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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

青山学院大学経済学部教授の白井邦彦先生に深くお詫び申し上げます。ウクライナ戦争についての即時停戦派・軍事支援反対派批判で失礼で間違った表現がありましたので、謝罪するとともに訂正いたします。

2023年04月25日 | 白井邦彦教授シリーズ

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 ロシアによるウクライナ侵略とその後の数々の戦争犯罪自体が許されないことを前提にした上でも、日本の平和主義者は意見が二分されている状態だと思います。

 当ブログで私はウクライナへの軍事支援は人命救助のための緊急行為としてやむを得ないし、ロシアに対してあくまでも即時・無条件に完全な撤退を求める立場で、ロシアとウクライナに今の現状で即時停戦を求めるのは、ロシアによる占領地での殺戮・強姦・子どもたちの連れ去りなどの蛮行がやりたい放題になるので賛成しないという立場です。

 これに対して、当ブログにも何度もご寄稿いただいてきた白井邦彦青山学院大学教授は、徹底した非軍事主義と人道主義の立場から、ウクライナへの軍事支援は戦争を長引かせて人命が失われるばかりだということで原則反対、ロシアとウクライナにはとにかく即時停戦を求め、その後さまざまな問題については協議したらいいというお立場です。

 今現在進行中の戦争に対して日本に暮らす我々がどうしたらいいかという非常に難しい問いに対する答えですから、もちろん絶対の正解などはないわけです。

当ブログに白井先生からいただいたご寄稿3部作。表題だけでも白井先生のヒューマニズムのお心が良く表れている。

「ウクライナ戦争・即時停戦を-多数の死傷者が出続けることには耐えられない」白井邦彦青山学院大学経済学部教授の特別寄稿。

白井邦彦青山学院大学教授特別寄稿「なによりもまず即時停戦、そして和平交渉へ ーウクライナ政権に軍事支援を行っている国の一市民としてー」

白井邦彦青山学院大学教授特別寄稿「ロシア・ウクライナ戦争の即時停戦・和平交渉による解決を強く訴えます。 ー奪われた領土は取り戻せても、失われた命は二度と戻らないー」

 

 

 私は私で、自分なりの人道主義や法の支配についての考え方から、ロシアに対する即時撤退を求め、ウクライナに対する欧米からの軍事支援もやむなしという考えに至っているので、それ自体が間違っていたというのでは全くないのですが、ただ2023年3月5日に書いた

ウクライナ戦争に対する「即時停戦派」がなぜ「徹底抗戦派」より、国際世論でも国内的にも支持を得られないのか。その理由は即時停戦派の偏頗性=偏っていて不公平、にある。

 あたりから、即時停戦派よりも自説の方が正しいことを証明したい、という私心が前に出てきてしまった反省があります。

 そして、白井先生にむしろ私の方からお願いして始めていただいたnoteで、名指しで当ブログが批判されているのを発見する事態となりました。

 それ以来、どうやってお詫びしようか、訂正しようかと悩んでいて徒らに日々が過ぎていたのですが。。。

ウクライナ「キーウ州全域奪還」 市民多数犠牲、虐殺か - 日本経済新聞

 

 

 たまたま今日、遅ればせながら、ジェームズ・キャメロン監督の「アバター」シリーズの第2作、「アバター ウェイ・オブ・ウォーター」を見てきたんです。

 噂にたがわぬ傑作でした。

 私はこのシリーズの第1作が大好きで、要は初めてアメリカ海兵隊が悪役になり、虐げられし主人公のエイリアンたちがアメリカ原住民のように、またベトナム人民のように反撃してアメリカ海兵隊をやっつけるという、ハリウッド映画史上初めての痛快な作品で、めちゃくちゃ爽快感があったんですね。

 観た当時、大興奮したまま

アバター 西部劇・ベトナム戦争映画の新作

という記事を書いたくらいです(笑)。

 

 

 ところが、そのシリーズ第2作を見たら、同じ傑作でも今回は、悪役で出てくる海兵隊がロシア軍に見え、攻められている主人公たちがウクライナの人たちに見えるんですよ。

 もちろんキャメロン監督も押し付けてはいないけれども、そういうように観客が捉えてもおかしくない描き方をしているのですが、それでこれは私の内なるナショナリズムも相当危険なレベルに達しているとハッとしました。

 また、この春の統一地方選挙で維新が大勝して、とうとう日本維新の会が全国政党化しようとしているでしょう?

