Everyone says I love you !

弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

【橋下維新の会とハシズムの歴史を振り返る 完結編】身内には超甘いのに、他人に対しては身を切る改革=自由と人権を侵害。橋下徹氏が大好きなのは市民に対する「強制」「制裁」そして「独裁」だ。

2022年02月05日 | 橋下維新の会とハシズム

これからもぜひ一日一回、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!!!

にほんブログ村 政治ブログ 政治評論へにほんブログ村

社会・経済ニュースランキング

Amazon 社会・政治・法律

Amazon Kindle ベストセラー

 

 

 ここ2年の新型コロナのまん延に対するコメンテーター橋下徹氏の意見は、とにかく強制と制裁ばかり。

 コロナ用の病床ベッドを出さない医療機関には政府が強烈な制裁を加えるべきだと言って、医療従事者たちから猛反発を喰らったこともありました。 

 日本の病院は少人数でやっている民間の医院が多くて、病院でも強制的にコロナ患者を受け入れろと言われても感染防止対策もままならず、かえって院内クラスターが起きるのが関の山です。

【ハシズム全開】橋下徹氏が「政治が重症・中等症ベッドを増やすよう医療界に命令を出し、従わなければ強烈な制裁」「保険医指定の取り消しくらいの強烈なことを」。#橋下徹をテレビに出すな

 

 

 2022年2月3日には、オミクロン対策について、公共の電波で

「ちゃんと距離をとる、飲食店では距離をとれないからマスクを着ける。

 僕は人流抑制よりも、そっちをある意味、罰則付きでやるべきだと思いますけどもね」

と、マスク会食を罰則付きで強制すると提案していて笑っちゃいましたwww

 

 

 マスクしながら飲食するのが現実的ではないから、まん延防止や緊急事態宣言で飲食店に行くこと自体を制限するわけです。

 それを、橋下氏はマスクして飲食してなかったら罰則=刑罰や行政罰を加えるというのです。

 だいたい、飲食の時どこまでマスクをしていたら許され、どこからは外したことになって罰金なりの刑罰を科するか厳密に規定できますか?

 刑罰や行政罰というのは市民の行動の自由を保障するために、罪刑法定主義と言って、あらかじめ何をしたら刑罰を科せられるか明確に規定していないと憲法違反とされるんです。

 この人は法律のイロハもわかっていません。

「マスク会食 無理」でググったら出るわ出るわ(笑)。

 

 

 そもそも、基本的人権の中核は「自由権」といって、国家からの自由、つまり国家に強制されないことを本質とします。

 表現の自由は自分が表現したいことを国家から制限されずに自由に表現できる権利ですし、思想良心の自由は国家からの制限なしに自由に自分の思想を持てること。

 それなのに、橋下氏は政治家時代からやたら他人の自由を制限して、強制することが大好きでした。

 

 それが裁判所で違憲・違法だと断罪されたのが、大阪市の市職労組合員に対して思想良心に関わるアンケートをしようとした事件でした。

 これは労働委員会でも、大阪地裁でも高裁でも、橋下市長と野村修也氏のやった行為は違憲・違法だという判断が出たんです。

橋下思想調査アンケートは違法とする敗訴判決 当ブログは3年前から!橋下敗訴を予言してました(笑)

 

 

 この思想調査アンケートは、橋下徹市長から依頼された野村修也弁護士(当時・大阪府市統合特別顧問。今はどこかでロースクール教授やコメンテーターもやってますな)らの第三者調査チームが作り、2012年2月に実施しました。

 そして、橋下市長と野村弁護士は、教職員を除く約3万4千人に22の設問への記入を義務づけました。

 このアンケートについて、橋下市長は

「回答しない場合は処分対象になり得る」

と通知しましたので完全に強制でした。

 ちなみに、教職員にも橋下市長はこのアンケートを取ろうとしていたのですが、教育委員会に違法行為だから手伝えないと早々に言われ、教職員へのアンケートは断念したものです。

 そして、橋下市長らはこの思想調査は違法行為だとさんざん指摘されて調査結果の集計だけは諦め、調査内容は調査チームが見る前に破棄したということになっています。







 この調査について、大阪高等裁判所の田中敦裁判長は、労働組合に入っているかとか、活動をしたことがあるかだとかいうアンケートの四つの設問について、団結権(憲法28条)やプライバシー権(同13条)を違法に侵害したと断罪しました。

 そして、橋下前市長にはアンケートが職員の権利を侵害しないよう確認する注意義務があったのに、この注意義務に違反したとして大阪市に損害賠償を認めました。

(国家賠償法の原則で、公務員本人には賠償義務が認められない)

 私も親しくさせていただいている西晃弁護団事務局長は

「アンケートが憲法に抵触する内容を含む違法な公権力の行使であったと明確に判断された勝利判決だ。

 市は上告することなくこの判決を受け入れてほしい」

と話したそうです。

 いつも明るく正義感の強い熱血漢の西先生。

橋下前大阪市長の職員への思想調査アンケートは憲法違反!大阪高裁が橋下氏に注意義務違反認定!

