電通グループは中国やオーストラリアの広告事業の不振などで23年10~12月期に減損損失531億円を計上した
電通グループが14日発表した2023年12月期の連結決算(国際会計基準)は最終損益が107億円の赤字(前の期は598億円の黒字)だった。
これまでは333億円の黒字を見込んでいたが、3年ぶりに赤字に転落した。景気懸念で広告予算を絞る動きが広がるなか、中国やオーストラリアの広告事業の不振などで23年10~12月期に減損損失531億円を計上した影響を受けた。
同日、200億円を上限に自社株買いを実施すると発表した。最大で発行済み株式総数の4%弱にあたる1000万株を15日から10月31日までに取得する。
売上高にあたる収益は前の期比5%増の1兆3045億円だった。円安やM&A(合併・買収)が収益を押し上げた。
営業利益は61%減の453億円だった。
金利上昇に伴う景気懸念などを背景に、米国のテック企業を中心に広告・販促の予算を縮小する動きが広がった。顧客企業の経営やデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する事業が国内で伸びたが、海外事業の失速を補えなかった。
24年12月期の通期業績予想は、収益が4%増の1兆3567億円、最終損益が617億円の黒字を見込む。
電通グループの五十嵐博最高経営責任者(CEO)は先行きについて「24年は事業環境が緩やかに改善に向かう見通しで、特に米国市場でテクノロジー企業の支出回復が期待される」とした。