 護憲派・リベラル派・平和主義者・左派が、ウクライナ戦争のことで内戦状態になっている場合じゃないとも思います。

 自国が軍国主義化し平和憲法を改憲されそうなのに。仲間同士で争っている余裕などない。

 というわけで、白井先生からご指摘を受けたうちのブログの間違いや、やり過ぎた部分を謹んでお詫びし、訂正していきたいと思います。

 

 

 まず、白井先生は2023年4月14日付け記事

資料紹介 合意寸前までいった和平合意崩壊へのジョンソン元英首相の介入を示した参照原文

で、とうとう、うちのブログを名指しで批判されました。

『すでに多数の方々の賛同をいただいている「今こそ停戦を」ですがそれに対する批判もあることも事実です。例えば下記のようなブログ記事です。
自称「国際紛争処理の専門家」伊勢崎賢治東京外国語大学名誉教授とウクライナ戦争即時停戦派・西側からの軍事支援反対派のトンデモ「反知性主義」がひどすぎる(呆)。 - Everyone says I love you ! (goo.ne.jp)
 率直に申し上げて、ここでの言葉使いはいかがなものか、人格攻撃が過ぎるのではないか、いかに批判するにしても少し失礼ではないか、と思います。またここでの「即時停戦・軍事支援反対派」といっても当日の登壇者か、呼びかけ人か、署名を広げようとしている人か、署名者まで含めるか、不明ですし、それぞれの範囲のなかでもみなが同じ意見でもないので、とりあげられている議論がだれのものかもわからないものもありますが、この中でひっかった点があります。』

 私は私心なく純粋に人道主義の立場から即時停戦論を唱えられている白井先生と違って、伊勢崎氏はいろいろ魂胆がありまくり!と思っているのですが、それにしても伊勢崎氏とそれ以外の白井先生ら良心的な即時停戦派を明確に区別しないまま、乱暴に批判した部分があると思うので、あとで両者を峻別し、かつ言葉使いを本来の「愛と寛容のブログ」らしく直してきます。

 

 さらに、白井先生は続けて同記事で私が書いた

『それどころか、即時停戦派・軍事支援反対派の脳内妄想では実はこの停戦協議がダメになったのは、当時のイギリスのボリス・ジョンソン首相がゼレンスキー大統領と会談した時に、産軍複合体に牛耳られ争を継続したいバイデン米大統領の意向を受けて、ウクライナにロシアと妥協して停戦するなと強く求めたからだというのです。
 出たよ、DS(ディープステート)陰謀論!
 中略
しかもこのジョンソン英首相がアメリカの意を受けてウクライナとロシアの停戦協議を妨げたという話は、このトンデモ声明文の賛同者に入っている早稲田の水島朝穂先生のブログしかなく、そのブログはドイツのヴァーグナーという研究者の文章を抄訳で引用したもので、その研究者が何を根拠にそう言っているのか全く不明です』

という部分に関して、

 『まず「ジョンソン氏介入説」の存在を私が初めて知ったのは水島先生の論考より半年前の22年9月の野口先生の下記の論考からです。
ロシア・ウクライナ戦争の出口戦略 - 野口和彦(県女)のブログへようこそ (goo.ne.jp)(22年9月6日)』

ということで、水島先生のブログ以前からそのような説をご存じであり、水島先生のブログだけが根拠だというのは明確な間違いだとおっしゃっています。

 

 

  そして白井先生は、特に私が書いた

「(水島)先生のブログだけを根拠に孫引きで」

という箇所は、

『少なくとも私は以下の文献を参照しました。ただし私の英語・ドイツ語力からきわめて不正確不十分な読み取りであった可能性は否定しません。しかし「(水島)先生のブログだけを根拠に孫引きで」は明確に事実に反します。』

ということで、当時参照された原文を以下のように列挙されています。

『参照原文
野口先生論考関連
Possibility of talks between Zelenskyy and Putin came to a halt after Johnson’s visit - UP sources | Ukrayinska Pravda(22年5月5日)
Всі проти Росії. Що відбувається за лаштунками мирних переговорів | Українська правда (pravda.com.ua)(22年5月5日、これのみウクライナ語、これのみ自動翻訳のみで参照)
水島先生論考関連
Informationsstelle Militarisierung (IMI) » Der Ukraine-Krieg (imi-online.de)(23年2月23日)
Nr. 1 vom 18. Januar 2023 - Zeitgeschehen im Fokus (zeitgeschehen-im-fokus.ch)(23年1月18日、クヤット議長関連)
Naftali Bennett wollte den Frieden zwischen Ukraine und Russland: Wer hat blockiert? (berliner-zeitung.de)(23年2月6日、当時のイスラエル首相ベネット氏関連)』

