ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

キャラクター(人格)

2020-09-03 | アメリカ事情

Credit: mutualart.com

Carl Calusd "Rowing boat on stormy sea"

 

 

 

暴風雨の中、船がアメリカ太平洋岸北西部沖のどこかに沈みつつあった。陸では群衆が、ボロボロになった船が沖の岩の上に打ちつけられるのを見ようと集まっていた。何人かの頑健そうな男性たちが救命ボートを漕ぎ出し、難破しかかっている船にいち早く到達しようと必死に櫓を漕ぎ、今にも崩れそうな船の乗組員を救助しようとしていた。

小さな救命ボートが岸に苦労して戻ってくると、誰かが「皆を救えたのですか?」と叫んだ。 

「一人を除いてすべて」、嵐を通して答えが返ってきた。 「到達できなかった人がいるんです。」

ある一人の若者が群衆から出て行き、「誰か私と一緒にもう一人の人を連れて来ましょう」と呼んだ。

すると若者の白髪の母親は叫んだ、「ああジム、行かないでちょうだい!あなたの命を危険にさらさないで。あなたは私に残されたすべてなのよ!」

群衆は、この若者の父親が海で溺死したこと、そして何年か前に彼の兄であるビルが航海中に連絡が途絶えていたのを知っていた。

しかし、若者は「母さん、誰かが行かなければならないんです」と答えた。

他の数人が彼に加わり、一緒にボートを漕ぎ始め、難破船へと向かい、岸辺の人々は心配してそれを見守っていた。

やっと、ボートは難破船から離れるのが見え、再び岸に向かってきた。群衆は、小さなもろい船が波に打ちのめされんとしているのを見守っていた。その難破船はまるで卵の殻のように砕かれているように見えた。人々が皆の無事を祈る間、岸には沈黙があった。 1時間ほどして、絶望的にも見える戦いのような努力を経て、ようやく救命ボートが声を掛けられるほど近くなり、岸から誰かが叫んだ。「もう一人を救出できたのかね?」

すると、声高で明瞭な若者の声が、怒涛の中で、聞こえてきた。「ええ…母さんに助かった人はビルだと教えてください!」

 

 

 

 

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