ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

傾向と対策 その1

2020-09-16 | アメリカ事情

lanternpress.com

 

 

 

注:この記事は長いので二部に分け、今回はその1として、「傾向」について。

 

夫はアリゾナ州とカリフォルニア州に於いて、農家ではないが、農事に関する仕事に長年ついている。先週、肥料会社の専門家との懇談があり、帰宅してから、数字でカリフォルニア州を始めとする西部海岸州の山火事が何故毎年のごとくこれほどひどいのか、専門家の話したことを教えてくれた。

それは、1950〜1960年代には、1エイカーにつき、樹木は40本あるように森林を管理したり、植林をしていたが、最近はなんと1エイカーあたり400はあると言う。樹木が密集すれば、空気の流れが悪くなり、病気や害虫による被害が増加し、樹木を弱らせ、やがて枯死させ、そうした死んでしまった木は、擦れるだけで発火し、山火事を起こす。こうした現象は、森林科学や森林管理論を勉強せずとも、山に住む人は大抵知っていることだから、間伐作業があった。

ところが1970年上院・下院で民主党員多数によって環境保護法が定められ、それ以降極端な保護活動が、当時のヒッピー世代や、Tree Hugger(文字通り、木を愛し、伐採をさせまいと木をハグする活動家など)が、森林保護や管理を正しく理解しないまま、現在のような密集森林を作り上げた。ともすると、人間以外の生物が一番大切であるかのように振る舞った結果でもある。このところの多発すぎる山火事の煙や灰燼の大気に、三種類のインヘイラー(吸入薬)とその他の薬を用いて、やっと気管支喘息発作を抑えようとしているわたしは、少し前に、ある科学情報誌で読んだ記事を思い出した。詳しく言えば、今から7年前の2013年5月21日、環境保護基金のライターであるジェイミー・ワークマン氏が、LiveScienceライブ・サイエンスのExpert Voices(専門家の意見)に寄稿した記事である。以下引用。【 】内は現時点の見識。

 

驚くべき汚染問題:あまりにも多くの木々

1981年に、ロナルド・レーガン大統領は、木が「自動車よりも汚染を引き起こす」と警告したとき、騒動を引き起こした。しかし、最近、私は彼が実際に正しかったことを発見した。

今日、ロッキー山脈からシエラネバダ山脈(カリフォルニア州東部を縦貫する山脈)までの西部の森林には、数十億本の過剰な木が植えられている。これは、森林火災を根絶するという、スモーキーベア*が象徴する長年にわたる連邦政策の意図しない結果である。

*スモーキー・ベアは、アメリカ合衆国林野局が画家アルバート・ステイルと共に創作したマスコット・キャラクターである。山火事の危険性を一般に広めるため、米国林野局・州林業全国協会がこのキャラクターを使用している。スモーキー・ベアを利用したキャンペーンは1944年に開始され、その際は「スモーキーは言う - 注意すれば10の森林火災のうち9を防ぐことができる」というスローガンが用いられた。1947年には「忘れるな……。キミだけが森林火災を防ぐことができる」という現在まで使われるスローガンが考案された。2001年4月、このスローガンは「キミだけが山火事を防ぐことができる」に改められた。スモーキー・ベアとそのスローガンは全米の大人の95パーセント、子供の77パーセントに認知されている

その政策は、我々の森林景観を激変させてしまった。森林地帯では、稲妻による自然発火や先住民による樹木数を管理するため起こされた火災が、常に森林資源をエイカーあたりおよそ数十本に制限していた。 それが変わったのは、1910年に起こった一連の巨大山火事に連邦政府は現在ならば、年間20億ドル以上の費用がかかるプログラムを通じて山火事へ宣戦布告をした事による。 

結果:西部の山岳森林地帯では、1エイカーあたりおよそ112から172本の木が増えた。【注:この数字は7年経った現在それ以上でおよそ400本である】この不自然な植林のプロセス(以前は存在しなかった場所に樹木や樹木が立ち並ぶ)は、環境にやさしく、慈悲深く聞こえるかもしれないが、現実はまったく異なるのだ。

新しい木々の作る天蓋のようになった樹冠が、地面に浸透できなくなった雪と雨の20〜30%をまとめて遮断してしまう。その上、追加植林された各木の根は、18ガロンの湿気を地面から吸い上げ、やがて流出して渇いた小川に無駄に水を与えてしまう。

これが問題を加速させている。ウェスリアン大学の火災生態学者であるヘレン・ポーロスと私は、保守的に、シエラネバダのシエラネバダ針葉樹林750万エイカーの過剰な木が、1日あたり150億ガロン以上、1700万エイカーフィートの体積にもなる年間水量の損失の原因であると推定した。これは、カリフォルニアの全州民の1年間の水需要を満たすのに十分な水量である。【注:加州では農業用水の不足が毎年問題となり、そこに民主党による政治的思惑が重なり、近年では加州選出の元々は農業従事者である共和党議員による嘆願活動により一部では改良している】

原生木の分布を転移拡散させることはまた、森林地帯の状況:温度、化学、生物学を物理的に変化させてしまう。それは土着の動植物種を混雑させ、日陰耐性種が密集し森林を支配するようになる。低強度の自然発生の火が奪われ、元からあるヤマナラシやポプラ、ルピナス、セコイア、および火跡地雑草など再生ができなくなる。鹿は生息地を失いつつある。生存が脅威にさらされているフクロウと猛禽類は、密集している茂みを通り抜けることができないのだ。

そして、不可避な森林火災が過剰に森林に覆われた土地で猛威を振るうとき、その余分な燃料(過剰な樹木)のおかげで、より速くより強い火力となり、他の火災よりも致命的で消火費用がかかってしまう。また、大量の炭素や喘息を誘発する粒子状物質を含む灰燼を大気中に放出するのだ。大火事は、森の真ん中に石炭火力発電所を設置するようなものである。

 

その2に続く

 

 

 

 

 

コメント (5)
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