 

 ということで、白井先生は

『なお「自称『国際・・・・」のブログ記事の記述のうち、
「水島朝穂先生のブログしかなく」
「(水島)先生のブログだけを根拠に孫引きで」
 の箇所は明らかに事実に反します。「自称『国際・・・・」のブログは「社会派リベラル」のブログとのことであるそうですが、そうであれば、少なくとも明白に事実に反する記述については、それなりの誠意ある対応がなされることと信じています。少なくとも私ならそうしますが。
この点についても皆様はどう考えるでしょうか?』

とおっしゃっておられます。

 あの温厚な白井先生がここまで抗議されるのですから、そのお怒りは大変なものだと拝察しました。

 以上2点、水島先生のブログしか根拠がないということと、即時停戦派が孫引きしているという部分は全く間違いだということですので、謹んでここでお詫びし訂正いたします。

 

 さらに、白井先生はその次の4月17日付けの

『ウクライナ政府側が考える「ウクライナ領」とは-「ロシア軍は撤兵すべき」で留意すべき点-』

という記事でも、私が即時停戦派はボリス・ジョンソン英首相がゼレンスキー大統領に圧力をかけて2022年3月の停戦協議を止めさせたという論は孫引きだと書いた点について

『このnoteでは、これまで水島先生、野口先生、伊勢崎先生の論考やツイートをしばしば引用していますが、その3先生とも、もとになる原文を基本的に容易にアクセスできるようにされています。』

『前回少し述べた「即時停戦・軍事支援反対派」を「『ひどすぎる反知性主義』」と批判するブログでは、「孫引きにすぎない」との断言がなされていましたが、基本容易に原文にアクセスできるようにされていますから、なぜ「即時停戦・軍事支援反対派(といってもその範囲は広い、がだれとも限定されていない、そのすべてに対して)の主張は孫引きによるものだ」と決めつけられるのは、いかなる根拠によるものでしょうか。

批判対象と思われる方には学者の先生方も数多くいますから(ただ私は大学教員ですが学者とはいえません)、そうした決めつけはいかがか、と思います。

ただこの件については生産的とは思いませんから、私からの指摘はこれで終わりにします。私としては自戒を込めて、人格を否定したり安易な決めつけを行うことは慎むべき、と思います。そうした点が私の方でもありましたらご指摘いただければ幸いです。』

と静かな怒りを込めて批判されておられます。

 この点のご指摘も全面的に受け止め、再度お詫び申し上げ、元の私のブログ記事も後ほど訂正してまいります。

 

 2022年3月のウクライナとロシアの停戦協議が結局とん挫した真相について、同年4月9日にボリス・ジョンソン英首相がアメリカの意向を受けて本当にゼレンスキー大統領にロシアと妥協するなと伝えたかは、これから明らかになるかもしれませんが、今はまだ何とも言えないところでしょう。

 白井先生も4月20日付けの

『合意寸前の停戦・和平崩壊の要因として「ジョンソン氏・ないし米英介入論」を示す記事論考等の紹介・検討』

 で

『以上紹介した記事を読む限り、合意寸前であった停戦・和平合意がなされなかったのは、「ジョンソン氏ないし米英などの介入があったため」という指摘はそれなりに信頼できるもの、「少なくともジョンソン氏・米英などの介入ということも要因であったことは完全には否定できない」と言っていいのではないでしょうか。』

とされていて、白井先生らしい慎重さと謙虚さで、ジョンソン氏の介入によるものだと断言はされていません。

 実際、4月9日のジョンソン首相のウクライナ訪問とゼレンスキー大統領の会談以降も、まだ停戦協議の努力がなされている報道が何度もあり、事実ロシアとウクライナの停戦協議が断続的にオンラインなどで続けられ、しかし徐々に情報が出なくなり、5月には完全に立ち消えになったという経緯があります。

