大学への締め付けを強めるトランプ政権に対し、反発が広がってきた=ロイター
【ニューヨーク=西邨紘子】
米名門大学の間で、トランプ政権の要求受け入れを拒否したハーバード大に同調する動きが広がり始めた。
政権の要求は大学自治や研究の自由にまで踏み込む内容で、教育界の懸念が強まっているためだ。コロンビア大やプリンストン大などが相次いで声明を出し、ハーバード大と連携を強めていくことを示唆した。
トランプ政権は一部大学を「リベラル偏向」と見なして圧力を強めている。助成金の停止をちらつかせ「反ユダヤ主義的」活動の取り締まり強化やDEI(多様性、公平性、包摂性)施策の見直しを求めている。
ハーバード大にこのほど課した要求は教職員や学生の思想・言論について監視と報告を求めたり、研究の自由に制限をかけたりする内容だった。
アラン・ガーバー学長は14日、これらの要求は「(政府の)法的権限を越え、憲法で保障された大学の権利を侵害する」として受け入れを拒否した。
ハーバード大では教職員や卒業生・在校生の間で、トランプ政権の要求受け入れ拒否を求める声が高まっていた。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は関係者の話として、政府の要求を受けて大学が開いた理事会は全会一致で拒否を支持したと伝えた。
ハーバード大の卒業者にはオバマ元大統領らがいる。同氏は母校の方針を受け、自身のSNSで「他の高等教育機関に規範を示した」と称賛した。
トランプ政権の大学への圧力を「学問の自由を抑圧する違法な試み」と糾弾し「他の大学が(ハーバードの例に)続くことを祈ろう」と呼びかけた。
ハーバード大の決断は、これまで米政権と決定的な対立を避けてきた他の大学を鼓舞したようだ。
コロンビア大のクレア・シップマン学長代行は14日、助成金の再開に向けて米当局と「協議を続けている」としながらも、採用や研究内容について「教育機関としての独立性や自立性を放棄させるいかなる要求も受け入れない」と表明した。
コロンビア大は3月、米政権から4億ドル(約570億円)の助成金取り消しの通達を受けた。前任のアームストロング暫定学長は要求をのむ形で「新ガイドライン」を発表し、政権への迎合が批判を集めていた。
マサチューセッツ工科大(MIT)、プリンストン大、ブラウン大などは14日、エネルギー省の助成金削減の差し止めを求める訴えを共同で起こした。
プリンストン大のアイスグルーバー学長は15日、自身のSNSにハーバード大の声明を引用。「プリンストンはハーバードと共にある」と投稿した。
米政権はハーバード大の受け入れ拒否を受け、即座に22億ドルの助成金さしとめを発表した。
トランプ大統領は同大が教育機関として受けている免税資格の取り消しを検討すると表明しており、報復の姿勢を強めている。
政府助成金は多くの米大学にとって研究活動の主要な資金源となってきた。
研究活動を支える政府の助成金さしとめは全体の運営も揺るがしかねず、多くの大学は今後厳しい決断を迫られる。
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

東京大学 マーケットデザインセンター所長
先だってコロンビアが標的にされた時などは大学間で足並みも揃わずろくに反対もできなかったようですが、大学が連帯する動きが出てきたことに光明を感じます。
さて資金難に見舞われたハーバードですが、今日も卒業生宛てに寄付のお誘いがきました。今までスルーしてましたが今回初めて少額ですが寄付しました:
なおアメリカの大学では寄付が大学の大きな収入源になっていますが、日本の大学はともかくお金がなく本当にすぐにも潰れそうなところも多いですが、寄付を上手に募って活用することが大きな課題になっています。
私ども東京大学マーケットデザインセンターに寄付をくださっている皆様にこの場を借りてお礼をお申しあげます。

東京大学 理事(CFO)
トランプ政権と米国有力大学間の大学自治を巡る対立が、ハーバード大学に続いてプリンストン大学もこれに賛同する声明を出し本格化してきました。
政権側は巨額の助成金や国の研究委託費を止める等兵糧攻めにすることで、政権側の意向に沿わせようとしています。
米国の有力大学はエンダウメントが、ハーバード大学の場合で7兆円と巨額です。
植木先生が仰っているように、寄付金自体は紐付きのものがほとんどですが、運用益については毎年約3000億円が予算に繰り入れられ、これは大学の裁量で使えるものがほとんどです。
また、ハーバード大学は約1100億円の大学債の発行を検討していて、対立が長引くことに備えている模様です。

上智大学名誉教授
米政権のハーバード大への書簡はニューヨークタイムズ紙が公表している。
https://www.nytimes.com/interactive/2025/04/14/us/trump-harvard-demands.html
10項目からなる要求は、「反ユダヤ主義的」行動への対応を遥かに超え、大学の自治や学問の自由を監視・制限するものだとしてハーバード大は拒否している。
同大は約530億ドルの寄金があるが、寄付金には縛りのあるものが多く、自由に使える額は約20%と言われている。
年間執行予算は約64億ドルのため、政府の補助金がないとかなり苦しい財政状況となる。
同大は家族の年間所得が20万ドル以下の場合は授業料免除としたばかり。使える寄金の一部は訴訟などに向けられると思われているが、米政権との確執は他の大学を巻き込みながら当分続くことになろう。

2025年1月20日(現地時間)にドナルド・トランプ氏が再びアメリカ大統領に就任。政権の行方など最新ニュースや解説を掲載します。
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日経記事2025.4.17より引用
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実社会で全く認められない阿呆たちによる、アメリカ版文化大革命! w