オランダのルッテ首相がNATOの次期事務総長として有力視される=AP
【ブリュッセル=辻隆史】
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は18日、訪問先のワシントンで記者会見し、オランダのルッテ首相が自身の後任の「有力候補だ」と明言した。
2010年からオランダ首相を務めるルッテ氏の豊富な外交経験を評価した。
ストルテンベルグ氏の任期は10月1日までで、後任の決定には32の全加盟国の同意が必要となる。ストルテンベルグ氏はルッテ氏を充てる人事について「加盟国がまもなく決めると強く信じている」と述べた。
後任に関し具体名を挙げて言及したのは初めてとみられる。オランダメディアは18日、ルッテ氏が次期事務総長に就任する見通しだと報じた。
ルッテ氏の就任に反対してきたハンガリーのオルバン首相は18日、X(旧ツイッター)で容認方針に転じると表明した。
NATOは加盟国の文民代表からなる北大西洋理事会を最高意思決定機関と定める。事務総長はこの議長を務め、加盟国間の調整役を担う。
ルッテ氏は22年のロシアのウクライナ侵略後、オランダによる積極的な支援を主導した。
オランダは半導体製造装置大手のASMLを抱える。米国が求める対中半導体規制でも協調し、バイデン米大統領と良好な関係を維持する。
ルッテ氏は23年7月、内政の混乱を受け内閣総辞職を表明した。11月の下院選で所属政党が敗北した後も新内閣の発足が遅れ、暫定的に政権を運営している。
元ノルウェー首相のストルテンベルグ氏は、14年に事務総長に就任。NATOは同氏の手腕を評価し、23年7月に4回目の任期延長を決めていた。フィンランドとスウェーデンのNATO加盟でも調整力を発揮した。
中国がNATOに対しても安全保障上のリスクをもたらすと訴え、日本などインド太平洋の国々との協力を広げた。