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日立の時価総額、見えた日本2位 米テック超えの現実味

2024-10-02 19:45:04 | 日本の企業・世界の企業、ビジネスマン、技術者


日立製作所の送配電設備


日立製作所が株式時価総額で日本2位を競っている。

2023年末の2倍となり、先週末にかけて一時2位(昨年は14位)に浮上した。

 

事業再編や送配電、デジタル事業の成長性が評価され、海外投資家の買いを一身に集めた。

成長期待を示唆するPER(株価収益率)は米巨大テック「マグニフィセント・セブン(M7)」の一角に迫りつつある。

 

 

 

8月、来日した英運用会社ウェイバートン・インベストメントマネジメントの株式リサーチヘッド、ステファン・ラインヴァルト氏は日立の投資家向け広報(IR)担当者と議論を交わした。

事業再編などを通じた「資本効率向上への意欲と実行力を強く感じた」とし、継続保有を決めた。今後は21年に買収した米IT(情報技術)企業などとの相乗効果が出る局面に入り送配電や鉄道、デジタルの稼ぐ力が伸びると読む。

 

今、日立買いが鮮明だ。

5月に買い増した仏コムジェスト・アセットマネジメントのリチャード・ケイ氏は「エヌビディアなど米株を買ってきた海外投資家が他地域に資金を振り向ける際、半導体やAI(人工知能)と異なる成長性を持つ日立が買われやすかった」と話す。

 

日立の時価総額は26日に約18兆5000億円となり、三菱UFJフィナンシャル・グループを抜き、トヨタ自動車に次ぐ2位になった。

足元は石破茂新総裁の誕生やイスラエル情勢悪化などで下がったが、グロース株としての評価は不変だ。

 

「日本の大企業でこれほど構造改革に成功した銘柄は見当たらない」(PGIMジャパンの鴨下健株式運用部長)として、海外投資家による消去法的な買いも集まる。

コムジェストのケイ氏は「成長性は十分に評価されておらず、まだ割安感がある」とみる。

 

背景には、環境対応やデジタルトランスフォーメーション(DX)など、今の投資テーマに合致する中核事業を抱えていることがある。

例えば、発電所で作った電気を家庭や企業などへ運ぶ設備などを手掛ける送配電。24年3月期の調整後EBITA(利払い・税引き・一部償却前利益)は前の期比56%増の1573億円と全事業で最大だった。

 

風力など再生可能エネルギーの普及で送配電網の整備が進む中、受注残は同6月末で5.5兆円で3年前の3倍程度に積み上がった。

運用ファンドで日立株を上位に組み入れるアセットマネジメントOneの関口智信氏は「海外で進める電力インフラ事業は短期のマクロ要因の影響を受けづらい。国内が基盤のシステム開発も為替影響が小さく、業績の安心感がある」と話す。

 

さらなる市場評価の向上には、DX支援事業「ルマーダ」を中心としたデジタル戦略がカギになる。

グループ横断で顧客のデジタル化や生産性向上の支援を強めており、日立は「デジタル銘柄」への脱皮を掲げる。

 

小島啓二社長によれば、今の日立のセクターはコングロマリット(複合企業)を卒業し、資本財とテクノロジーの間という。

資本財では独シーメンス、テクノロジーでは仏シュナイダーエレクトリックなどを市場評価の目安とする。小島社長はもう一歩進み、「ルマーダの強化を通じてデジタル銘柄のPERを狙う」と明言する。

 

 

 

デジタル銘柄で想定するのは米アクセンチュアや、米マイクロソフトなどM7の一角だ。

日立の今期の予想PERは、市場の利益予想を反映したQUICK・ファクトセットベースで約27倍で、アクセンチュアの約27倍と並び、マイクロソフトの32倍弱に迫る。

 

来期ベースのPERでは日立は23倍弱で、アクセンチュアの25倍、マイクロソフトの27倍強に届かない。5年平均は日立12倍、アクセンチュア26倍、マイクロソフト28倍とさらに開くが、事業構造を一変させた日立の姿を踏まえれば勝ち筋はある。

