農林水産省は穀物といった食料や資材の安定的な輸入に向け、国内の主要商社との官民協議会を初めて創設する。
トウモロコシや大豆、肥料を生産する国で、出荷施設の権益確保をめざす。食料の安全保障を強化する。
世界的な人口増加や新興国の所得向上を背景に、食料の確保を巡る競争は激しくなっている。
世界市場における日本の存在感は低下し、世界の輸入額に占める割合は大豆で1998年の14%が2020年に2%に、トウモロコシで20%が8%にまで縮んだ。
国内農家の支援だけでなく、官民連携によるグローバルな食料調達が農水省の重要な政策になっている。
5月に成立した改正食料・農業・農村基本法は「国と民間との連携による輸入の相手国の多様化、輸入の相手国への投資の促進」をかかげた。
17日にも初会合を開き、国内商社の業界団体の日本貿易会や、海外に港や集荷・船積み施設を保有する商社各社と協議に入る。農水省からは坂本哲志農相が出席する。
日本の商社は食料などを輸出する国の関連企業に出資したり、合弁会社を通じた港湾の運営に乗り出したりして、安定輸入につなげてきた。協議会では農水省が民間側の海外展開が今後も円滑に進むよう、相手国への要望を吸い上げる。
農水省は閣僚レベルの2国間協議や実務者会合といった外交場面を通じ、出資や港湾権益の確保などでスムーズな認可を働きかける。日本の商社が各国で食料供給の拠点を新設・拡充できるようにする。
近年は中国企業が穀物輸入のためブラジルの港の権益を獲得するといった動きが活発になっている。農水省は日本の商社による物流網強化に向けた現地調査への補助を23年度の補正予算で確保した。今後も供給網の整備につながる施策の予算の拡充をめざす。
日経記事2024.06.16より引用