 それらを全体的に観察すると、ジョンソン英首相がゼレンスキー大統領に圧力をかけたという事実があったとしてもそれだけで停戦協議がとん挫したのではなく、同会談の前から明らかになったロシア軍によるブチャ虐殺で停戦協議が非常に困難になり、その後もロシア軍の戦争犯罪が明らかになり続けたのとロシア軍によるウクライナ市民への攻撃が止まなかったことが相まって、停戦協議を続行することがウクライナの世論からも無理になった。。。。というのが真相に近いのかなと思います。

 とはいえ、今回の謝罪記事はどのあたりに真実があるか否かに関わらず、私の書きぶりが品性を欠き、また間違った部分があるということでのお詫びと訂正です。

 白井邦彦先生に対してはもちろんのこと、ご不快になられたすべての方に深くお詫び申し上げます。

 

 

 

 

 

白井先生が良く引用されているというお三方の中で、水島先生は白井先生同様私心なく良心に従って自説を述べておられる方だと信頼しています。

野口氏は全く存じ上げません。

しかし、伊勢崎賢治氏は白井先生には申し訳ないのですが、これは私心ところか邪心があると思っております(笑)。

ただ、そこも今回の記事ではポイントではありません。

とにかく、せっかく市民の権利を守るために権力を批判するべく鍛えてきた筆力を、平和主義の仲間である即時停戦派に対して全開して振るい、糞も味噌もいっしょこたにして記事を書いたのがたいへん良くなかったです。

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13 コメント

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偏らない為に出来ること (kei)
2023-04-26 17:55:19
米国ブルームバーグ誌によると「露側の目標はウクライナの完全壊滅でなく、東部の露系住民の保護だ。それはもう達成された。だから露側は勝利宣言して戦争を終わらせるのが良い」と、4月14日にワグネルのプリゴジン氏が提案したそうです。

9年前にウクライナの内戦を知ってから気になって注視していた私には、ドンパス戦を引きずった内戦の延長であり、我慢していたロシアがとうとう軍による在外同胞保護に踏み切ったと思ったので、領土獲得目的の「侵略」や「ブチャの虐殺」などの市民に対する残虐行為も動機に整合性が無くて理解出来ずにいたのですが、それを言うと頭から「非道な人」扱いされるので黙っていました。

会見で発言していた羽場教授の言う通り「虐殺は双方に在った」とするのが国連やアムネスティの公式見解ですから、停戦監視団を置き、この機会に第三者にちゃんと調査してもらい、双方の言い分を精査してもらいたいと思います。
返信する
Unknown (暗黒大将軍)
2023-04-26 21:35:59
古寺多さんには拙コメント全文まで引用して戴き、かなりプレッシャーがかかってる次第です(笑)
しかし彼が他ブログを賞賛するなんて見たこともないし、あのスレのどこを気に入ってもらったんでしょうね

まぁ難しいことばかり書こうとする他のコメント者に比べて私のDQNっぽいネトウヨコメントで大分読みやすくなったでしょ?

このスレですが、僭越ですが私が青学の白井さんをよく知らないからでしょうが宮武さんはむしろ「反論すべき」では、と思った次第です

宮武さんの責任感や人柄はよく伝わってくるんですが、「些細な事実誤認をしない」人も「行き過ぎた表現を用いない」人もいないことを考えれば、出典の扱いが間違ってるという指摘とトーンポリシングだけの白井さんの批判に陳謝、釈明記事が必要だったのかな、という印象です

生意気なことばかり書いてすいません
返信する
Unknown (秋風亭遊穂)
2023-04-26 21:46:37
РОМАН РОМАНЮК による Ukrainska Prawda の英語記事は、上のENG文字をクリックすると表示される。

URLリンクは貼れなくなったのかな?
返信する
Unknown (秋風亭遊穂)
2023-04-26 22:26:13
РОМАН РОМАНЮК による Ukrainska Prawda の英語記事タイトルは「From Zelenskyy's "surrender" to Putin's surrender: how the negotiations with Russia are going」

 これを読んでジョンソン首相が交渉継続を妨害したという考えは間違いとする、РОМАН РОМАНЮК へのインタビューは「No, the West Didn`t Halt Ukraine`s Peace Talks(novara media 2022/10/17).」