 

 

 橋下氏の強制大好き話はしだすときりがないんですが、子どもの人権をライフワークとして教育問題にかかわってきた弁護士として、橋下氏の次のツイートにはおったまげました。

「教育とは2万パーセント、強制です」

 普通の市民感覚では全く逆でしょう?

 保護者の方にも教育者の方にもわかっていただけると思うのですが、戦前じゃあるまいし、今の教育は何よりも子どもたちの自主性を重んじています。

 それは個人の尊厳を大切にする憲法や教育基本法からも導かれますし、だいたい目先の成績だって強制して勉強させていたらすぐ頭打ち。

 そもそも教育の目的はテストの成績を上げることではありませんが、それにしても子どもたちが自主的に学ぶから成績も伸びるんです。

 橋下氏や維新は教育のド素人のくせをして専門家の言うことを聞かないから、現に、大阪の中学生の成績は維新の10年間伸び悩んでいて、全国41位と低迷したままです。

 

 

 

 また教育現場では、教職員の思想良心の自由や表現の自由、何より教育の自由が守られてこそ、教師たちも子どもたちのそうした自由を守る文化が育まれるわけです。

 ところが、橋下氏は大阪府、大阪市に教育基本条例や君が代・日の丸条例を作り、国旗掲揚国歌斉唱の時にはちゃんと君が代をうたっているか、口元をチェックさせるということまでしました。

 これは石原慎太郎都知事もやらなかった強制です。

橋下大阪府知事・維新の会 違憲・違法の教育基本条例案提出 ハシズムの暴走激化

 

 

 橋下氏は身内には甘いと言いましたが、大学時代の友達とか言う中原徹氏を民間から公募した学校長に任命。

 本当に君が代口元チェックをさせたんです。花粉症でもマスクダメとか。

 今はマスクを強制してでもやらせたいほどマスク好きなのに(笑)。

 おまけにその後、大阪府の教育長にまで任命したのですが、何が起きたかというと、中原氏はパワハラ事件を起こしてあえなく辞任。

 それでなくても大阪の公募校長は問題を起こしまくり。

 これが橋下維新の会がやらかした大阪の教育破壊の実態なんです。

 

祝 「君が代斉唱口元チェック」の中原徹大阪府教育長(橋下市長のご学友)がパワハラで辞任

 

  

 橋下氏が教育のド素人で、子どもたちの気持ちも人権も全く尊重する気持ちがない主張だということがよくわかったのは、大阪府知事になったばかりの時の高校生たちとの対話でした。

 2008年10月23日、地元高校生と私学への助成金削減プランをめぐり、意見交換会を行ない、橋下知事と高校生の意見交換会は90分にわたる大激論となった時のことでした。

 橋下府知事は最後に

「続きはやりましょう。納得するまで」

と言いましたが、懲りたのか、二度とこの企画は行えないほど、高校生に徹底的にやり込められました。

 これが、「橋下流『自己責任』に女子高生号泣」として伝説になっている討論会です。

「『子どもが笑う』 とは皆さんが笑うことではない」橋下大阪府知事が女子高生を泣かせたハシズム全開討論

 

 

 また、橋下氏は子どもたちへの違法な体罰をずっと容認し続けてきました。

 大阪府知事時代の2008年10月26日に大阪府と府教育委員会の討論会で

「子どもが走り回って授業にならないのに、注意すれば保護者が怒鳴り込み、頭を小突くと体罰だと騒ぐ。

 こんなことでは先生が教育をできない」

「口で言って聞かないと手を出さないとしょうがない」

と発言しています。

 

 また、橋下氏は大阪市長になってからも2012年10月2日の大阪市の教育振興基本計画有識者会議で、

「先生ももうちょっと、どうなんですか、懲戒権というか、認めてあげられないもんなんですかねー。ちょっと立たせただけで体罰(と言われる)とかですね…。『これぐらいはいいでしょう』っていうガイドラインを示してあげるとですね…。もう(生徒を)怒れなくなってますよ、先生が」

