ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

深紅のリボン

2019-08-21 | わたしの好きなもの

matchesfashion.com 

 

 

 

 

 

私の母は、音楽が好きで、オルガンでは「人魚の歌」などをよく弾き、青空の下で洗濯物を干すときには、好きだったパッツィ・クラインの「国境の南」を口ずさんでいたものだった。タンゴ曲も好きで、真珠取りの歌やラ・クンパルシータなどをラジオやレコードで聴いていたのは、よほどラテン音楽のテンポの良さを気に入っていたかららしい。母だけではなく、叔母たちも音楽は好きで、ピアノやヴァイオリンを演奏し、歌も歌っていた。これはみな祖母の影響であった。祖母は娘たちは芸を身につけたほうがよいと、音楽を奨励していた。母はその頃XXX合唱団の団員、叔母たちは、XX歌劇団で青春を謳歌していたらしい。母は若くして結婚したが、叔母たちは公演などの古い写真を見ると、本当に楽しそうに「活躍」していて、その一人は戦時中フィリピンなどへ日本軍慰問団として訪れていた。

 

私が高校生の頃、母は特にJim Reevesジム・リーブスの歌が好きで、アルバムを購入し、それをよく聴いていた。母はジム・リーブスのCrooner(クルーナー=ソフトな低めの声で情緒を込めて歌う歌手)と呼ばれるにふさわしい滑らかなバリトンをたいそう気に入っていたのだった。母がジム・リーブスとパッツイ・クラインを好んだのは、その美しい声だけでなく、奇しくも二人が小型飛行機事故で1963年(パッツイ・クライン)と1964年(ジム・リーブス)に亡くなったことへの哀悼的な気持ちがあったのかもしれない。

 

私は聴きなれたジム・リーブスの一曲、Scarlet Ribbons(深紅のリボン)が好きだ。この小曲は多くの歌手がクリスマスアルバムに含め、Jo Stafford(ジョー・スタッフォード)が1949年に最初に歌い、Harry Belafonte(ハリー・ベラフォンテ)や最新では1991年日本人にもおなじみのCliff Richard(クリフ・リチャード)が歌ったが、私は、母の影響でジム・リーブスによる歌が一番好きである。

 

Wikiによれば、この曲は、1949年最初に曲ができ、それから歌詞ができたそうである。その歌詞の内容は、ある父親がある晩(おそらくクリスマス・イヴ)娘が寝る前の祈りで、朝には深紅のリボンで自分の髪を結わえたい、というのを耳にすることから始まる。父親はその晩出かけた町の店はすでに閉められ、深紅のリボンが手に入れられないのをがっかりして家に帰り、悶々として夜を過ごす。明け方に再び娘の眠る部屋を覗き、そこに陽気なほどの深紅のリボンがあるのを見つける。父親は驚き、自分が百歳まで生きるとしても、何故そこに深紅のリボンがあったのか、決してわからないだろうと言う。小さなクリスマスの奇跡である。

 

物が溢れていても、多くの心が殺伐としている今、その素朴さと父親の愛に安らぎがあるこの歌は、クリスマスでなくとも何かを訴えかけてくる。この歌は新生児をあやし、寝かしつける時に、必ず口をつく歌である。

 

 

作曲:Evelyn Danzig;作詞:Jack Segal

 "Scarlet Ribbons"

I peeked in to say goodnight
And then I heard my child in prayer
Send for me some scarlet ribbons
Scarlet ribbons for my hair.

All the stores were locked and shuttered
All the streets were dark and bare
In our town no scarlet ribbons
No scarlet ribbons for her hair.

Through the night my heart was aching
Just before the dawn was breaking.

I peeked in and on her bed
In gay profusion laying there
Scarlet ribbons, scarlet ribbons 
Pretty scarlet ribbons for her hair.

If I live to be a hundred
I will never know from where
Came those lovely scarlet ribbons
Scarlet ribbons for her hair...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント (2)
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