引用開始----
Romaniuk disagrees with Eagleton’s interpretation that Johnson halted the peace deal. “Johnson was one of the people whom Zelensky listened to - not because of a dependence on him, but because of relations of trust”, Romaniuk told us. Britain’s prime minister hadn’t come to Kyiv to order a termination of the peace deal; this was advice at best, and as such, his scepticism about Russia’s trustworthiness wasn’t unique. There were strong concerns within Zelensky’s closest entourage that the Kremlin wouldn’t stick to an agreement for any longer than it suited its interests. The risks of signing the Istanbul agreement were high for Ukraine: key provisions, to do with the status of Donbas and Crimea, couldn’t be agreed until a later meeting between the presidents of the two states. Zelensky and his negotiators’ most important worry about the Istanbul agreement was, Romaniuk said, that “Ukrainian society might not accept such a deal”.
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
Romaniukは、ジョンソンが和平合意を中止したというイーグルトンの解釈に同意しない。「ジョンソンはゼレンスキーが話を聞いていた一人だったが、それは彼に依存していたからではなく、信頼関係があったからである。」とRomaniukは語った。英国首相は和平合意の破棄を指示するためにキーウを訪れていなかった;これは良く言っても助言であり、ロシアの信頼性に対する彼の懐疑は他に類を見ないものではなかった。ゼレンスキーの側近には、クレムリンが自分たちの利益に見合う以上の期間、合意を守らないのではないかという強い懸念があった。ウクライナにとってイスタンブール協定に署名するリスクは高かった。ドンバスとクリミアの地位に関する重要な条項は、後の両国大統領の会談まで合意されなかった。ゼレンスキーと彼の交渉担当者がイスタンブール合意について最も懸念していたのは、 「ウクライナ社会はそのような合意を受け入れないかもしれない」 ということだったと、Romaniukは述べた。
引用終わり----

 交渉の経緯を最も詳細に論じた記事はPaul Schäferによる「Die Johnson-Legende, oder: Wie der Westen den Frieden verhinderte」(Europa Blog)が参考になる。停戦合意は寸前だったというのは早計。どこまでの合意だったのかをよく見る必要があると。ベネット発言も検証されている。

 その他、情報ソースが不明瞭なHarald Kujat(あまりいい評判はない)や、ガーディアン紙のSimon Jenkins は信用できない。というか、交渉の場にもジョンソン首相とゼレンシキー会談に立ち会ったわけでもない以上、憶測に過ぎないので検証する意味もない。
 ともあれ、ジョンソンが何を言おうが、別コメントで述べた、その後のウクライナの交渉に前向きな発言がすべてだろう。
*URLが貼れないようなので記事タイトルで検索してください。
返信する
Unknown (ロハスな人)
2023-04-27 04:46:01
白井先生のコメントを受けて冷静に見直されようとされるご姿勢は本当に素晴らしいと思います。

ウクライナ戦争に於いて『武器支援やむなし』は“筋論”としてはおっしゃる通りです。

しかし、以下の状況から…。

☆(経済制裁の効果は)実際は予想よりも小幅にとどまっています。 >
☆「経済制裁だけでロシアに戦争継続を諦めさせるのは難しいと思う。時間がかかる >
☆「ミサイルや戦車などもいずれ尽きるだろうと言われていたものの、一部造れないものを省いたような形で生産を継続している。> BY NHK

 ウクライナ戦争の軍事的な側面に関して言えば、西側報道機関は『ウクライナが終始優勢』と言い続けてきたのに、実際には『押し込まれたまま』どころか、少しずつ後退しています。
 多くの方(特に英米やゼレンスキー大統領の主張のように)『軍事的に取り返す』のは『何年掛かるかわからない』状況です。

それをわかった『米軍制服組トップ』のミリー将軍(大将)は『早期講和』を昨年秋から主張しています。

 経済制裁も『すごく効果的』と言いながら、どう見ても『経済規模が圧倒的に大きい』西側経済の方がダメージが大きいだけでなく、『ロシアが戦争を止めるまでには時間がかかる』というのが冷静な分析結果です。

 白井先生のご主張のように一番大切なのは『可能な限り早期停戦』を斡旋することではないでしょうか❓
 “ロシアの悪行を(国連査察等で)現場検証して突き付け”て、『領土を国際世論を背景に取り返す』のが、『ウクライナ国民の被害』を最小限にする方法と思えます。