「胸ぐらつかまれたら放り投げるぐらいまではオッケーだとか、蹴られた痛さを体験しないと(自信)過剰になる。蹴られた痛さ、腹ド突かれた痛さが分かれば歯止めになる」

と、教員が問題生徒に対して行なえる対策が限られていることを問題視し、ガイドラインの一例として、

「僕は、もみあげをつまんで引き上げるくらいまではいいと思うんですけどね、そんなのしょっちゅうありましたし、それぐらいなかったらねー、ダメです。大阪市でそれを体罰とか何とか言われたら、政治で僕が引き受けますから」

と言い放っています。

体罰を容認してきた橋下市長のあるべき反省と謝罪のしかた 追伸あり

 

 

 

 ところが、桜宮高校事件が起こります。

 大阪市立桜宮高バスケットボール部の主将で、顧問に体罰を受けた男子生徒が2012年に自殺したこの事件では、裁判所は2016年2月24日、

「体罰で精神的に追い詰められて自殺した。顧問は自殺を予測することもできた」

と指摘し、大阪市に約7500万円の支払いを命じました。

 ところが、この事件が発覚した当時、橋下市長は2013年1月15日の記者会見では、

「仲間が死んだのだから、今何をすべきか考えてもらいたい。この状況で部活をやったら、人間としてはダメだ」

 1月17日の記者会見では、

「(桜宮高校は)子どもを迎えられる体制ではない。受験生がかわいそうといったことよりはるかに深刻な事態」

「(今春の入試は)あきらめてもらう」

と、部活も入学式も一切させないと言いだしました。

 あげくのはてに、自分も早稲田大学の入試に失敗して浪人したと例をあげながら、同校の入試中止について

「受験生は生きているだけで丸儲け。またチャンスはある」

というのです。

 自分は入試に失敗したのは彼のお得意のフレーズである「自己責任」であって、逆に、自分が悪いわけでもないのに目指していた高校入試がなくなってしまう受験生とは全く立場が違うのに!

桜宮高校生徒への嫌がらせに見るいじめ社会での大人と橋下市長の責任

 

 

 そして、1月23日のツイッターでは

「入試を止めて体罰がなくなるわけではないのは当たり前。しかし今回の問題を本質的に解決するためには生徒・保護者に考えてもらうこと。

 入試を止めて、継続性を絶って、そして考えてもらうことがどうしても必要だ」

などとつぶやき、完全に自分は正義の味方に。

 むしろ被害者的な立場のはずの桜宮高校の生徒と保護者を、十把一からげに加害者側・反省する側にしてしまったのです。

 自分が体罰を容認する風潮を大阪に招いておいて、事件が起きたら学校が悪い、保護者も悪いと責任逃れ。

 どんだけ無責任なんですか。

桜宮高校体罰自殺事件で大阪市に賠償命令。橋下市長の「行き当たりばったり」の言動を振り返る。

 

 

 このように、橋下維新の会のずるいのは、身を切る改革とか言いながら自分と身内には超甘いこと。

 橋下氏は自分の後援会長の息子を特別秘書に雇って、税金から高給を払っていましたし。

 府知事時代にはこれくらい許されていいはずと、なぜかガンバ大阪の選手を府庁に招いて自分のお子さんと会わしていました。

 松井市長もろくに市庁舎に来ないで、来たらサウナに行ったり、公用車にタバコを吸いに行ったりやりたい放題です。

 大阪市職員が職務時間内に喫茶店に行っても懲戒処分なのに。

 他人には強制・制裁で自由と人権を踏みにじり、自分たちはやりたい放題。

 こんな人たちをいつまで私たちは許しておくのでしょうか。

橋下市長が後援会会長の息子を特別秘書にして大阪市が給与を払っている情実採用住民訴訟で文書提出命令!

 

全部書き出したらこんなもんじゃ済まへんねんけど、これくらいにしといたるわ!(笑)

関連記事

【橋下維新の会とハシズムの歴史を振り返る1】菅直人元首相の「ヒットラーを思い起こす」ツイートは人権侵害でもないし、国際的にも何ら問題にならない。

【橋下維新の会とハシズムの歴史を振り返る2】盟友石原慎太郎氏に「彼の演説のうまさ、迫力っていうのは若いときのヒトラーですよ」と褒められた橋下氏とヒトラーの演説に共通するのは、むしろ嘘八百なところだ。