「ITも電力関連もインフラも持つ会社は珍しい。シナジーを考慮すると、専業より市場評価のプレミアムがつく潜在力がある」(ゴールドマン・サックス証券の原田亮アナリスト)からだ。例えば鉄道。デジタル空間に車両を再現し、保守作業の効率化や熟練者の技術継承をするシステムを開発している。送配電設備向けでも遠隔保守などDXを支援する。

 

「ルマーダは内訳がよく分からず業績予想に使いづらい」(国内証券)と情報開示の工夫を求める声は多いが、ウェイバートンのラインヴァルト氏は「小島社長は通訳無しの1対1で対話してくれる」と話す。

デジタル戦略の実績を示し、投資家目線の丁寧なIRを続けることは、日本を代表する企業の地位固めだけでなく、海外からの日本株への評価を変える後押しにもなる。

(堤健太郎、ロンドン=大西康平、今堀祥和、大久保希美)

 

 

 

SCORE
企業の株価が変動した背景や先行きを、財務分析を踏まえつつ、投資家目線で読み解きます。随時公開します。過去の記事や「フォロー」はこちら。
 
 
 
 

企業の株価が変動した背景や先行きを、財務分析を踏まえつつ、投資家目線で読み解きます。

 

 

 

日経記事2024.10.02より引用

 

 

 

ランサム集団、ウイルス開発者逮捕 国際連携で成果

2024-10-02 17:01:02 | AI・IT・サイバーセキュリティ・メタバース・NFT・ゲーム、


各国当局の共同捜査により暴露サイトが閉鎖されたことを告げる画面=警察庁提供

 

被害規模が最大級とされたランサムウエア(身代金要求型ウイルス)集団「ロックビット」への国際共同捜査で、日米欧などの捜査当局がウイルス開発者ら4人を逮捕した。

逮捕者は中枢メンバーを含め少なくとも計6人となり、組織は弱体化がみられる。新手の集団も登場しており、被害抑止に向け各国捜査当局は取り締まりを強めていく。

 

欧州刑事警察機構(ユーロポール)が2日までに発表した。

ウイルス開発者のほか、攻撃の実行者の支援役、グループが利用していたサーバーの管理役を逮捕した。

 

国際共同捜査にはユーロポール主導の下、フランス当局や英国家犯罪対策庁(NCA)、米連邦捜査局(FBI)、警察庁など12カ国の捜査当局が参加した。

ロックビットはウイルスを含む攻撃ツールを開発し、攻撃実行者に提供する「RaaS(ランサムウエア・アズ・ア・サービス)」という形態で2019年9月ごろから活動。強力なウイルスを開発することにより、多くの攻撃者を引き寄せていたとされる。

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米司法省によると、これまでに少なくとも日本や米国など約120カ国で2500の企業や団体が被害を受けた。

ロックビットがからむ攻撃で5億ドル(約715億円)の身代金が奪われたうえ、データ復旧などで数十億ドル(数千億円)の損失が発生した。

 

警察庁によると、ロックビットの関与が疑われる被害は日本国内でも100件を超えた。

21年には徳島県内の病院が一時診療停止に陥ったほか、23年7月に名古屋港のコンテナターミナルが稼働を停止する原因となった攻撃での関与が指摘された。

 

 

 

一連の国際共同捜査では2月、主要メンバーとみられる2人を逮捕し、関連サーバーを停止させた。5月には首謀者とされるロシア人の男を特定。米当局は逮捕や有罪判決につながる情報に対し最高1000万ドル(約15億円)の報奨金を提示している。

警察庁の担当者は「摘発によって攻撃者が離れており、ロックビットの勢いをそぐことができた」とみる。活動を完全に停止できたとはいえず、引き続き取り締まりを進める。

ロックビットへの包囲網が狭まる一方、6月にKADOKAWAを攻撃した「ブラックスーツ」など新手の集団による攻撃も目立つ。サイバー犯罪集団はメンバーの所在地や拠点が複数の国に分散しているケースもあり、各国当局による連携が重要になる。

