4月1日付でローム社長に就任する東克己氏は希望退職を実施したことを明らかにした
(3月、京都市の本社)
ロームの社長に4月1日付で就任する東克己氏は日本経済新聞の取材で、ローム本体の従業員を対象に3月末で希望退職を実施したことを明らかにした。
人員削減の規模については言及を避けた。電気自動車(EV)向けパワー半導体の需要減で業績不振に陥っており、構造改革を急ぐ。
半導体分野で協業を検討するデンソーから出資を受けたことも明かした。
ロームは2025年3月期に12年ぶりの連結最終赤字に転落したもようだ。
昨年11月に25年3月期の連結最終損益が60億円の赤字(24年3月期は539億円の黒字)になる見通しを明らかにしたが、その段階では人員削減については盛り込んでいなかった。
25年3月期に追加で損失を計上する見通しだ。
東氏は「痛みを伴う改革が必要で、まず本社で希望退職を実施した」と語った。
ローム単独の従業員数は24年3月末時点で約3900人で、パワー半導体の開発担当者などを対象に今年2月から希望退職を募り、応募者が3月末に退職した。
人数は明らかにしていない。ロームは国内外で生産拠点の再編にも取り組んでおり、今後は生産子会社で人員削減を実施する可能性もある。
ロームが希望退職を実施するのはデジタル家電用半導体の需要が低迷して、524億円の連結最終赤字を計上した13年3月期以来、12年ぶり。
当時は35歳以上の単独従業員の6%にあたる219人が退職し、20億円規模の特別損失を計上していた。
東氏はデンソーから出資を受けたことも明らかにした。「(大量保有報告書の届け出義務がない)5%未満で出資を受けた。
ロームはデンソー株を取得していない」と語った。
両社は昨年9月に提携の検討を始めることで合意し、今年3月末までに具体策を決めるとしていた。東氏は「開発など協力の方向性は固まり、近く公表する」とした。
ロームは省エネ性能の高い炭化ケイ素(SiC)基板を使ったパワー半導体に集中投資したが、EV向けの需要減が逆風になっている。
設備投資の縮小や生産の外部委託などで、3年後に年200億〜300億円の固定費削減をめざしている。25年3月期の連結売上高見込みは4500億円だが、東氏は「これを早期に5000億円に伸ばし、営業利益率で20%以上をめざす」とした。
【関連記事】
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
ロームがデンソーから出資を受けたことでパワー半導体の自動車応用分野での提携の可能性が出てきました。
デンソーはパワー半導体モジュールを縦に並べる両面冷却構造技術を持っています。
ロームは薄型化を可能なTRCDRIVE packの様な片面冷却構造を保有します。
ロームとデンソーの連携により、OEMメーカが求める各車両要求に対して全方位で応えられる可能性があります。
さらに現在のSiCパワー半導体への投資に対して、EVだけでなくHEVに対するシステムメリットを提案し、より大きな市場であるHEV領域にも展開していくことが重要です。
そのためにも部材メーカーがシステムを学んでいく必要があります。