アングロは依然としてBHPの買収提案を拒否している=ロイター
【ロンドン=湯前宗太郎】
資源大手の英アングロ・アメリカンは14日、プラチナ事業やダイヤモンド事業を分離すると発表した。
同社には4月以降、オーストラリア同業のBHPグループが買収提案をしているが、アングロは拒否している。同社は一連の取り組みにより、銅や鉄鉱石などの事業に集中する形となる。
構造改革はグループ傘下でダイヤモンド事業を担うデビアス、プラチナ事業を展開するアングロ・アメリカン・プラチナムのほか、製鉄用の原料炭の資産などを対象とする。他社への売却の可能性もあるという。
アングロのダンカン・ワンブラッド最高経営責任者(CEO)は14日、「世界的に優良な資産に集中する決定は、我々の戦略を実行する上で新たな段階を迎えたことを示す」とコメントした。
アングロを巡る足元の状況は目まぐるしく変わっている。4月25日にBHPが388億ドル(約6兆1000億円)での買収提案を発表したが、アングロはBHPが企業価値などを「過小評価」しているとして提案を拒否。
BHPは5月に入り、買収額を約1割引き上げて再提案したが、アングロは同様の理由で提案を拒んだことを13日に発表していた。
買収提案は拒否しているものの、不採算事業を抱えるアングロには単独で生き残れる事業戦略を示すよう、投資家らからの圧力が強まっている。買
収を通じて銅事業の強化を狙うBHPはアングロに対し、プラチナ事業や南アフリカの鉄鉱石事業の分離を求めている。
ロイター通信によるとBHPによるアングロの買収が実現すれば、鉱山業界のM&A(合併・買収)の規模で過去10位以内に入る可能性がある大型案件だ。
アングロの構造改革案を受けたBHPの出方が次の焦点だ。
日経記事2024.05.14より引用