 

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

 

 

 

福井健策のアバター
福井健策
骨董通り法律事務所 代表パートナー/弁護士
 
分析・考察

内部情報を人質にされた側の恐怖と悔しさは、想像に余ります。

その摘発までに12ヶ国が5年と数千億の被害を要したことが、問題の核心ですね。

現在、ドメイン、ホスティング、SNSなど、身元確認をおこなわず、仮にアカウントが違法目的に使われても削除を拒む事業者が世界にいます。

動機は信念という場合もありますが、単に顧客を引き付ける利益目的が多いでしょう。

対策の難しい国を拠点とする悪用者は、それらを組み合わせて徹底的に身元を秘匿します。

ランサムに限らずネット犯罪全てに共通する難題ですね。 新政権は、これも重要な「防災」だという意識をもって真剣に取り組まないと、問題は拡大し手の届かないところに行くでしょう。

 

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日経記事2024.10.01より引用
 
 
 
 

 

 

 

 


2024年ノーベル賞の栄冠は 科学分野、日本の注目候補

2024-10-02 14:48:34 | 科学技術・宇宙・量子・物理化学・生命・医学・生物学・脳科学・意識・人類史

2024年のノーベル賞の発表が7日から始まる。

21年に真鍋淑郎氏が物理学賞を受賞して以来となる日本出身者の受賞はあるか。自然科学分野で「ノーベル賞候補」として期待が集まる研究者らを紹介する。

 

 

生理学・医学賞(7日発表)

生理学・医学賞は7日午後6時30分(日本時間)以降に発表される。

これまでに日本の受賞は5人。有力候補として、細胞内のたんぱく質の品質管理の仕組みを解明した京都大学の森和俊特別教授や免疫の研究で著名な大阪大学の坂口志文栄誉教授らがいる。

 

 

森和俊・京都大学特別教授

京都大の森和俊特別教授
 
研究内容: 細胞内の小器官「小胞体」が体内で作られた不良品のたんぱく質を見つけて壊したり、修復したりする「小胞体ストレス応答」の仕組みを解明

応用例: たんぱく質の不良品がかかわる糖尿病やパーキンソン病など様々な病気の解明や治療法開発に道を開く

横顔: 剣道五段。ここと思ったときにためらわず行動する「放心」と相手に勝ったと思っても気を抜かない「残心」を極意とする
 
 
 
 
 
 
坂口志文・大阪大学栄誉教授
 
大阪大の坂口志文栄誉教授
 
 
研究内容: 体内の外敵を排除する免疫反応が過剰に働くと、自分自身の細胞を傷つけてしまうが、そうならないように免疫の暴走を抑えるブレーキ役となる「制御性T細胞」を発見

応用例: 関節リウマチや1型糖尿病といった自己免疫疾患の治療法や、抗がん剤を効きやすくする新薬などの開発に道を開く

横顔
: 母方の家系は医師ばかり、父親は哲学科の卒業。大学院では双方からの影響を受け哲学の面白さとサイエンスが両立する病理学を学んだ
 
 

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  柳沢正史・筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構長


筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の柳沢正史機構長

研究内容: 睡眠と覚醒を制御する脳内の神経伝達物質「オレキシン」を発見。不眠症治療薬「デエビゴ」や「ベルソムラ」の開発につなげた

応用例: 不眠症のほか、昼間に突然眠り込む睡眠障害「ナルコレプシー」など、他の睡眠障害の治療薬の開発も進む

横顔
: 大学院生のころ、血管を収縮させて血圧を上げる物質「エンドセリン」も発見。自宅は設計段階から「快眠」にこだわった

 

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満屋裕明・国立国際医療研究センター研究所長


国立国際医療研究センター研究所の満屋裕明研究所長

 

