疲

「学校帰り、ヤマ電の日本総本店？みたいなとこに一瞬寄ったよ」

「旧三越のとこですね」

「コンポ見たんだけど、コジマの方が細かく性能書いてあってよかったな。
CDからMDに何倍速でやけんのかって重要だからな」

「週二で行ってると、ほんとよく池袋に行ってるって感じしませんか？」

「まあ義務だから仕方ないよ。
学校中心の生活になったなっては思うな。
何か参考書見たいときでも、次学校行くとき帰りに寄ればいいや、みたいに思うからな」

「学校では現在民法、家では民事訴訟法を勉強してるわけですが」

「法律を勉強してると思うよ。
私人と私人の法的関係を規定した民法に1000を超す条文があって、私人と国の関係の憲法、刑罰を規定した刑法、他にも色んな法律があって、精緻なシステムを作り上げたもんだなって。法ってのはさ。

逆にそれだけ大掛かりな規範を作っておかないと、人間は暴走しちゃうというか。
エゴとエゴの危ういバランス装置だからな、法って」

「社会が複雑になってくると、村の七箇条第一、村長の言うことは絶対である。
なんてわけには行かなくなりますからね」

「何かと紛争の多い世の中で、あなたの主張は法的にどうかってのを基準に解決に導いてくってのが俺の将来の仕事だからな。
基本的に登記業務よりそっちに力入れていきたいから。
まーでも今日はなんかすごい疲れた。
今はちょっと限界だな」