今日も本「Dancing in the Moonlight」のご紹介です。
今回は75ページを中心に、グラナダホームズの舞台化の話が中心です。
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1988年を回想してみると、私が初めてジェレミーに会った年で、ジェレミーは引き返せない状況になっていた。躁鬱病の発作は、生涯にわたり彼を悩ませていたが、ジェレミーは決断力と勇気を持って戦って、ある程度対処できていたし、今や頑張って手綱を持ってコントロールしていた。妻の死、ハードルの高い仕事、心臓の病気による体調などのストレスのせいで、本来の姿に取って代わり病気の荒々しさが彼を支配していた。あるグラナダTVの技術者は、私にこう言っていた。「奥さんが亡くなってから、昔のジェレミーではなくなりました。彼は少し違う人物になったんです。」
二つ目の長編作品は「バスカビル家の犬」で、1988年の秋にイギリスのTVで放送された。良くない出来だった。経済的な締め付けで台本を変更せざるを得なくなり、またジェレミーの見た目も薬で変化してきており、調子も悪かった。ジェレミーは後に、こう語ってくれた。「この作品を撮った時、僕はとても悪い状態だった。もし君が『バスカビル家の犬』を作るとしたら、原作の中でも一番有名な話だから開始前には慎重に考えぬいて、完全に整理しなくてはならない。もし作品を上手く作れないなら、見ない方がいい。僕らは、正しく作れなかった。マスチフ犬が原因だったと思う。脚本は迷走して、それが作品の運命を決めた。ホームズの出演シーンも少なすぎる。多くのことが、間違っていた。僕は、撮り直しを希望している、別の人生でね」
ホームズシリーズが成功していたので、ジェレミーはホームズの舞台化について考えるようになった。舞台俳優のジェレミーが、ホームズのような劇向きの役を演じれば、ヒット間違いなしだろう。ジェレミーは、旧友でホームズシリーズの脚本家のジェレミー・ポールに、一緒に考えてくれないかとコンタクトをとった。ジェレミー・ポールは、舞台化の始まりについて話してくれた。
「ジェレミーと私の付き合いは長かった。最初にジェレミーに会ったのは、BBCが60年代に製作した「美女と野獣」で妻のPat Garwoodと共演していた時だった。ジェレミーは王子と野獣を演じていて、素晴らしかった。それから妻とジェレミーの親交が始まり、頻繁に家に来てくれて、夜遅くまで卓球をしたりするようになった。仕事を一緒にする前に、友だちになっていたのだった。グラナダで「An Aspidistra in Babylon」という作品を作ったのだが、ジェレミーが主役を演じた。これが70年代初めだった。この仕事で、我々の友情は確かなものとなったと思う。ジェレミーは70年代にアメリカで多くの仕事をしてたが、僕らは時々会っていた。実際、アメリカで会ったこともある。」
ポールは、グラナダ・ホームズシリーズの脚本家に推薦されたのは、ジェレミーのお陰だと信じている。それからは、旧友であり、クリエイティブな二人が、ホームズのプロジェクトで働いている間、撮影が終わると色んなアイディアを話し合って蓄積していたったのは、自然な流れだった。ポールは、この劇が「あるゴシップ」から始まったと白状した。
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今日から6章に入りました。
この章は、グラナダホームズの舞台版「シャーロック・ホームズの秘密」と事件簿シリーズについてです。
グラナダスタッフの「以前のジェレミーとは違う」という言葉、考えさせられました・・・。
そうなんだ・・やはり病気がそれほどまでに、ジェレミーを蝕んでいたのかと、やはりショックですね。
ジェレミーも必死に病気に負けまいと抵抗していたんでしょうが、悲しいです・・・(><)
ジェレミー・ポールとの親交のお話、興味深いですね。
卓球をしていたジェレミーも新鮮です。
既に60年代、グラナダシリーズが始まる20年前から友だちだった二人。
シリーズのプロデューサーのマイケル・コックスも、ジェレミーが俳優を始めた頃からのお付き合いですし、信頼関係のある人に囲まれての製作だったんですね。
グラナダ上部からの色々と文句を付けられ苦労もありましたが、ホームズ撮影後に仲の良い脚本家と色々とアイディアを出しあえる環境・・・素敵ですね♪
一人だけでなく、ホームズ物語をよく理解する仲間と、率直な意見が言い合えたのは、ジェレミーの役作りにプラスになったと思います(^^)
ジェレミーの「美女と野獣」、見てみたいですねー。
王子様のジェレミーは容易く想像出来るのですが、野獣バージョンがどんな外見になっているのかなと気になります。
相当作り込んでメイクしないと、ジェレミーのような美形が野獣になれるはずないですもんね(笑)
つぎは、舞台化の話に行きます。
りえ(https://twitter.com/riekojeremy)
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でも、結局、理想のホームズはみつからなかった~(一番好きだったのはメージャー首相)
ロンドンやムーアは期待どおりで嬉しかった
モリアーティ教授にそっくりな教授を見つけたのは感動またイギリス行きたいです~
Violetさんも、ホームズを探しにイギリス留学へ行かれたんですね!
ロンドンはビクトリア朝の頃から変わらない街並みのところも多く、ふとした瞬間にホームズに出会えるような、そんな夢を持てる街ですよね♪
モリアーティ教授にそっくりな教授を見つけられただけでも、大成果なのでは!?
イギリス良いですよねぇ、1年間住みましたが、いるほどに更なる魅力を発見して離れがたくなる土地です。
私も来年あたり、ロンドン行きたいです。Violetさんもまた、再訪できますように