研究内容: エイズの原因ウイルス(ヒト免疫不全ウイルス=HIV)の増殖を強力に抑制する物質を発見し、エイズの最初の治療薬を開発

応用例: 発症から2年以内に9割近くが死亡していたエイズの治療薬開発のさきがけとなる。治療薬「ダルナビル」を国際機関に無償提供し、後発薬の普及に貢献

横顔: 米国で研究を始めた当初はHIV感染を恐れた同僚や技術スタッフが協力してくれなかったことも

 

 

 

竹市雅俊・理化学研究所名誉研究員


理研の竹市雅俊名誉研究員

 

研究内容: 動物の体の細胞同士がくっつくのに必要なたんぱく質「カドヘリン」を発見し、その仕組みを解明した

応用例: 人などの動物の臓器や組織が作られる過程や、がん細胞が別の臓器に転移する仕組みなどの研究に貢献。将来はがんの転移を防ぐ治療法につながる可能性も

横顔: バードウオッチングや熱帯魚飼育などが趣味。水槽の水を浄化するフィルターが実験に活用できると気づき、カドヘリンの発見につながった

 

 

 

岸本忠三・大阪大学元学長
平野俊夫・大阪国際がん治療財団理事長

 


岸本忠三氏㊧と平野俊夫氏


研究内容
: 免疫の炎症などを引き起こすたんぱく質「インターロイキン6」を発見。関節リウマチの治療薬「アクテムラ」の開発につなげた

応用例: 関節リウマチ治療薬は世界売上高が年1000億円を超す「ブロックバスター」に成長した。新型コロナウイルスによる重症の肺炎患者に対する治療薬としても国内外で承認された

横顔: 岸本氏は厳しい指導で優れた研究者を数多く育てた。iPS細胞を発明した山中伸弥・京都大学教授を発掘した「目利き」としても知られる。平野氏は自身を「行動の人」と語り、考えるばかりでなく行動することが大事と若い研究者らに教えた

物理学賞(8日発表)

物理学賞は8日午後6時45分(日本時間)以降に発表される。

これまでに日本の受賞は12人(米国籍取得者を含む)。有力候補として、ペロブスカイト型太陽電池を開発した桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授や金属の電気抵抗がゼロになる「超電導」などの研究で成果をあげた東京科学大学の細野秀雄栄誉教授らがいる。

 

 

宮坂力・桐蔭横浜大学特任教授


桐蔭横浜大の宮坂力特任教授

研究内容: ペロブスカイトという結晶構造の材料を用いて、薄くて軽く曲げられる太陽電池を作った

応用例: これまで設置が難しかったビルの壁面や車の屋根にも設置できる太陽電池の開発が進む

横顔: 40代後半で20年勤めた富士フイルムを退職し、東京大学や慶応義塾大学、日本大学の教員に応募するが採用されず。採用された桐蔭横浜大学は規模が小さいからこそ、成果を出してはい上がろうと頑張れた

 

 

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細野秀雄・東京科学大学栄誉教授


科学大の細野秀雄栄誉教授

 

研究内容: ガラスなどの透明な材料は電気を通しにくいという常識を覆し、透明酸化物半導体を開発。電気抵抗がなくなる超電導でも成果

応用例: 高精細で消費電力の少ないディスプレーを実現。スマートフォンなどに相次ぎ採用された

横顔: 「ありふれた元素で優れた素材を作る」ことを研究のポリシーに据える

 


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大野英男・東北大学元学長


東北大の大野英男元学長

 

研究内容: 磁石の性質を持つ半導体「強磁性半導体」を作ることに成功

応用例: 電子の磁石の性質を利用して省電力の半導体を実現する研究が進む

横顔: ノーベル賞受賞者の江崎玲於奈氏の研究室に研究員として1988年に赴任。江崎氏から「誰もなし遂げていない成果を」と激励され続けた

 

 

 

 

佐川真人・大同特殊鋼顧問


大同特殊鋼の佐川真人顧問

 

