好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。シティーハンターとADV全般の話題が主。※只今、家族の介護問題が発生中です。あしからず。

神=造物主=作者からのメッセージ。

2024-10-03 | 物語全般
『モナドの領域』(by筒井康隆)、読了。

筒井氏いわく、最後の長編にして、最高傑作。
確かコレ、世に出た直後はミステリとして紹介されてた記憶。
だが実態は寧ろ、説話集、法話集と呼んだ方がいいように思った。

ストーリーは、良く言えばシンプル、悪く言えばやや平坦。
不気味なバラバラ殺人事件が描かれそうで描かれない、もどかしい状況がしばらく続く。
静かな町のパン屋さんでの、ややセンセーショナルな出来事を境に、話は動き出す。
大学教授に憑依したナニカ、自ら名乗るは「GOD」が語り始めてからが本番。
公園で話して、裁判に出て、テレビに出て、そうしたらもうラストシーン。イベント少ない。

結局この話は何なんだろうと読み返して、ふと悟った。
これは、アバターを通した作者による、今まで産んだキャラ達への感謝状であり、ラブレターだと。
虚構の虚構による虚構のための、虚構だけで創られた虚構論、それの体現。
筒井氏の他作品をあらかた読んでから手に取って良かった。
これから読む人は、せめて『文学部唯野教授』を読んでからの方がいいかもしれない。
実際問題、「GOD」の思想論は、文字のみではかなり難解。
作中キャラは、悟性で理解させてもらえていて羨ましい限りだ。

それでは。また次回。

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