Sensual Life

Ribaco Collectionオーナーのブログ

工房探訪

2016年04月28日 | 日記・エッセイ・コラム

木工作家の吉川和人さんの新しい工房にお邪魔しました。
昭和30年に建てられた材木屋さんの一角。お隣では大工さんが作業なさっていましたが、材木屋さんも大工さんも減ってしまってるそうです。確かに材木屋さん見かけなくなりましたね。

木曽で買付けされたシデの木。木目が素敵です。どんな作品が生まれるのか楽しみ。

道具もこうやって壁に並ぶとまるでアート。

3月のリバココレクションのショップオープンでオーダー頂いた漆椀の制作も徐々に進んでいました。今日は、雨降りだったので画像の色がうまく撮れなくてすみません。

こちらの積み上げられた丸太は、お椀用のカエデの材料です。これを削ってお椀の形にして行きます。これに、漆を何回かに分けて塗ります。時間のかかる作業です。もう暫くお待ち下さい。

物が作られて行く場所ってワクワクします。吉川さん、お忙しい中ありがとうございました。


関西の旅その3 建物探訪 旧山邑家住宅

2016年04月19日 | 日記・エッセイ・コラム


以前から訪ねてみたいと思っていた芦屋川の畔りの斜面に建つ旧山邑家住宅。
フランク・ロイド・ライトが、灘の酒造家山邑太左衛門の依頼を受け1918年別邸として設計されました。工事は、ライトの帰国後、1924年に弟子の遠藤新、南信らによって竣工。1947年に淀川製鋼所が社長宅として購入。接客、接待の場として使われた為、後に「迎賓館」と名称されたそうです。
その後、貸家や独身寮として使用、劣化が進み取り壊してマンションを建てる計画も立ちましたが、建築関係者から保存を求める声が起こり、保存を決めたそうです。
1974年には国の重要文化財の指定を受け、調査工事・保存修理工事を経て1989年に一般公開されました。
館内ではこの調査、保存工事の記録映画が上映されていましたが、構造部分はもちろん、彫刻を施した大谷石、飾り銅板、真鍮のカーテンレール、照明などなど、細部に渡ってその道のプロフェッショナルが再現している様子を、興味深く見ることが出来ました。壁に取り付けられたソファも、スプリングを入れて椰子のファイバーを詰めるという、昔ながらの製法で張り替えられていましたよ。







芦屋の街並みや大阪湾を眺望できるバルコニーの眺めは、最高です。古の宴のざわめきが聞こえてきそう。


そして1995年の阪神淡路大震災により一部が破損、98年まで調査工事が行われ完工、再び一般公開されました。
昨年には、NHKのドラマ”ロング・グッバイ”の撮影場所としても一部使用されていたので、ご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
地震大国の日本では、古い建物の保存は非常に難しい事ですが、こうして残されている建物に出会える喜びを味わう事ができました。


六甲山の展望台からの眺め。震災から21年経ち、大阪、神戸、淡路島の街の明かりが輝いています。
九州の被災地にも、再び希望の光が灯り輝きますように。


ヨドコウ迎賓館 旧山邑家住宅 www.yodokou.co.jp

関西の旅その2  建物探訪 蘇州園

2016年04月19日 | 日記・エッセイ・コラム
ここ数年国内の旅が増え、改めて日本の良さを感じていますが、自然災害も多く発生しています。昨年訪れた湯布院も、今回の地震で大きな被害が出ている様で心が痛みます。被災に合われてる皆様に安らぎの時が早く訪れます事をお祈り申し上げます。

前回に引き続き関西の旅の話です。
芦屋に住む友人のお言葉に甘えて、六甲の山の中腹にあるお宅に滞在させていただき、近郊にある素敵な場所に案内してもらいました。
阪急御影駅から、山側の住宅地を登って行くと立派な門構えがあります。

車寄せの奥には、昭和9年(1934年)に旧財閥の別邸として建てられた美しい建物があります。
釘を一本も使わない"組子作り”の建具を使用した、当時としては珍しい三層からなる純和風建築は、丁寧に手入れされて現在に引き継がれています。
昭和21年に企業家がこの邸宅のオーナーになり料理店を開業、中国蘇州の美しい庭園になぞられ「蘇州園」と名付けたそうです。






山の斜面に建てられた建物の玄関ホールを抜け、階段を降りて行くと東南アジアのリゾート地に来たような錯覚に陥りそう。

化粧室に飾られていた、昔の写真。親子三代に渡って通われているお客様もいるとか。

現在はザ・ガーデン・プレイス蘇州園http://soshuen.jpとしてレストラン、バーの他に敷地内に結婚式場も併設して営業しています。

関西建物の旅、次はフランク・ロイド・ライト設計の芦屋の旧山邑住宅です。

関西の旅その1 ユキ・パリスミュージアム

2016年04月11日 | 日記・エッセイ・コラム

雑誌『ミセス』の企画「ユキ・パリスさんの”見る目、選ぶ目教室”」に幸運にも当選して、桜の季節の京都に行ってきました。
ユキさんは、結婚を機にデンマークに住まわれ、北欧を中心に様々な展覧会の企画、監修を手がけていらっしゃいます。2002年に、30年来蒐集したヨーロッパの針仕事を紹介するプライベートミュージアムとアンティークショップを併設したユキ・パリスコレクションを京都にオープンされました。
レクチャーが行われた銀閣寺の近くにあるユキ・パリスミュージアムは、ユキさんのご実家を一部改装された物。当日は生憎春の嵐の雨模様でしたが、良く手入れされたお庭の緑も美しく、中に入ると陰翳礼讃の世界。明かりを抑えた館内には、ユキさんが蒐められた美しい品々が並べられていました。




まずは、一階のショップでユキさんからのご挨拶。普段から晴耕雨読の生活をなさってるそうで、今日の天気はお勉強にふさわしい日ですねと。
生活していく上で誰しもが物を選んで行きますが、美しいもの、いいものを見る目を養い、選ぶ目を持つにはどうしたらいいかお話を伺いました。
美術館に行って自分一人の目でじっくり美術品を眺めたり、美術書で物の背景を学んだり、自然の中にある石や野の花、草の中から特別な物を見つけ出したりして、美の基準を学んで行く。いいものはどうしていいのか観察してみると、いい素材を使い、これ見よがしでない心が込もったいい仕事をしている。優れた物には機能美がある。すると高価な物でなくてもいい物は見つかりますよと。なるほど。
ショップには、時代や国もバラバラな美術品や焼き物、金工、ガラス器、染織品、アクセサリーなどが並んでいますが、クオリティの調和が一つの世界を作り出し違和感なく美しく引き立てあっていました。
日本は、本来素晴らしい文化を持つ国ですが、他の国に比べて醜さに慣れて鈍感になっているとユキさんが仰っていましたが同感です。美しい物を見る事は心の栄養です。
何が醜いかを学び、当たり前に美しい物に目を向ける生活をして、豊かな気持ちで日々を過ごしたいですね。

二階には、ユキさんが蒐められたヨーロッパの素晴らしい手仕事のコレクションが展示されています。間近に拝見しながら説明を受け、ゆったりと時間が流れていた時代にしばし想いを馳せてきました。

ユキ・パリスコレクション http://www.yuki-pallis.com



『ミセス』の連載がまとめられた文化出版局「ずっともの探し」
ユキさんのコレクションの他に、京都とコペンハーゲンのご自宅での生活や素敵な装いなどが、美しい写真と共に紹介されています。