
イオンは傘下のウエルシアHDとイオンと業務提携する
ツルハHDを経営統合し国内地盤を固めて海外展開を視野に入れる
ドラッグストア首位のウエルシアホールディングス(HD)と2位のツルハホールディングスは経営統合する検討に入った。
ウエルシア親会社のイオンがツルハHD株を1割強保有する投資ファンドと同社株の取得で最終調整している。取得後にイオン主導で両社の統合を進める。実現すれば売上高で2兆円規模の巨大チェーンとなる。規模拡大で世界展開も視野に入る。
イオンは現在ツルハHD株の約13%強を保有している。香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントと同ファンドが持つ13%程度のツルハHD株について独占交渉契約を結び、取得に向けて協議中だ。
価格など条件面での最終調整に入っており、合意に達すれば持ち分法適用会社にする方針だ。
イオンと子会社のウエルシアHD、ツルハHDは2社統合の検討に入った。イオンはかねてドラッグ店再編を模索しており、同社主導で手続きを進めるためにまずファンドからツルハ株を取得したい考えだ。
統合の具体的な手法は今後詰めるが、株式交換によってウエルシアHDをツルハHDの傘下にする案が浮上している。
オアシスからの取得で合意できるかや、ウエルシアHD経営陣がツルハHDとの統合を受け入れるかなど流動的な面も残っている。

統合が実現すれば国内ドラッグストア市場の8兆3449億円(23年)のうち約4分の1を占め、アジアなどの世界展開に向けた体制が整う。他企業を含めて国内市場で一段の再編が進む可能性もある。
ウエルシアHDの売上高は1兆1442億円(2023年2月期)。ツルハHDは9700億円(23年5月期)とそれぞれ国内ドラッグ店で首位と2位だ。2社を合算すると2兆1142億円となる。
売上高は同業のマツキヨココカラ&カンパニー(9512億円、23年3月期)の倍以上になり、国内で5000店舗以上を抱える巨大なチェーンが生まれる。
ウエルシア・ツルハは日本の小売業でもファーストリテイリングの2兆7665億円(23年8月期)に次ぐ4位となる。イオングループとして見ると2社統合で全体の売上高が10兆円を超え、セブン&アイ・ホールディングス(11兆8113億円、23年2月期)に迫る。
ツルハHDを巡っては23年、同社株を取得したオアシスが会長職の廃止などの9つの議案を株主総会に提案した。ツルハHD側はオアシスの提案に反対し、総会では鶴羽順社長の現体制を軸にした会社側の取締役選任案が可決された。
大株主のイオンは会社提案の賛成に回り、24年1月にはオアシスが保有するツルハHD株を取得する独占交渉に入った。
ツルハHDは北海道を地盤に積極出店と同業他社のM&A(合併・買収)で勢力を拡大し、一時は店舗数で国内首位となった有力企業だ。
1995年にジャスコ(現イオン)と資本業務提携を結び、現在までプライベートブランド(PB)商品の供給などで提携関係が続いている。
イオンの岡田元也会長が21年までツルハHDの社外取締役を務めるなどの関係があった。
ツルハHDはお膝元の北海道で約430店構える一方でウエルシアHDは7店舗にとどまる。商品供給面ではツルハHDとウエルシアHDは青森県内で共同配送に取り組むなどの協業を始めている。

ドラッグ店は、処方薬や大衆薬、日用品のほか食品の扱いも増やしスーパーとコンビニエンスストアに次ぐ小売市場に成長した。
しかし国内は人口減が進むほか医療費抑制の流れが強まっており、業界を取り巻く環境は厳しさを増す。
ドラッグ店業界は市場シェア拡大と効率的なサプライチェーン(供給網)の構築を目指して企業再編が加速しており、21年には大手2社が統合しマツキヨココカラ&カンパニーが発足した。サンドラッグは22年に四国地盤のドラッグ店企業を買収している。

海外に目をやると米国をはじめ製薬会社などとの交渉力を高めるためドラッグ店のメガ化が進んでいる。
デロイト・トウシュ・トーマツがまとめた21年度の小売業売上高ランキングによると、「ドラッグストア・薬局」で首位の米ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスの小売事業売上高は1220億ドル(約18兆円)だった。
2位は米CVSヘルス(15兆円)、3位に香港のASワトソングループ(3兆円)が続く。ツルハHDとウエルシアHDの売上高を合算して同ランキングに当てはめると、世界5位に浮上する。今後の成長戦略の主軸となる海外展開で統合効果を出せるかは課題となる。
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日経記事 2024.02.24より引用
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どうしてもエレクトロニクス・自動車・素材に目が行ってしまいますが、この業界の事はよく知らなかった。 勉強になります。 それにしてもイオンは強い。