チェッ・・・余計な口出ししやがる・・・(横を向く。)」
  ミーナ「りょうしん・・・?」
  一番ネコ「俺やこいつみたいな生まれも育ちも分からねぇノラ猫
        は、そんな首輪は持たねぇんだから・・・。」
  ミーナ「ノラ・・・ネコ・・・」
  一番ネコ「おまえには、おまえのことを心配してくれる父ちゃん
        や母ちゃんがいるんだろ?」
  ノラ「そいつは“人間”になるんだ、オヤジやオフクロなんて必要
    ないだろ。」
  一番ネコ「(ノラのことは無視するように。)屹度今頃おまえのこ
        とを捜し回ってるぞ・・・」
  ミーナ「嘘よ・・・」
  一番ネコ「ちゃんと父ちゃん母ちゃんに、人間になるんだって言
        って出て来たのか?」
  ミーナ「(首を振る。)」
  一番ネコ「ほうらみろ。黙って飛び出して来た子どもを、心配しな
        い親なんてこの世にいるもんか。」
  ノラ「よく言うぜ・・・。その親に生まれて直ぐ、道端に捨てられた
     のは、どこのどいつだ。」
  一番ネコ「それは・・・」
  ノラ「だからおまえも俺も“のら”なんじゃないのか!?」
  一番ネコ「違う!!屹度何か理由が・・・」
  ノラ「何てお幸せな奴なんだ、そんな風に思えるなんて。(笑う。
     )」
  一番ネコ「煩い・・・!!」
  ミーナ「一番ネコさん・・・」
  一番ネコ「おまえこそ、そんな風にいじけた心を持ってるから、
        村を追い出されたりするんだ!!」
  ノラ「なっ・・・何だと・・・こいつ・・・好き放題言いやがって!!(
     一番ネコに殴り掛かる。)」
  一番ネコ「俺様とやろうってのか!!(応戦する。)」

         一番ネコ、ノラ、殴り合いの喧嘩になる。
 
  ミーナ「やめて・・・やめてよ、2人共!!」

         そこへ一羽のハト(豆吉)、上手後方より
         飛んで来る。

  豆吉「(一番ネコを認め。)あ!一番ネコさん!」
  一番ネコ「ん・・・(手を止める。)」
  豆吉「やっと見つけた!」
  一番ネコ「豆吉・・・」
  豆吉「随分捜したよ!」  
  ノラ「おい!!やるのかやらねえのか!!」
  一番ネコ「煩い!!」
  豆吉「あれ・・・?ノラさんじゃないか・・・。久しぶりだね!」
  ノラ「豆吉・・・」
  豆吉「今までどうしてたの?村で見かけないから、心配しちゃっ
     た。(笑う。)」
  ノラ「ふん・・・」
  豆吉「一番ネコさんとノラさん、2人揃ってこんなところで何して
     たの?また昔みたいに2人で・・・」
  一番ネコ「それより豆吉こそ、こんなところまで・・・俺を捜しに来
        たのか?」
  豆吉「あ・・・うん!オイラ、今ネコの村から使いを頼まれて、捜し
     者をしてるんだ。物知り一番ネコさんに聞けば、居所が分
     かるんじゃないかな・・・と思ってさ。」
  一番ネコ「で?捜し物って何だい・・・?」
  豆吉「うん、ミーナって言う子猫を捜しているんだ・・・。」
  一番ネコ「え?」
  ミーナ「ミーナ・・・?」
  豆吉「うん・・・」
  ミーナ「・・・私がミーナよ・・・」
  豆吉「本当に!?」
  ミーナ「ええ・・・」
  豆吉「へぇ・・・よーく見りゃ、ネコ吉さんとミータさんに本当そっく
     りだ。」
  一番ネコ「おい、それで何でこいつを捜してんだよ?」
  豆吉「あ・・・そうだ!さっき、町へミーナを捜しに出たネコ達が、
     農薬入りの餌を食べて瀕死の状態で戻って来たんだ。」
  ミーナ「え・・・」
  一番ネコ「農薬入りの餌だと!?」
  ノラ「そりゃあ皆、助からねぇな。(笑う。)」
  一番ネコ「ノラ!!」
  ミーナ「誰が・・・私を捜しに町へ行ったの・・・?」
  豆吉「ネコ吉達さ!」
  ミーナ「パパが!?パパもその餌を食べたの!?」
  豆吉「さぁ・・・そこまでは分からないなぁ・・・皆、大騒ぎしてたか
     ら。兎に角、早く村へ帰って来て!」

         ミーナ、一番ネコ、ノラ残して紗幕閉まる。
         (紗幕前。)

  ミーナ「どうしよう・・・どうしよう、一番ネコさん!!私のせいよ・・・
      私の!!」
  一番ネコ「おい!!おい、落ち着け!!いいか、おまえは直ぐに
        家へ帰るんだ!!」
  ミーナ「え・・・でも・・・」
  一番ネコ「俺が森の薬屋のところへ行って、毒消しの薬をちょい
        とばかし拝借して来てやる!!」
  ミーナ「一番ネコさん・・・」
  一番ネコ「分かったか!!父ちゃん母ちゃんってのは、自分の
        子の為ならどんな危険を冒したって、守ろうとするもの
        なんだ!!」
  ミーナ「一番ネコさん・・・」
  一番ネコ「早く帰れ!!余所見せずな!!(ミーナの背中を押
        す。)」
  ミーナ「・・・分かった・・・分かったわ!!私、直ぐに帰る!!一
      番ネコさん、毒消しの薬をお願いね!!」

         ミーナ、上手へ走り去る。

  一番ネコ「ああ!!任せな!!」









      ――――― “ミーナ”3へつづく ―――――









 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ 


   (どら余談^^;)

   このページの更新、長らくお待たせしてしまいました(>_<)
   中々、頭が新作を書きたいモードに入らなくて、暫く中断状態
   になっていました(-"-)
   ・・・が、漸く子どもも退院し、不自由ながらも生活リズムが
   整ってくると、何かを書きたいスイッチが入って来て、来年春
   公演新作辺りを書き始めようか・・・と思っていたところ、書き
   掛けのこのお話しがあったことを思い出し、春公演の新作に
   取り掛かる前に、こちらを書き上げてしまおうかな・・・と思い、
   書き始めた次第です^_^;
   と、言いつつ、新作と並行して書いて行くことになるので、また
   たまにお休みが入るかも知れませんがお許し下さいm(__)m

   しばらく中断していた・・・と言うことは、全く登場人物の性格
   設定など忘れてしまっていて・・・はてさて・・・上手くつながり
   ますかどうか・・・(~_~;)あまり深く読み下げないで頂けると
   嬉しいです^^;   


   7月6日(金)

   やっと書き上がりました~^^;
   よって、今日より“全7場”となっています(^^)v

   みんないい人・・・ネコ?に仕上げました♥
   

 
   7月7日(土)

   日にち、間違っていました(>_<)
   すみません~訂正致しました^^;





   http://milky.geocities.jp/little_pine2012/index.html

         http://ritorupain.blogspot.com/

     http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta






  




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