 『先にロシアが条件を飲んだら』停戦と言っていたら、(イギリスが劣化ウラン弾の提供を決めてしまったことで)『ウクライナの大地が放射能まみれ』になりそうです。

(※ウクライナ戦争と付随する経済制裁は『世界中の物価高騰』を招いているのですから、戦争と全く無関係な国々“特に貧困国”の国民の生活苦を助長し、“飢餓リスク”を大きく増大させていると思います。
 『“侵略された”ウクライナを支援したい』という宮武さんはじめ多くの方達の気持ちはわかりますが、現実問題として本当に必要なのは『一刻も早い停戦』ではないでしょうか。
 
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230222/k10013987931000.html
【解説】 ウクライナ侵攻1年 ロシアへの経済制裁の効果は
2023年2月22日 NHK

20日発表されたロシアの去年1年間のGDP=国内総生産の伸び率は前の年と比べて2.1%のマイナスでした。一時は欧米などの経済制裁の影響でふた桁のマイナスになるという見方もありましたが、実際は予想よりも小幅にとどまっています。

経済制裁の効果について小泉さんは
「経済制裁だけでロシアに戦争継続を諦めさせるのは難しいと思う。時間がかかる、ロシアにはエネルギーやさまざまな資源を自給できる。基本的な工業製品を造れてしまう。」
「ミサイルや戦車などもいずれ尽きるだろうと言われていたものの、一部造れないものを省いたような形で生産を継続している。近いうちにこれが生産できなくなるという見込みもない。」
としています。
返信する
Unknown (暗黒大将軍)
2023-04-27 12:04:32
停戦が見込み薄なのは、ウク側が意固地になってそれを拒絶してるのではなく、露側にそれをする必要が全くないからそうなってるだけでしょう

80年代の経済ジリ貧の時でさえアフガン侵攻を10年続けましたし、ましてや今は中国、インドによる「ドーピング」という嬉しい追い風もある
安保理貴族として国連全体からの制裁を受ける心配はないし、半導体など不足してると言われた部品も実際は中国からの迂回輸入で米英製が潤沢に入ってくる

経済制裁は「激痛を与えてギヴアップさせる」といったものは過去にも殆どなく、ギヴアップする筈もない相手に長期に亘って不快感、ハラスメント(嫌がらせ)を与えるのが目的
アメリカがイラン、キューバに何十年制裁してもまさか相手が土下座してくるなんて思ってませんし
専門家はそのことをちゃんと伝えませんよね
その意味じゃ今後も「経済制裁の効果」というのはありませんよ

他国を戦地にしたうえでの戦争なら、ご承知のように乗数効果の高い公共投資と言えます
去年のGDPはややマイナスと言ってるようですが、今年は中印プロデュースによる過去最高の経常黒字もあるし「プラス」に転じるでしょうね
この10年ほぼ成長なしの三流経済から脱皮できそうですね(笑)

つまり露にとっちゃ、厄介者のワグネル以外に兵役をどうするか、という問題を除けばむしろ良いこと尽くめと言ってもいいぐらいなので、「停戦?、10年したら考えよか」ってぐらいの了見ですわ

コメント見てるとまだまだ露の「侵攻の大義」とやらを信じてるらしいナイーヴな人も多そうだし、名を捨てて実を取る露は使い捨ての言論コマンドには不自由しませんからね
返信する
皆さま、貴重なコメントありがとうございます! (raymiyatake)
2023-04-27 19:55:09
私事ですが、白井先生からは昨晩メールをいただき、ご寛恕していただくことができました。
さすが人格者でいらしてホッとしました(笑)。

新しく来られた方はご存じないかもですが、keiさんは歴代コメンテーターの中でも有数の賢い方なので、そのご意見はあだやおろそかにはできません。

が、う~~~ん、なんといえばいいか、どうしてそこまでプーチン大統領の言い分やロシアの「大義」みたいなものを丸々受け入れられるのか、やはり理解できないんですよ。

いまのプーチン大統領の言動自体はフェイクやでっちあげではないわけで、動かない言動だけで十分狂気の沙汰だと思うのですが。。。。

それでも一応、頭にはkeiさんの警告も置いておくようにします。
返信する
たった今! (raymiyatake)
2023-04-27 20:20:36
白井先生から5月1日にご寄稿いただけることになりました!

