学生時代、障害児教育で、フランスの医師セガンについて少し学びました。セガンは、「精神遅滞児の生理学的教育」の中で「生理学的感覚教育こそが知能の陶冶のための王道であり、記憶でなく経験こそが理念の母である。」 と述べています。学生時代はセガンにあまり興味がわかなかったのですが、実際に知的障害の養護学校勤務時代に子供達にかかわり、日常動作その他の指導をし、そして趣味としてスキーを教わっていくうちに、セガンの教育を思い出していました。 セガンについての学習で印象に残っていることの中に、模倣の難しい子供についての教育についてがありました。そのうち、セガンについて本を読んで、このブログにも書きたいと思っていますが、今回は、スキーの指導に関して思うところを書いてみます。
スキーでの指導では、「このように滑って下さい」とインストラクターが滑って見せ、模倣させる、ということが多いのですが、この模倣は場合によってとても難しいものと感じることがあります。
模倣というのは、まず、相手の動きを目で見て、それを自分の身体を動かした場合はどうなるか、と自分のボディイメージをしないとならないのです。この、目で見て得た情報を、自分の脳の中で、身体を動かした場合へのイメージ変換がうまくなされないと、うまく模倣ができないのです。
ダンスや体操などの指導でも、このように、と見せたところで、右左逆になってしまったりといった間違いは多く起こります。
後ろ姿を見せることで、自分の身体を動かした場合へのイメージ作りをすることが楽にでき、正しい模倣へと導くことに成功することは多いと思います。
スキーでは、何も言わずついておいで、と指導者のすぐ後ろを滑ることが運動のイメージが即身体の動きに伝わり、無意識に上達していく場合が多いです。
また、言葉掛けで運動を導くことは、さらにイメージすることが難しくなります。例えば、右手を前にに出して下さい、と言葉掛けすれば、右手はどっちの手か、ということを頭で判断して、手を前に出すということから連想される動きをイメージして、身体の動きへと変換させていかなければなりません。
小さな子供の右手に物を持たせて、その持った物を指して、「ちょうだい」と言葉掛けすると、右手は前に差し出されます。「右手を前に出す」という言葉は抽象的で混乱しがちな言葉ですが、物を人に差し出す、という方が簡単に身体が動くのです。こうやってごらん、と模倣を促すよりも、「ちょうだい」と言葉掛けする方が、目的の動きが簡単に誘導されるのです。
大人の場合でも、模倣や言葉の指示で身体を動かすのは、大変難しいと感じることが多いです。
「身体を前に持ってきて下さい。」この言葉で、身体全体を前に運ばせることができる人はどのくらいいるでしょうか。「前に」のイメージを持つことはたやすいようですが、身体の部分で言うと、頭の位置を前方に出すことを一番に考えて身体が動いてしまう人は、多くいるように感じます。重心の移動を目的にした言葉掛けのつもりであったなら、頭だけ前に動かしても、重心は前に移動しません。次に多い動きは、腰から上を折り曲げて状態だけを前方に出すことです。これでも重心が前にいくことにはなりません。骨盤が前方に移動しないと、重心が前に移動したことにはならないのです。
スキーでは、よく、身体を前傾させる、と言います。言葉掛けでは、「身体をもっと前に」と良く言われるのではないでしょうか。前傾させる目的は、身体の重心を前方に移動させるということにつながります。この言葉掛けをされても前傾にならない場合、次に「膝を曲げて」の言葉掛けをになることも多くあります。しかし、骨盤が前方に出ず、上体を曲げて膝を曲げるのみ、という状況にしかならないことも起こるのではないでしょうか。
「歩いて下さい」「前方に跳んで下さい」の言葉掛けでは、日常行っている動作ですので、すんなり重心の移動ができる場合がほとんどです。