研究内容: ネオジムと鉄、ホウ素などからなる「ネオジム磁石」を開発。1センチ角の磁石で数キログラムの鉄の塊を持ち上げる世界最高性能の磁力を実現

応用例: 省エネ性能の高い小型モーターの開発につながり、ハイブリッド車からハードディスクまで幅広く利用が進展

横顔: 富士通研究所(当時)の在籍時に研究を思いついたが、同社が研究を打ち切ったため住友特殊金属(当時)に移籍。その後、自らスタートアップ企業も設立した

 

 

 
 
 
 
 
香取秀俊・東京大学教授
 

東京大の香取秀俊教授と光格子時計
 

 

研究内容: 世界一正確な「光格子時計」を発明した。時計の誤差は300億年に1秒といわれる

応用例: 相対性理論に基づくわずかな時の遅れを検知でき、精密な高度計測や地震予知、地下資源の探索などに使える。日本標準時の維持にも利用されており、2030年ごろ決まる「1秒」の新たな基準の有力候補となる

横顔: 少年時代はラジオを自作する電子工作マニアだったが、中高では文学少年に一転し、太宰治や三島由紀夫を読みふけった。当時好んだヘッセは今でも再読している
 

 

 

 

 

 

 

化学賞(9日発表)

化学賞は9日午後6時45分(日本時間)以降に発表される。

これまでに日本の受賞は8人。有力候補として、分子がひとりでに組み上がる「自己組織化」の研究で有名な東京大学の藤田誠卓越教授や京都大学の北川進特別教授らがいる。

 

 

 

藤田誠・東京大学卓越教授



東京大の藤田誠卓越教授

 

研究内容: 分子が自然と集まって新しい機能や構造を持った化合物を作り出す「自己組織化」技術を開発

応用例: 数年かかっても特定できなかった分子の構造を数週間で特定することが可能となり、創薬や新素材の開発に貢献

横顔: 千葉大学の助手を務めていたころの「きれいな正方形の分子を作ってみたい」という遊び心が研究の原点に



 

 

 

北川進・京都大学特別教授



京都大の北川進特別教授

 

研究内容: ジャングルジムのような構造の分子の中に、狙った分子だけを閉じ込める新素材を開発

応用例: 二酸化炭素や水素などを回収したり、貯蔵したりする脱炭素で期待される新素材などの開発に貢献

横顔: 研究を説明する際には「無用の用」という荘子の言葉を持ち出す。「すき間としか思われていなかった空間が重要になる」という指摘だ



 
 
 
 
 
沈建仁(しん・けんじん)・岡山大学教授
 

岡山大の沈建仁教授
 
 
研究内容: 神谷信夫・大阪公立大学特別招へい教授と植物が光合成に使う巨大なたんぱく質の構造を解明

応用例: 太陽光によって水から水素などを生産し、新エネルギーとして利用する「人工光合成」の応用研究が進む

横顔
: 光合成の実験では大学近くのスーパーで週に1度30束ほどのホウレンソウを買い込み、スーパーの店員に顔を覚えられたことも。実験で残った茎の部分は家でおひたしにして食べていたがいつしかホウレンソウ嫌いに
 
 

 
 
 
沢本光男・中部大学顧問
 

中部大の沢本光男顧問
 
 
研究内容: ゴムや樹脂をつくる鎖状の「高分子」は副反応を起こすことで鎖の長さがバラバラになり機能が落ちやすくなるが、分子をつなぐ重合で副反応を起こしにくい「精密重合」を開発

応用例: インクジェットプリンターできれいに発色するインクや形を変えやすい高性能ゴムなど産業応用が進む

横顔: 京都大学の教授時代、大阪大学や名古屋大学などの研究室と「オリオン会」という研究会を主催。研究内容について他大学と激しく議論を戦わせることに重きを置いていた
 
東京大の菅裕明教授
 
 
研究内容: 多様な構造を持てる分子「特殊ペプチド」を自由に合成する技術を開発

応用例: 病気の原因になるたんぱく質などにペプチドを作用させて治療する「ペプチド医薬品」の活用の幅を広げる。創業したスタートアップと製薬各社が連携し、100以上の開発プログラムが進む

