いよいよ平家物語も大詰め、最後の決戦の場所が近づく。
源氏の大将義経の率いる軍船は長府、満珠・干珠島のあたりに集結。平家物語は「おひ津」と表現する。追津だろうか。一方平家は本陣を彦島に構え、「ひく島」と書く。「追う」と「退く」とでは勢いが違う。
満珠・干珠がよく見えるのは長府の豊功神社、という前知識を得ていたのだが、道がよくわからず関見台公園の駐車場に車を停め関見台に上がる。
串崎城という毛利の出城の跡地だそうだ。クジラの展望台らしきものがあるのだが、侵入禁止になっているし、眺望がきかなかったので、歩いて豊功神社を探す。
すごくよく見えた。
目の前に白旗を揚げ、ひしめく源氏の軍団、
右手、西から彦島を周って潮に乗り押し寄せる赤旗の平家の軍船。
その潮目が変わり、平家は追い詰められていく。「門司・赤間・壇ノ浦はたぎりておつる瀬なれば」とある通り、狭い海峡の潮の流れは激しいものとなるのだろう。
軍鶏がいた。
白いのは雛かな、と思うのだが、平家物語第11巻「鶏合 壇ノ浦」熊野の湛増は平家に附くか源氏に附くか迷いいくつか占いをする。その一つが鶏合、白鶏7羽赤鶏7羽を戦わせる。白は一羽も勝たないのがなかった。
船軍ならば、と自信を持っていた平家だろうが、既に源氏の実力は水島の戦いの義仲の時とは変わっている。船団を抱えた各地の武者たちが源氏の下に集まっているのだ。
豊功神社の近くに石垣がある。串崎城のものらしいが、その説明板に、この地に藤原純友の配下の本拠地だったと伝えられるとか。