トーマス・グラバー 第三章 世界の大きな謎」 ユダヤ教とローマ帝国を批判https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/a80af1ec02338d0d1e22fc3167fd52bd
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十字架の刑へ
少数の弟子達にはこの考えを伝えたが、人間に口がある以上、少し時が流れると、イエスの考えは弟子たち以外のユダヤ人、そしてローマからユダヤ人監視のためにイスラエルに派遣されていた役人達の耳にも、イエスのそうした考えが伝わった。
イエスの子の考えを知り、最も早く反応したのは、言うまでもなくパリサイ派、サドカイ派のユダヤ教幹部たちだった。
「古い伝統あるユダヤ教を三十歳代の若手チンピラ風情が改革しようなど、とんでもない奴だ。 そんな奴は一日も早く捕まえて死刑にしろ」。
一方ユダヤの知事ピラトには
「ローマ帝国を転覆させないことには、ユダヤ人の幸福はつかめない」
とらイエスが弟子たちに話しているとの情報が入って来た。
ピラトは、二十代、三十代の若者たちが大ローマ帝国を倒そうなど笑止千万。 やれるもんならやってみろ、とイエス達若者グループを全く問題にしなかった。
エルサレム神殿を頼みとするユダヤ教の幹部達はユダヤ教の異端者としてイエスを投獄することはできても、死刑にはできない。 それにはローマ帝国の認可が必要だ。
そこでユダヤ教の幹部達は、イエスの若手グループはどんどん人を集め、着々とローマ帝国の転覆を計画している。 このままイエスを放っておくと「大事に発展する」と、連日、ユダヤの知事ピラトを煽り立てた。
面倒になったピラトは、
「それほどまでにうるさくいうなら、イエスを捕まえてこい」。 こうしてイエスは逮捕、投獄された。
この頃のイエスは、自分達が一生全力投球しても病気、貧乏を一掃することは絶対できない、とすっかり弱気になっていた。 このため裁判が始まると、ユダヤ教の大幅な改革が必要なこと、ローマ帝国も毎日酒池肉林し、賭け事をする余裕があれば、ナザレの人々に寄付すべきだと強く訴えた。
ユダヤ教への批判はともあれ、ローマ帝国への批判は許されることではない。 こうしてイエスはユダヤ教への異端の罪、ローマ帝国転覆計画の罪により、「石打ちの刑」よりもさらに重い「十字架の刑」に処せられたのである。
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この本には、歴史的に貴重な写真、図、文献なども数多く掲載されている秀逸な作品ですが、それらをPDF化して皆さんに紹介することもできますが、著者と発行所の『長崎文献社』に敬意を払って、全てを紹介するのは、控えたいと考えております。
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