また、一番安定した姿勢は、足首、膝、腰、首、頭が一直線になっている場合です。身体を前に持ってくる意識を持つと、前述したように、骨盤が後ろ、頭が前方にある姿勢になりがちです。この姿勢で立つことは可能ですが、身体に余計な負担がかかる上、とっさの動きにも対応できません。
運動・・・身体の動きを他人に伝える、教えるということは、目と耳で得た情報を自分のボディイメージとして変換しなければならないので、いつもなかなか難しいと感じています。
スキーでの指導では、「このように滑って下さい」とインストラクターが滑って見せ、模倣させる、ということが多いのですが、この模倣は場合によってとても難しいものと感じることがあります。
模倣というのは、まず、相手の動きを目で見て、それを自分の身体を動かした場合はどうなるか、と自分のボディイメージをしないとならないのです。この、目で見て得た情報を、自分の脳の中で、身体を動かした場合へのイメージ変換がうまくなされないと、うまく模倣ができないのです。
ダンスや体操などの指導でも、このように、と見せたところで、右左逆になってしまったりといった間違いは多く起こります。
後ろ姿を見せることで、自分の身体を動かした場合へのイメージ作りをすることが楽にでき、正しい模倣へと導くことに成功することは多いと思います。
スキーでは、何も言わずついておいで、と指導者のすぐ後ろを滑ることが運動のイメージが即身体の動きに伝わり、無意識に上達していく場合が多いです。
また、言葉掛けで運動を導くことは、さらにイメージすることが難しくなります。例えば、右手を前にに出して下さい、と言葉掛けすれば、右手はどっちの手か、ということを頭で判断して、手を前に出すということから連想される動きをイメージして、身体の動きへと変換させていかなければなりません。
小さな子供の右手に物を持たせて、その持った物を指して、「ちょうだい」と言葉掛けすると、右手は前に差し出されます。「右手を前に出す」という言葉は抽象的で混乱しがちな言葉ですが、物を人に差し出す、という方が簡単に身体が動くのです。こうやってごらん、と模倣を促すよりも、「ちょうだい」と言葉掛けする方が、目的の動きが簡単に誘導されるのです。
大人の場合でも、模倣や言葉の指示で身体を動かすのは、大変難しいと感じることが多いです。
「身体を前に持ってきて下さい。」この言葉で、身体全体を前に運ばせることができる人はどのくらいいるでしょうか。「前に」のイメージを持つことはたやすいようですが、身体の部分で言うと、頭の位置を前方に出すことを一番に考えて身体が動いてしまう人は、多くいるように感じます。重心の移動を目的にした言葉掛けのつもりであったなら、頭だけ前に動かしても、重心は前に移動しません。次に多い動きは、腰から上を折り曲げて状態だけを前方に出すことです。これでも重心が前にいくことにはなりません。骨盤が前方に移動しないと、重心が前に移動したことにはならないのです。
スキーでは、よく、身体を前傾させる、と言います。言葉掛けでは、「身体をもっと前に」と良く言われるのではないでしょうか。前傾させる目的は、身体の重心を前方に移動させるということにつながります。この言葉掛けをされても前傾にならない場合、次に「膝を曲げて」の言葉掛けをになることも多くあります。しかし、骨盤が前方に出ず、上体を曲げて膝を曲げるのみ、という状況にしかならないことも起こるのではないでしょうか。
「歩いて下さい」「前方に跳んで下さい」の言葉掛けでは、日常行っている動作ですので、すんなり重心の移動ができる場合がほとんどです。
また、一番安定した姿勢は、足首、膝、腰、首、頭が一直線になっている場合です。身体を前に持ってくる意識を持つと、前述したように、骨盤が後ろ、頭が前方にある姿勢になりがちです。この姿勢で立つことは可能ですが、身体に余計な負担がかかる上、とっさの動きにも対応できません。
運動・・・身体の動きを他人に伝える、教えるということは、目と耳で得た情報を自分のボディイメージとして変換しなければならないので、いつもなかなか難しいと感じています。