もう一度、府中から調布にかけての甲州街道の変遷をみてみる。1954年に調布付近のバイパスが完成し、1956年に府中付近、そして、最後に、1961年、その間の区間がバイパスとして開通した。それぞれ、三億事件前の14年前、12年前、7年前である。つまり、少なくとも、14年前以前には、府中から調布にかけて、いまの旧甲州街道が幹線道路としての甲州街道だったのだ。
（2013年12月記）
（2013年12月記）
たとえば、甲州街道沿いであっても、旧甲州街道が存在しない地域であれば、どうだろう。甲州街道を「新道」とは呼ばないはずだ。また、旧甲州街道が存在したとしても、現在のように、バイパスが開通して、時間が経ち、バイパスそのものが甲州街道というイメージが定着していれば、同様に、もはや、「新道」とは呼ばないはずである。つまり、甲州街道、旧甲州街道を、「新道」、「旧道」と呼ぶのは、条件が限定されているのである。
（2013年12月記）
（2013年12月記）
わざわざ、甲州街道、旧甲州街道を、「新道」、「旧道」と呼んでいるとすれば、あらかじめ、そのような呼称があると知らなければならないし、知ったとしても、果たして、どの程度、その呼称が、通用するのか、その地域が判っていなければならないはずだ。
（2013年12月記）
（2013年12月記）
さらに、三億円事件犯人は、受け取る側、聞く側に対し、自然に、甲州街道を「新道」、旧甲州街道を「旧道」と言っている。受け取る側、聞く側も自然に受け取っている。このやり取りが成立するわけだが、そのやり取りが自然に成立するということを、あらかじめ、三億円事件犯人は、知っていなければならない。知っている、ではなく、身についていなければならない。
（2013年12月記）
（2013年12月記）
現在では、もちろん、甲州街道を「新道」、旧甲州街道を「旧道」と呼ぶことはない。また、あるいは、三億円事件当時であっても、7年前にバイパスが開通したという出来事を体感していなければ、さらに、それ以前、旧甲州街道を、甲州街道として、慣れ親しんでいたという経験がなければ、甲州街道を「新道」、旧甲州街道を「旧道」と呼ぶことはないはずだ。
（2013年12月記）
（2013年12月記）
