~経済ニュースの森の奥~ ・・マクロな視点から。

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No24 金融緩和論争で予想する、メディアプロモーションの世界

2005年11月24日 | 金融・経済全般
来る25日の10月CPI(消費者物価指数)発表は、日銀の量的緩和解除予告コメントの直後のため、いままでにない大きな意味を持つ(ターニングポイント)かもしれません。予想では5ヶ月ぶりに前年比マイナスに終止符を打ち“プラスマイナス0”になるのではないかとされているからです。10月から来年初頭までの折れ線グラフ次第ではいよいよ量的緩和政策からの脱却か否かの微妙な時期にさしかかります。(ただし政策金利は当面上げない見通しです)

今後いつか来るXデーが近づくほど、今よりもっと日銀政策賛成か反対かの大きな論争になるのではと感じます。今は冷静に横目で見つめている人々も次第に賛または否の声を上げるようになるでしょう。そうなると、マスコミ論調が「どちらをより多く取り上げるか」が世論形成で非常に重要なカギを握るはずです。

とてもドライな野次馬的予想をするならば、マスコミによる賛成論調がふくらんできた時期に、日銀は解除を実行してくる・・という見方もできる気がします。
日銀総裁も日々ボディブローを受けながら、ここに来てメッセージを出すことに積極的になってきました。総裁が色んな形でメディアを意識した発言をしはじめたこと自体、行動の前兆としてのプロモーション活動ととらえます。
現在政治権力側からの反対の声が大きいために、マスコミを通じた「世論」サイドを見方につける必要があるからです。

逆に郵政選挙のときのように、(仮に解除に反対だとする)政治家や有識者を一方的に支持するワイドショー的マスコミの熱狂が大きくなった場合、日銀はトーンダウンまたは一旦取り下げざるを得なくなるでしょう。

メディア社会の大きな危険性として、それを巧みに利用できる立場(ビッグマウス)が世論を一気に誘導してしまうという問題があります。(※ビッグマウス:権力者が断言的なフレーズをもって声高にメッセージを繰り返すことをこのblog流に定義しています)
先般の選挙では、ワイドショーや雑誌が喜ぶような話題とキャッチフレーズを提供し主婦層や無関心層を取り込むことに成功した小泉およびブレーンが地味な民主党をことごとく潰したことでやりたい放題の政権が誕生、はっきりとビッグマウス効果が浮き彫りになりました。

メディアがたたみかけるように同じ出演者で同じ論旨の報道を行っているときは、受け手側は逆に一歩身構えて冷静になる必要があると思います。
そんなときこそ、小さな扱いであっても異論・反論の声にあえて耳を傾ける習慣を持つことが大切ではないでしょうか。

ブログ的な草の根はいくら発達しているといってもまだ「電車男」のようなレアケースを除けば大マスコミのような世論形成スピード力・爆発力に劣ります。

マイノリティパワーが育ちにくい土壌と民度レベル、それは大前研一氏が言うところの政・官・マスコミ・権力団体の根深い癒着構造が大きく影響しているはずです。(同氏著書:日本の真実 参照)

民間メディアは社会的責任が大きいといっても、そこで働く人間は一般企業と同じヒエラルキー構造の中でのビジネス優先主義が常識となっています。数字が取れるかどうか、スポンサーが取れるかどうか、これが自分の給料を左右し同時に自己実現への近道である以上一構成員に正面から正論を振りかざしても、のれんに腕押しです。

メディアの中でも権限を握る人々や司る総務省に大きな責任があると感じます。将来の日本に大きく影響を与えるという立場を優先すれば、ここまでデジタル化競争に明け暮れたり高収益にこだわる必要はないはずです。情報化社会推進、国民の利便性追求という建前の傘に隠れる形で大マスコミは既得権確保、占有率独占、利潤追求を止められないどころか益々加速している状態にあります。

4大メディアといわれる中では新聞・雑誌・ラジオが明らかに凋落傾向で、テレビはセットインユース(総視聴率)が特に伸びているわけではないですが、ほかの3つの凋落のおかげで相対的に影響力を保持しています。

インターネットの躍進は目覚しいですが、まだTVビジネスの足元にも及びません。
インターネットは特性的に権力構造の力が及びにくい世界なので期待が持てますが、昨今話題のようにIT企業がTV局近づいていくことで、逆にITが上記のガリバー権力へ吸い込まれていく危険性があると危惧しています。

そんなことを今すぐ無理やり方向転換してもらうよりも、受け手側がもっと賢くなっていく方が早道のような気がします。
このコンテンツの出演者(筆者)は利益の絡んだプロモーション活動で発言しているのか、純粋な取材対象なのか、局(出版社)の数字稼ぎのための話題提供なのか、ヒマネタなのか・・

業界のかたすみにいると(・・プロフィールの通り私は報道や政治経済とは無縁のエンタ系媒体に勤めています)判別が比較的容易なケースが多いようですが、そうでなくても常にそういう意識と疑問を持ちながら接触していくことである程度情報洗脳シャワーから身を守っていくことができるのではないかと感じています。