【橋下維新の会とハシズムの歴史を振り返る3】旧民主党をヒトラーの全権委任法以上と批判した橋下徹氏はその年「すべてをマニフェストに掲げて有権者に提起するのは無理」「選挙はある種の白紙委任」と言っていた

【橋下維新の会とハシズムの歴史を振り返る4】ハシズムの要は税金で吉本興業を手先にしての関西のテレビ局支配。その支配が「MBS偏向番組」問題で崩せるチャンス到来だ。

【橋下維新の会とハシズム 番外編】石原慎太郎氏は橋下徹氏の政治家モデル。数限りない暴言虚言と人権無視・傲慢・強権・無責任・反知性。歴史上、石原氏は日本最悪の政治家の一人だった。

 

市民に対しては強制・制裁・独裁。

自分たちはやりたい放題。

これだけ政治家として違憲・違法かつ不当なことをやり続けてきた人が、今もコメンテーターとして放言し放題で、社会的「制裁」を受けていないのがおかしいんですよ。

これからもぜひ一日一回、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!!!

にほんブログ村 政治ブログ 政治評論へにほんブログ村

社会・経済ニュースランキング

Amazon 社会・政治・法律

Amazon Kindle ベストセラー

 

 

橋下徹氏 TV放送、飲食店…マスク着用に言及「人流抑制よりも…ある意味、罰則付きでやるべきだと」

[ 2022年2月3日 11:31 ]スポニチ

橋下徹氏
Photo By スポニチ

 元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏(52)が3日、フジテレビの情報番組「めざまし8(エイト)」(月~金曜前8・00)に出演。理化学研究所などのチームが2日に、スーパーコンピューター「富岳」を使い、新型コロナウイルスの感染リスクを試算した結果を公表したことについてコメントした。

 試算によると、マスクを着用した感染者と15分間会話した場合、1メートル以上距離を取るとオミクロン株でもほとんど感染リスクはなかったが、50センチ以内に近づくと最大で30%程度リスクが上昇する結果となった。理研の坪倉誠チームリーダーは「隣同士で会話するようなシーンでは、距離を取る、接触時間を短くするといった対策が必要だ」としている。

 橋下氏は「シミュレーションの読み方にもよると思うんですけども、グラフで50センチの所まではリスクがあって、急にその後にリスクがなくなっています。これ50センチって普通そんな距離で会話しません、本当に接しているような距離なので」と言い、「1メートルを越え始めると、マスクしてるとほぼリスクないわけで。リスクゼロではないですけど。だから50センチまでの所のリスクを強調するのか、現実50センチの距離はないのでマスクをすれば、ほぼリスクがなくなるよって捉えるのかのどちらかだと思うんですが、僕は後者の立場です」と自身の考えを説明した。

 その上で「であれば、人流抑制ということよりも、マスクを徹底して距離をあければリスクというものは可能な限り低くなる」とし、「じゃあほとんど今、日本人はマスク着けてますけれども、やっぱりポイントのマスクを着けてない場は飲食店とか、あとはこの放送ですよね、ですから僕らもマスクを着けずに。僕は今リモートですけれども」と指摘。そして「ちゃんと距離をとる、飲食店では距離をとれないからマスクを着ける。僕は人流抑制よりも、そっちをある意味、罰則付きでやるべきだと思いますけどもね」と自身の見解を述べた。

 

 

橋下徹氏、コロナ対策で提言「病院に対して強制的にベッドを確保させる法律も作らないと」

橋下徹氏

 この日、「今とにかく備えなければならないことは、入院の必要な患者のためにベッドをできる限り空けておくこと。入院基準の見直しと同時に、医療界への指揮命令権を法律化することも必要」とつづった橋下氏。

 さらに連続ツイートすると、「同時に、病院に対して強制的にベッドを確保させる法律(医療従事者への指揮命令権)も作らないと国民感情が収まらないだろう」と指摘していた。

 

 

橋下氏「医療界に制裁」ツイートに医療関係者が怒り「必死に戦ってきたのに」

配信 女性自身

おおさかナウ
2015年04月05日

政治大阪市思想調査アンケート
憲法上の権利を侵害
大阪地裁判決 橋下市長を断罪


 橋下徹大阪市長が業務命令で全職員に対し政治活動への関与や労働組合への参加を尋ねた大阪市の職員アンケートは違法だと職員59人が訴えた訴訟で、大阪地裁(中垣内健治裁判長)は3月30日、設問の一部が職員の憲法上の権利を侵害していると判断し、アンケートへの回答を義務付けたのは違法と認定。慰謝料約35万円を支払うよう市側に命じる判決を言い渡しました。

