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ブライアンの真空

2004-10-27 07:09:21 | カウンセリング学習会の案内
今朝は、札幌のマチも、一面、真っ白の世界です。

昨晩のカウンセリング学習会の様子です。

「禅セラピー」、「真空」のことにを案内葉書に書いたので、「真空」とは、なんのことを指していっているのか、なじみのない人もいらっしゃるので、以前、友田不二男先生のワークでも取り上げていた、David Brazier:『ZEN THRAPY』(Constable,London)の25~27ページの訳、「ブライアンの真空」についてのプリントを、読むことにしました。

ブライアンとは、カール・ロジャーズの初期の著作『カウンセリングとサイコセラピー(1942)』で引用されている、“ハーバート・ブライアンのケース”と呼ばれている中に出てくる、(おそらくロジャーズがセラピストとしてかかわった)クライエントの名前です。
【“ブライアン氏”が、何回かの好機を得て、“真空(vacuum)即ち閑寂(solitude)の状態になる必要がある”と言及していることに、友田は着目した】とあります。
【友田の見解によれば、“人間というものの真の飛躍もしくは成長は、完全に一人ぼっちである時に生起する。個人の飛躍もしくは成長を確かなものにするのは、なんらかの人間関係においてか、もしくは現実の世の中においてである。がしかし、真の成長が起こるのは、現実の人間関係においてでもなければ現実の世の中においてでもない”友田はさらに語を進める:“このことはまた、禅の真理である。(中略)カウンセリングに関して言えば、ロジャーズ派の技術の真義は、それらの技術がクライエントを援けて完全に一人ぼっちである状態になるようにすることである”と】と、パースナリティの変化が起こる瞬間についてと、その変化が確実なものになる過程(?)についてを、分けて書いてあります。
【一人ぼっち(aloneness)、この個(singleness)という状態、即ちekagata(サンスクリット語)】という表現も、「真空」の状態の解釈の参考になるでしょう。
【心の中には“内なる見ず知らずの人(inner stranger)”があり、神経を尖らせてこれらの他者を凝視するので、一人ぼっちを感じない。内なる見ず知らずの人に気を使う必要から解放される時、邪魔されることなく、自分の内面的探索を遂行することができる】(←要約)


かなり、引用が長くなりましたが、これらの文章を読んで、人間が変革する瞬間に着目し、そこに至るまでの場面づくり、条件づくりが、セラピストの重要な役割になること等を話しました。その場面づくりに関しては、技術、方法論ということになり、様々な理論が出てくるのでしょう。
セラピー場面でなくても、「真空」にある状態、または、言い換えて「安心できる状態になる」、さらに「パースネリティの変革が起こる」場面はいくらでもあるのではないか、という話にもなりました。
確かに、いくらでもあるのかもしれません。
しかし、「真空」の瞬間、パースナリティが変革する瞬間を深く濃密に認識することは、まず、技術論方法論の話にいく前に最も基本的なことであるから、これほど詳しく「真空」に注目して論じているのではないかと思っています。