北原鈴淳 琴古流尺八教室 in八王子

尺八の音色は心を癒してくれます。

演奏すれば「無」の境地になれ、演奏が終われば満足感、充実感が得られます。

おさらい会

2017-11-14 09:19:00 | 音楽・日々是尺八

 10月29日(日)に自宅で「おさらい会」を開催した。
 時季外れの大型台風22号が日本列島を襲った日である。

 聴きに来ていただくことになっていた、知り合いの88歳Tさん(飯田高校先輩で60歳から尺八を習った)は、台風予想で来られなかった。

 午後一時開始。
 先ずは「さくらさくら」と「夕焼け小焼け」を7月入門のAさんが箏と合奏。

 7孔尺八を持参だが、私は受け入れた。(私は7孔は持っていないが、以前借りて演奏した事がある。難しくはない。)
 Aさんは緊張で出だしが、失敗でやり直し。

 2番目は若いE君が箏と「六段の調べ」、やはり緊張で出だしに失敗。
 3番目はNさんで「新高砂」。箏は本手と替手。

箏の「千鳥の曲」をはさんで、F君の「新娘道成寺」は三曲合奏。やはり皆、前半が緊張でしっくりこなかった。

6番目は箏で「砧」。
いよいよ7番目は「雲井獅子」でF君と私の出番である。

上の写真は、「雲井獅子」の演奏で、私は2尺管を使用している

琴古流尺八本曲で8寸管と2尺管との合奏である。
全体の写真を私だけをトリミングしたものである。

この2尺管は「竹治」銘で永年使用していたが、「正律管」の表示があるにもかかわらず音程が高かった。
だましだまし、メッて演奏していたが、いかんせん音程が高い事に気づき、「ふなぎら」君に修理を頼んだ。

演奏会の日にちが迫っていたので焦り、彼に電話して直してもらう事にした。

ものの見事に、音程を直してくれた。半音位高かったので、首を長く継いでくれて、さらに音程をよくする為、管尻を削ってラッパ状にしてくれた。幸い、手孔は直していない。
お蔭で演奏は上手くいったと思う。


 続いて長澤勝俊作曲「萌春」を箏と合奏。今度は6寸管だ。
 このように2尺管の後に6寸管と持ち替えると、楽器のクセがあるから演奏しづらい。

 この6寸管も実は、いただいた6寸管をふなぎら君が調律してくれた。
 23歳頃、私の弟子の関係で「実業の日本社」の雑誌に掲載されたのを見て、読者が亡き主人の尺八を幸運にも譲ってくれたのだった。これは良く鳴る。

 この「萌春」は名曲である。初演は尺八、坂田誠山。
典型的な7孔尺八向けで、宮田耕八郎、三橋貴風は7孔で演奏している。

 5孔尺八ではテクニックがいる。5孔で見事に演奏しているのは山本邦山である。(リのメリと、ツのメリが吹きにくい)
 私が26歳位の時だった。砂崎知子先生と所属していた「木犀会」で合奏した。

その時、直前にも砂崎先生は山本邦山と「萌春」を演奏していた為、練習の時のテープを貸してくれた。

途中のある部分では具体的に「もっとふわーと春が萌えるように演奏して」と、歌ってくれた。
(甲のロでなく、ヒの五を下からすりあげる奏法)

その後、山本邦山先生とお会いすることがあって、その「萌春」の事を話したところ、何と「もう歳だね」と言われた。未だ、当時邦山は39歳頃だったのに。

おさらい会の「萌春」の最初は上手く行った。だが、途中辺りからやや掠れも生じて来た。
最後の直前なぞは間をしっかり取らずに、感覚で演奏したら、ちょっと箏と合わなくなってしまった。
気づく人は気づくだろう。だが、最後はしっかり締めた。

トリの演奏は吉崎克彦作曲「華紋」で、琴2面、十七絃と尺八。
尺八は門下生F君。
何故私ではないのか? 曲の選定段階で、私が難色を示していた(都山流の楽譜だし、難しそうだったから)ところ、門下生が上手く吹くので、彼に演奏をしてもらった。

現代曲でリズムに乗り、十七絃が入って重厚な演奏となった。

終わって、自宅でそのまま記念撮影と茶話会を1時間ほどして、かねて伝えていた尺八の門下生3人を連れて、土砂降りの台風の中、駅前の「バーミアン」に行った。

先ずは反省会が「残念会」となった打ち上げだったが、笑いが絶えなく、尺八の難しさを語って、つい中生を3杯も飲んでしまった。

新曲(宮城道雄作曲)や現代曲はもはや、都山流の楽譜しか出版されていない状況にある。
これからは琴古流といえども、都山流の楽譜も、五線譜も読めるようにしないと、出来る曲が限られてしまう。