
BYDの23年12月期の純利益は2期連続の増益となった
【広州=田辺静】
中国の自動車大手、比亜迪(BYD)が26日発表した2023年12月期の決算は、純利益が前の期比81%増の300億元(約6300億円)だった。
増益は2期連続。電気自動車(EV)の販売が好調で、主力の自動車関連事業は粗利益率が改善した。
売上高は42%増の6023億元だった。売上高の8割を占める自動車関連事業が49%増、スマートフォンの部品や組み立て事業は20%増だった。海外販売比率は27%と、前の期から5ポイント高まった。
自動車関連事業の粗利益率は23%と、3ポイント改善した。BYDは「規模の優位性とコスト管理、さらに原材料価格が下落したことで良好な収益性を維持した」とした。

23年の乗用車の新車販売は6割増の301万台で、うち1割弱が海外販売で24万台だった。
中国市場では小型EV「海鷗(シーガル)」やセダン「海豹(シール)」のプラグインハイブリッド車(PHV)モデルを投入した。
11月には、期間限定で一部車種の値引きにも踏み切った。販売台数が増え、量産効果によって製造コストが下がったとみられる。
販売の内訳はEVが73%増の157万台、PHVが52%増の143万台だった。EVに比べて利益率が高いとみられるPHVの販売も順調だったことも粗利益率の改善に寄与した。
今後の展望については「コア技術の自主開発を強化し、複数ブランドでの展開を推進する」とした。研究開発に関わる人員は23年に22年比で5割増え、10万人を超えた。
BYDの王伝福董事長は今月、北京市で開かれたEVに関するフォーラムで「中国市場の(EVなど)新エネルギー車の販売台数シェアが今後3カ月で50%を超える可能性がある」と発言した。
新エネ車の需要獲得に向け、2月下旬に複数車種を値下げした。今月27日にはEVの多目的スポーツ車(SUV)「元UP」を発表する見通しで、販売攻勢を強める。