横顔: スタートアップ事業で得た資金を使い、「将来をリードし飛躍する科学者」を支援する財団を立ち上げた
 

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ノーベル賞

2024年のノーベル賞発表は10月7日(月)の生理学・医学賞からスタート。物理学賞は8日(火)、化学賞は9日(水)、文学賞は10日(木)、平和賞は11日(金)、経済学賞は14日(月)と続きます。

 

 

 

日経記事2024.10.02より引用

 

 

 

ロシアの裏工作、民主主義を壊す 「闇の力」に目向けよ

2024-10-02 11:05:22 | NATO・ウクライナ・ロシア・中国・中東情勢


ロシアのプーチン政権は、10月26日のジョージア議会選への介入が懸念されている=ロイター

 

多くの戦死者を自国軍に出しながらも、ウクライナ侵略を続けるロシアのプーチン大統領の執念は常軌を逸している。そのロシアの脅威は、火力を伴う軍事力にとどまらない。

汚職、利権、脅迫、情報操作……。これらを使った裏工作を浴びせ、狙った国家の中枢に浸透し、強引にロシア色に染めていく。

 

標的は新興・途上国だけではない。11月に大統領選を控える米国にも、ロシアは一層、激しい政治介入を仕掛けている

 

 

分水嶺のジョージア

西側諸国はこうしたクレムリンの「闇の力」に、本気で対抗するときだ。放置すれば、民主主義がさらに揺らいでしまう。

その意味で大きな分水嶺の一つになるのが、ロシア隣国のジョージアで10月26日に実施される議会選挙だ。ジョージアは2008年にロシアに侵攻され、約2割の領土を占拠されている。

 

 

世論をみれば、旧ソ連圏でも有数の親欧米国だ。各種の調査では、おおむね8割が欧州連合(EU)への加盟を望む。昨年12月にはEUの加盟候補国になった。

ところが、国政は真逆の方向に突き進んでいる。政権与党「ジョージアの夢」は親ロシアの姿勢をより鮮明にし、ロシアのような強権体制に傾きつつある。

 

議会選に向け、同党首脳が掲げる主張は信じがたいものだ。過半数をとれば、事実上すべての野党を禁止する。

08年、ロシアの軍事介入につながる衝突を招いた「罪」で、当時の政権(現野党)の指導者を裁判にかける意向も示す。まさにプーチン政権が大喜びする内容だ。

 

なぜ政権与党は民意に逆行し、ジョージアをロシア寄りに導くのか。現地で取材すると、プーチン政権の影が浮かび上がる。

 

 

利権と裏人脈

地域の安保情勢などを議論する国際会議が9月2〜3日、トビリシで開かれた。焦点になったのが、プーチン政権の裏工作により、ジョージアなど周辺国がロシアの影響下に引きずり込まれてしまう恐れだ。

ジョージアの議員や政治専門家らによると、議会選に向け、ロシアからの裏工作が激しくなっている。その一つが、利権と裏人脈を使った政治への介入だ。

 

 

 

 

ジョージアには政府・与党の重要人事や政策を牛耳り、「影の権力者」と呼ばれる人物がいる。現政権与党をつくり、12〜13年に首相を務めた大富豪、ビジア・イワニシビリ氏だ。

ロシアで事業を広げ、ジョージアの国内総生産(GDP)の3割強に相当するとされる富を持つ。ロシアにたくさんの資産を抱え、利権上、クレムリンとの深いつながりが指摘される。

 

めったに表舞台に出ないイワニシビリ氏は4月末、異例の行動に出た。集会で演説し、反欧米・親ロシアの姿勢をあらわにした。

これを号令とするように、政権与党による民間への締め付けが強まっている。6月初め、外国から一定以上の資金提供を受けるNGOなどに、登録を義務付ける法を定めた。「政権はなりふり構わぬ形でロシア寄りに傾いている」(地元の政治専門家)。