即時停戦派・軍事支援否定派の考え方も大事ですので、批判はもちろん大丈夫なんですが、あんまり激しい否定コメントをしないでくださいね、暗黒大将軍さん(笑)。
返信する
停戦、そして終戦へ (ゴメンテイター)
2023-04-27 22:30:22
各国が、停戦に向けて動き始めています。

フランスのマクロン大統がウクライナ停戦に向けて中国と協議に入ったとの報道が4月20にありました。NHKの早朝のニュースで、です。

また、ブラジルのルラ大統領がウクライナ侵攻をめぐり「ゼレンスキー大統領にも責任がある」、「米国は戦争を助長するのをやめ、平和について話し始める必要がある」と発言したとの情報もあります。

そして、昨夜のNHKニュースと今日の各紙が、習近平国家主席とゼレンスキー大統領が電話会談をしたと伝えました。
この件でゼレンスキー大統領はツイッターで「(習近平氏と)長時間の有意義な電話協議を行った」「この電話(協議)が両国関係の発展に力強い推進力をもたらすと信じている」とつぶやいています。
一方、習近平国家主席は「責任ある大国として、われわれは対岸の火事を傍観することも、火に油を注ぐこともない」「核戦争に勝者はいない。各国は冷静さと自制を保つべきだ」「対話と交渉が唯一の活路だ。中国は建設的な役割を果たす」と述べたそうです。

米英だけが戦争を継続、拡大させようとし、その手下である日本政府が騒いでいる、そんな状況になってきているようです。

岸田首相が進めようとしていた広島戦争サミットが、平和サミットに転じる可能性が出てきたということでしょう。
返信する
Unknown (raymiyatake)
2023-04-27 22:40:14
中国の仲介で停戦協議をすることをウクライナが受け入れるなら、世界中、誰一人反対できる人はいませんよね

本当にそうなったらいいし、欧米の産軍複合体が邪魔しないようにむしろ監視しないといけません

白井先生もウクライナと中国の辺りを書きたいので、数日様子を見たいとのことでした

中国がもしウクライナが言うことを聞かないとロシアに兵器を供与するぞと脅してるんなら話は別ですが、そんなことを言おうもんなら、ゼレンスキー大統領だったらすぐバラシそうなので、言えないでしょう笑笑
返信する
いい加減なことを書かないで下さい (暗黒大将軍)
2023-04-28 02:08:35
中国とロシアに媚びるしか能のないルラが、それくらいのことを言うのは当たり前でしょう
ルラは37か国による経済制裁を「安保理が認めてない不当なもの」とかホザざいてるんですよ
安保理にロシアがいることを知ってて(笑)

習近平は戦後の復興にあやかりたいだけでしょ
今頃調停に本腰を入れるくらいなら今までなぜできなかったのか、と疑問しか沸いてきませんが

「米英だけが戦争を継続、拡大しようとし、その手下である日本政府が騒いでる」ってのも絵に描いたようなモスクワ製プロパガンダで脱力しか感じませんわ

私がここに立ち寄らしてもらったのは、この人や1コメの人みたいなタイプはいないだろうと期待したからですが、買い被りだったようです
どのサイトでもクレムリン信者とは妥協せず争ってきましたが、ここではあまり下品なレスバはできない、ということなので諦めます

このコメントも不適切なら不承認でも構いません
お邪魔しました
返信する
Unknown (raymiyatake)
2023-04-28 02:10:13
あ、下品なわけじゃないし、白井先生から投稿があったときに、白井先生にキツイの書かないでね、ってことです🙏

また来てくださいね♪
返信する
[ポジション変わってない?] (バードストライク)
2023-05-02 11:05:31
「愛と寛容のブログ エブリワン」管理人様は以前、森川弁護士との対話の項で

「ウクライナの18~60歳の男性が戦争の最初に総動員令が出され国外避難が許されていないのは、人類普遍の原理である基本的人権の尊重(この場合、自己決定権や移動・居住の自由)に真っ向から反するのは明らかです。
侵略されている側とはいえ、ウクライナ政府の手も血に汚れていると言えるでしょう」

って書いてあったので、

『え…? じゃ一方的に侵略されてる自分の国を後にさっさと逃亡するのがエエんか?』
って思ったし、別のエントリーで とぉ〜〜っっても控えめにその旨書いたんだけど、特にご返事はいただけませんでしたね(別に返事くれ、とも書かなかったんですけど)。

そして男性国民への総動員を非難しながら、米欧のウクライナへの軍事支援を是とするのは、矛盾してませんか。
『先の記事は1年前のことだから、考え変わったの🌹』っていうなら、それはそれでいいんですけどね。

変わったって
いいじゃないか
にんげんだもの 🥕
返信する

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