mab's MemoBlog

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小忙しさに負けず、下町歩きやジョギング中の風景を楽しんでいます。

「ウェブ時代をゆく」に激しく共感する。

2007-12-29 01:22:50 | 
この本は、梅田さんの「ウェブ進化論」の続編であり、完結編。妙な懐かしさと熱いものを感じた。
私も確かに、ウェブに翻弄されてきた、いや一時は確かにある流れの中心に近いところに居たという思いがあるから。

前作のウェブ進化論では、ネットの世界を「あちら側」、リアルな世界を「こちら側」と捕らえたのがうまいな~と思った反面、「将来のあるシリコンバレーに若者は行け」「自分は若い人としか話さない」というような上から話すトーンが強く感じられて、少し拒絶反応が出たし、「The World id Flat(フラット化する世界)」のサブセットという感じも多かった。(「ウェブ進化論」とGoogle Earth

今回の本では、ウェブの潮流の中で、ネットとリアルな世界を行き来しつつ、よりよく(自分らしく)生きる方法について、やさしい文体で、梅田さんの経験を交えつつ、考えさせられる内容になっている。

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687)
梅田 望夫
筑摩書房

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梅田さんの前向きな生き方や性格がにじみ出たんだろうか、上からではなく、心に響くような書き方になっていたし、確かに伝わった。
将棋の羽生さんの言ったという「高速道路の先は大渋滞」(情報はネット上に整備されつつあって誰でも専門知識を得られるような環境は整っているが、高速道路を抜けて本物の専門化になることは難しい。つまりコモディティ化してしまう)という比ゆはまさしくピッタリで、心に響く。
そして、「高速道路を突っ走るか、途中で降りてけもの道に入り、新たな道を開拓するか」どちらかしか道は無いという主張にも激しく同意する。

私の体験を少し振り返ってみる。
大手と言われるIT企業に入り、男女同権でバリバリ働きたいと思っていたし、同僚や男連中には負けないと思っていた20代。
そんな時に子供を授かり、不安を抱えながら産休・育児休暇に入ったけど、復帰したときのために勉強は欠かさなかったし、情報に乗り遅れないように(当時流行りだした)インターネットで、サークルの情報発信を始めた。
また、脳を退化させないために、趣味のザウルス(PDA)用のプログラムを作って公開したら、思いのほか反響が大きく、ユーザーさんがたくさん付いてくれた。それが嬉しくて、本当に寝る暇を惜しんで、子育てや育児もテキトーにして、プログラミングをしていた。("mab zaurus"でググルと、未だにヒットします。)
子供も赤ちゃんだったから、自由な時間が比較的あった。
会社では「子持ちの女性は使えない」という扱いで、仕事的にもつまんなかったから、ウェブの趣味の世界に没頭していた。

この頃は確かに、熱いコミュニティがあった。メーカーもコミュニティの力を認めていたし、コミュニティに参加するディベロッパーも、ユーザーも、メーカーと仲良く共存していく道を取っていたと思うし、私も期待に答えようと張り切っていた。
メーカーだけが美味しい目に合ったり、ユーザーは数にモノを言わせてメーカーににじり寄るという構図では無かった。
私はというと、偉そうにもユーザーを代表するような気持ちでいたけど、メーカーが提供するツール依存のプログラミングをしていて、改善(リファクタリング)する暇もなく、ひたすら何かに駆り立てられるように何本ものソフトを同時に開発していた。
本当に忙しかったけど、すごく充実していた時期。

でも結果的には、メーカーのツールのサポート中止、後続製品のソフトウェアの互換性なし、という結果で、コミュニティメンバーはちりじりになった。
オープンソース化ができなかったのも時代だし、書き散らしたコードをそのまま公開するのも自分的には許せなかったし、キレイに書き直して公開する時間も無かった。

途中で高速道路が途切れて呆然として、別の道に乗りなおそうとしたり、けもの道に迷い込んでいた時期もある。結局、自分の意志(興味の喪失)で途中下車してしまった気もする。そのタイミングやその時の自分が背負っていた環境というのも大きい。
それは多分、大きな声では言いたくはないけど、子育てと仕事とウェブの中で生きていくのが、すごくバランス的に難しかったと思っている。

梅田さんが言うように、このウェブ時代に「勤勉であること」はすごく重要であり、私もずっと心がけてきたつもり。どこまで出来ているかはわからないけれど。

今は高速道路に乗れない。
乗りたいけれど、乗る時間が無い。勇気も無いのかもしれない。
でも、けもの道の楽しさも知っている。会社では知り合えなかった人たちに感化されたし、会社で勤勉に働いている人たちよりとは別の視点を持っていると感じることもある。
ネットで出会った人たちとリアルな付き合いもある。
いつかのために、勤勉でありたいと思っている。

言い訳がましいけど、
それでもまだ何かしたいと思っている。

あの時、一緒に盛り上がったコミュニティの仲間たちは、今何をしているのかなあ、とよく思うことがある。
ブログで元気にやっているとうれしくなる。今興味を持っていることが昔と同じことじゃなくっても、どこかで何かがつながっている気がする。
もし、私のソフトを昔使ってくれて、そしてここにもこっそり様子を見にきてくれている人がいたら、ウレシイ。
なんだか、「私は元気にしてるよ。」と意思表示するためにここにいるのかもしれない。

ちょいと真面目に書いてしまった。
年の終わりに、気持ちを整理するために。

あ、この本、実は梅田さんのサイン本。ダンナが知らずに講演会のあった丸善で買ってきたもの。何だかラッキー。

ウェブで積極的に交流している方たちに、ぜひ読んでいただきたい一冊。

梅田さんのブログ
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2 コメント

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久しぶりにアドエスで…… (Junpoco.)
2007-12-29 10:10:07
今年もお疲れさま(^o^)。
まだまだ、Mabさん、いろいろしてるじゃない。それに比べるのも恥ずかしいくらいに何も出来ていない私です。
これからも、宜しくお願いしますね。
返信する
Unknown (mab)
2008-01-06 22:01:48
junpoco.さん、
興味が散漫で何一つモノになっていないけど・・
でも楽しんでいくよ~
こちらこそヨロシクお願いします~。
返信する

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