 

ジョージア国家安全保障会議のバトゥ・クテリア元副長官は話す。「プーチン政権は腐敗した利権網を使って相手国の権力中枢に潜入し、国家の政策決定を事実上、支配する。

これが現在、ジョージアで起きていることだ。政府の偽情報やプロパガンダに支えられており、表面からは見えにくいだけに極めて危険だ」

 

 

 

脅迫も駆使

ロシアは政治介入の手段として、脅迫もひんぱんに用いる。同国のスパイ機関トップ、セルゲイ・ナルイシキン対外情報局(SVR)長官は8月下旬、次のような趣旨の警告を放った。

議会選後のジョージアで、米国がカラー革命(政権転覆)を起こそうとしているという情報を得た。ロシアはそれを阻止したい――。与党が敗北したら、直接介入もあり得る、という脅迫だ。

 

非公開の動向調査によると、与党の支持率は現在、3割程度にとどまっているもようだ。野党「人民のために」の創設者、アンナ・ドリゼ議長は語る。

「世論調査をみれば、与党は勝つのが難しいとわかっているはずだ。彼らは選挙管理局を支配しており、投票結果を操作する恐れがある」

 

仮に与党が敗北したのに負けを認めなければ、大規模な抗議デモが燃え広がるだろう。そうした混乱に乗じ、ロシアが軍事介入するシナリオを恐れる声が、トビリシでは聞かれる。

裏工作によるロシアの脅威は、世界で猛威を振るう。米国務省が22年9月に公表した分析によれば14年以降、ロシアは20カ国以上の政治家や政府関係者に、影響を及ぼすための秘密工作を進めた。投じた資金は3億ドル(約426億円)を超える

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米国も深刻な脅威にさらされる。

米司法省は9月上旬、11月の米大統領選の混乱などをあおるため、身分を偽り、米国内で活動していたロシア国営メディアの職員2人を起訴した。1000万ドルを投じ、偽情報を含めた動画を拡散させていた疑いがある。

 

旧ソ連のモルドバでも10月20日に大統領選があり、ロシアの介入が懸念される。民主主義がクレムリンの「闇の力」に負けてはならない。ジョージアやモルドバの行方がまず、大きな試金石になる。

 

 



 
 
 
秋田 浩之

長年、外交・安全保障を取材してきた。東京を拠点に北京とワシントンの駐在経験も。国際情勢の分析、論評コラムなどで2018年度ボーン・上田記念国際記者賞。著書に「暗流 米中日外交三国志」「乱流 米中日安全保障三国志」。

 

 

 

 

日経記事2024.10.02より引用

 

 


三菱重工の株価、連日最高値 石破内閣が防衛力強化へ

2024-10-02 11:01:13 | 日本政治・外交

(9時50分、プライム、コード7011)三菱重が続伸している。一時、前日比102円50銭(4.48%)高の2386円と、株式分割考慮後の上場来高値を連日で更新した。

1日に発足した石破茂内閣が初閣議で決めた内閣の基本方針で、防衛力の抜本的強化や防災・減災対策に取り組み、持続可能なエネルギー政策を推進するとした。

 

株式市場で防衛関連銘柄として位置付けられる三菱重に買いが向かっている。三菱重株は足元で右肩上がりとなっている。

きょうは朝方こそ相場全体の下落で売り先行で始まったものの、防衛関連として根強い買いが入り、早々にプラス圏に切り返した。

 

同じく防衛関連と位置付けられる川重(7012)や日製鋼(5631)も高い。

市場では「防衛関連は投資テーマとして個人投資家などから関心が高まっている」(国内のストラテジスト)との見方が出ている。

 

中東情勢が一段と緊迫し、軍用品の需要が高まるとの見方から前日の米株式市場では軍需のロッキード・マーチンが3.64%高となった。

米軍需関連に買いが入っていた流れも三菱重株などの買いを誘ったとみられる。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