日弁連なども人権侵害指摘
 職員アンケートは2012年2月、橋下徹市長名で「正確に回答しない場合は処分対象になり得る」と業務命令で実施。当時、市特別顧問だった野村修也弁護士(第2東京弁護士会)らでつくる第三者チームが担当し、22項目の設問に、消防職員らを除く全職員約3万人に記名式で回答が強制されました。労組や市民の批判に加え、日本弁護士会も「重大な人権侵害だ」と中止を求め、回答書は回収され未開封のまま廃棄されました。

威嚇力背景の強制的な手法
完全勝訴!憲法上の権利侵害を認めた判決を喜び合う原告と支援者ら=3月30日、大阪市北区内
完全勝訴!憲法上の権利侵害を認めた判決を喜び合う原告と支援者ら=3月30日、大阪市北区内

 判決は「市長は、その地位に基づき、職員に対し、職務命令を発出する権限を有しているが、いかなる内容の命令であっても発出できるものでない。職員の権利を侵害することがないよう職務上の注意義務を負っているというべきだ」と指摘。さらに拒否すれば懲戒処分にすると言及したことについて、「威嚇力を背景にした強制的な手法は相当性を欠く」としました。

 判決はその上で、アンケート22項目のうち、特定の政治家の応援の有無を尋ねた2項目は職務と関連しないとし憲法13条のプライバシー権侵害に当たると判断。労働組合の活動経験を尋ねた3項目も「労組活動への参加を委縮させる」とし憲法28条の団結権侵害に当たると認定。アンケートへの回答を強制したのは国家賠償法と民法上の違法行為に当たるとし、職員1人当たり6千円を賠償するよう命じました。

市民の方を向いて仕事する
 永谷孝代原告団長は、「原告59人で頑張ってきたことが今日の勝利につながった。職場に戻ったら判決の意義を広げ、勇気と元気を持って市民の方を向いて仕事をしようと伝えていきたい」と語りました。

画期的判決に喜び
原告・支援者ら決意新たに
勝訴判決の意義を確認しあった報告集会=3月30日、大阪市北区内
勝訴判決の意義を確認しあった報告集会=3月30日、大阪市北区内

 「橋下市長のやり方と言い分が裁判で違法だと断罪された」「原告みんなのたたかいで勝ち取った勝訴判決」。大阪市北区の大阪弁護士会館で報告集会が開かれ支援者ら150人が詰めかけました。全面勝訴の判決を確信に、「胸を張って市民のために仕事を進め、住民とともに進む大阪市をつくろう」と喜び誓い合いました。

 判決内容について西晃弁護団事務局長は、「違法な公権力の行使によって、職員の憲法上の権利であるプライバシー権と労働基本権を明確に侵害したと真正面から認めた画期的判決」と強調しました。

今後の裁判と運動に生かし
 一方で西弁護士は、判決が画期的内容であるものの、「重大な課題が混在する」と述べ、思想・良心の自由や人格権の侵害を訴えた原告側主張を認めず、「設問の一部が原告らの憲法上の権利を侵害するに過ぎない」との判断にとどまった問題を指摘。「今後の裁判、運動とたたかいに生かしていく必要がある」と語りました。

 この点をめぐっては弁護団各氏も言及。「権力組織が1人の人間を押しつぶすようなことをしてはいけない。人間の心は自由であり、それをしばりつけ、押さえつけるようなことをしてはならない」「思想・良心の自由の侵害を認めなかった裁判所の判断は重大な課題を残した。運動とたたかいで乗り越えていきたい」などと述べました。

 原告側が、職場で自由な人間関係を築くという課題をめぐり、「思想調査アンケート」が職員の人格権を侵害したと主張した点について、判決は、「人格権の内容として不明瞭なものだ」などと認めませんでした。

心理的葛藤で精神的苦痛を
 判決をめぐって思想調査アンケートの重圧や悪影響が今日まで職場に暗い影を落としている現実には触れないなどの課題が指摘されました。判決が「心理的葛藤を生じさせ、回答したものも、回答しなかったものも、同じように精神的苦痛をこうむったことが認められる」と認定した点について、弁護団が「原告たちの訴えが正しかったと認めた重要な部分」と指摘しました。

 原告団長の永谷孝代さんは「勝利の報告ができることを本当にうれしく思っています。憲法の権利を侵害する大阪市のやり方は絶対に許してはならないと立ち上がり、裁判をたたかってきてよかった。これから私たちは1人の職員として市民にとって住みよい街、住民サービスを考えて発信していきたい」と語りました。

すべての市民に向けた攻撃
 大阪労連・市地区協議会の矢野正之さんは、原告や組合員らを支援し3年続けてきた区役所前の宣伝活動を振り返り、「橋下市長のやり方は、市職員だけでなく大阪で働くすべての労働者と市民に向けられた攻撃と位置づけてたたかってきた。裁判闘争に続き政治戦でも必ず勝利していきたい」と述べました。

 大阪争議団共闘会議の松本文男議長は、「橋下氏が大阪からいなくならないとたたかいは終わらない。1日も早く大阪からすべての争議をなくすため、原告の皆さんと頑張っていきたい」と述べました。

大阪市「思想調査」をめぐる動き
2011年 
12月19日

橋下市長が就任

2012年

      

1月12日

職員の労働組合・政治活動を調査する市の第三者チームが発足

2月9日

大阪市が「思想調査アンケート」を実施

2月13日 
日本共産党大阪府委員会が調査中止とデータ破棄を要求

2月14日 
中本和洋大阪弁護士会長が調査中止を求める声明

2月16日

宇都宮健児日弁連会長が調査中止求める声明

日本共産党の志位和夫委員長が調査中止せよと談話

2月22日

大阪府労働委員会が「不当労働行為のおそれ」と調査続行を差し控えるよう勧告

「思想調査」撤回・廃案を求める府民集会に2000人超参加

3月2日 北山良三日本共産党市議団長が代表質問で完全中止せよと橋下市長を追及
3月13日 山下芳生参院議員が「思想調査」問題を国会追及
4月2日 市特別顧問の野村修也弁護士が調査データ廃棄を表明。橋下市長は謝罪せず開き直り
4月6日 市特別顧問野村氏が労組立ち合いの下でデータ・用紙を廃棄
6月5日 市民らが「思想調査」費用返還せよと住民監査請求
7月30日 「思想調査」で市職員55人(のちに59人)が市を相手取り大阪地裁へ提訴
2013年 3月25日 大阪府労委が「不当労働行為」と認定した命令書
2014年   6月27日 中労委が「不当労働行為」と認定
7月25日 大阪市議会が市の中労委命令取り消し提訴の議案を否決。中労委命令が確定
8月6日 橋下市長が、中労委命令確定を受け、組合側に謝罪
2015年

1月21日

市労連(連合)など5労組と職員が訴えたアンケート裁判で大阪地裁が違憲判決、賠償命令

(大阪民主新報、2015年4月5日付より)

 

 

これからもぜひ一日一回、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!!!

コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« EUが原子力発電を「グリー... | トップ | 【#維新に殺される】雨がっぱ... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Ml)
2022-02-06 14:26:58
自分達の政敵(=安倍の敵)に対しては、ウソデマ誹謗中傷、暴言何でもありでOKだが、相手の批判は一切許さない。これが維新のスタンス。これ自体反民主主義のナチス態様そのものではないか。
しかしバックに安倍晋三親分と大手メディアが広報についているので怖いもの無し。
彼らの奥の手はスラップ訴訟。橋下徹も吉村洋文もその道のプロ。スラップ訴訟は、経済力ある原告が自分達への批判封じ込めの為、相手への威迫、恫喝を動機目的にやるものらしく、アメリカでは規制の動きも出ているとか。最近橋下徹は、ヒットラー騒動の菅直人から、維新バスターのれいわ大石あきこ議員にターゲットを変え、攻撃的な言動で名誉毀損とスラップ訴訟を起こした。
 身を切る改革を謳い文句にしながら、政党交付金何十億も繰り越し積み上げて、橋下徹に講演料一回200万。税金ロンダリング組織維新。カネは有り余っているんだろう。しかし、カネの力を持って自由な言論批判を封じ込める等、何とも卑劣で鼻持ちならない集団だ。
 最近米山隆一氏のTwitter動画でこの維新の躍進が
第一次大戦後ドイツに出てきたナチスの台頭と経緯が酷似しているという指摘。維新の虚実を抉り出している鋭い分析だ。維新は大阪から出てきた不気味なポピュリズム、ファシスト政党だ。
それを助長しているのが主に今の翼賛テレビメディアやネット。
 7月の参院選、大阪から日本中が愚民化され、一層維新が躍進、日本に安倍維新のファシスト政党が政権取ったりするナチス再来、日本の地獄絵図は見たくない。

 

 
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

橋下維新の会とハシズム」カテゴリの最新記事