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原発設置の許可自体が取り消し!
今日の原告勝訴判決の報をニュースで見て、思わず、「うおおお!!」と声が出ました。
東日本大震災の後、再稼働した福井県にある関西電力の原発「大飯3、4号機」の安全性に問題があるとして、近畿6府県や福井県などの住民約130人が、原子力規制委員会が関電に与えた設置許可処分の取り消しを求めた訴訟の判決が2020年12月4日、大阪地裁でありました。
森鍵一裁判長は原子力規制委員会の判断に対して
「看過しがたい不合理がある」
と断罪し、設置許可処分を取り消したのです。
福島第一原発事故後、設置許可の取り消しを認めた司法判断は初めてです。
同事故後厳しくしたという新規制基準に基づく規制委の審査の過程を司法が否定したことになり、他の原発の審査、それのみならず二酸化炭素減少のためと称して原発に前のめりな菅政権の原発政策にも影響を与えることは必定です。
この裁判の主な争点は、関電が設定した最大の地震の揺れの想定
「基準地震動」
が適切だったかどうかでした。
これは耐震設計の程度などを決める原発の安全性の根幹となる値です。
この基準地震動は、各電力会社が設定し、規制委が内規にあたる「審査ガイド」に従って審査するのですが、本件で問題になった大飯3、4号機の場合、これが最大856ガルと設定されました。
関電はこの地震動への安全対策を強化した設置許可を申請し、規制委はこれを許可しました。
しかし判決は、まず基準地震動の定め方について、新規制基準に適合したものかどうかを判断する審査ガイド中の文言
「(計算式の持つ)ばらつきも考慮する必要がある」
とする部分に着目し、これは福島第一原発事故を受け、地震規模について得られる平均値に何らかの上乗せをする必要性を検討すべきだとの趣旨であるはずだとしました。
そのうえで、大阪地裁は関電の基準地震動を検討したところ、この最大でも856ガルという基準値振動は地震断層などの観測データに基づく「平均値」でしかないと指摘し、そもそも関電が審査ガイドの趣旨に沿って平均値と乖離するデータを検討すること自体をしていないと言っています。
そして、この判決は、規制委も平均値よりも大きな振動があった場合の安全性審査の必要性を検討することなく設置許可を与えており、
「許可するまでの判断過程に看過しがたい過誤、欠落がある」
と指摘したのです。
そりゃそうですよね。
これまでの平均値に収まる地震が次も来てくれるかどうかなんてわからないんですから。
大阪地裁が原発設置許可を取り消すべきだとの判断を示したのは、むしろ当然と言えるでしょう。
この裁判の中で国側は、関電が基準地震動を定める際、断層面積を想定よりも広く設定しているなどと反論し、余裕をもって計算しており、あえて「ばらつき」について考慮する必要はないとしたうえで、
「原告側の試算は科学的な知見に基づかない独自の主張だ」
などと批判していましたが、司法は見事にこの言い訳を一蹴したわけです。
もちろん今回の判決は、仮処分決定と異なり、確定するまで原発の稼働を止める効力は直ちには生じないのですが、大飯原発の設置許可自体を取り消す判決が出ているのに、今停止中の大飯原発を再稼働させることは、これは世論の大きな批判を浴びるのは必至。
また、例えば、同じ福井県にある関西電力の美浜原発3号機は、大飯原発と同様の算出方法で基準地震動を導き出していて、住民側によりますと、基準地震動の算出に「ばらつき」を考慮すれば、現在の最大993ガルの基準地振動を上回って「1330ガル」を想定しないといけなくなるのだそうです。
つまり、ドミノ倒しのように全国の原発で、設置許可取り消し訴訟が起こせ、また勝てるるわけです。
菅政権は地球温暖化対策として二酸化炭素を減らすために、再生可能エネルギーを拡充するよりむしろ原発をまた利用することをもくろんできましたが、今回の原発の設置許可自体を取り消し司法判断は、そんな菅政権の頭をバットでぶん殴ったくらいの衝撃があります。
いやあ、本当にびっくりしました。これはすごい判決だ。
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熊本大地震でも鹿児島の川内原発を止めない安倍内閣と、東日本大震災で静岡の浜岡原発を止めた菅(かん)内閣。
日本から地震国トルコへの輸出原発が、揺れの予想を小さく見積もって値段を安くあげていた。
安倍首相は福島原発事故の可能性(全電源喪失→冷却機能停止→メルトダウン)を指摘されていながら、これを無視してしまった主犯だ。
歴史上、原子力発電所について設置許可自体を取り消す判決が出たのは、2003年の高速増殖炉もんじゅのみ。
しかし、これは実験炉ですから。普通の原発が設置許可取り消しですよ。
この判決が与える脱原発運動への影響は計り知れないほど大きいといえるでしょう。
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福井県にある大飯原子力発電所の3号機と4号機について、大地震への耐震性が不十分だと原発に反対する市民グループが訴えていた裁判で、大阪地方裁判所は、原発の設置を許可した国の決定を取り消す判決を言い渡しました。
福島第一原発事故を教訓にした新たな規制基準が設けられてから、原発の設置許可を取り消す司法判断は初めてです。
関西電力 大飯原子力発電所の3号機と4号機について、関西や福井県などに住むおよそ130人は「大地震への耐震性が不十分だ」と主張して訴えを起こし、設置を許可した原子力規制委員会の決定を取り消すよう求めていました。
原発は、その周辺で想定される最大規模の地震の揺れ「基準地震動」を算出し、それに耐えられる設計になっていることが必要です。
今回の裁判では、規制委員会が審査で関西電力が設定した基準地震動の数値を妥当だとしたことの是非が争われていました。
4日の判決で、大阪地方裁判所の森鍵一裁判長は「関西電力は過去に起きた地震の平均値を用いて、将来、起こりうる地震の規模を想定した。しかし、新しい規制基準は平均値を超える規模の地震が発生しうることを想定しなければならないとしており、基準地震動を設定する際には、数値を上乗せすべきかどうかを検討する必要があった。原子力規制委員会はこうした検討をしておらず、審査すべき点を審査していないので違法だ」という判断を示し、原発の設置許可を取り消しました。
3号機と4号機は現在、定期検査のため稼働を停止していて、判決の効力は国側が控訴すれば生じません。
しかし、福島第一原発事故のあと、裁判所が原子力規制委員会の設置許可を否定したのは初めてで、事故を教訓に規制の在り方を大きく見直してきた国は、司法から厳しい判断を突きつけられた形になりました。
原子力規制委「十分な理解得られなかった」
法廷内 どよめきと拍手
そして、5分ほどの判決要旨の読み上げが終わると、大きな拍手がわき起こりました。
大阪地裁 正門前の支援者からは歓声
原告側で中心的に活動してきた冠木克彦弁護士は「全国の原発に大きな影響を与える判決だ」と話していました。
原告の一人、石地優さんは「主文を読み上げているとき、涙がこみ上げてきた。理屈抜きでうれしく感じた。今後につながる希望がある判決だ」と話していました。
関西電力「極めて遺憾、承服できない」
梶山経産相「判決内容を精査したうえで対応」
大飯町 中塚町長「住民が翻弄され憂慮」
おおい町などの住民は…
このうち大飯原発が立地する福井県おおい町に住む80代の女性は、「地震への対策は必要だとは思いますが、町にとって原発は必要なので原発が動かせなくなったら困ると思います」と話していました。
一方、70代の男性は、「東日本大震災の前に国は原発は安全だと言っていましたが、結果的に事故が起こりました。判決の結果は仕方がないことだと思います」と話していました。
このほか、大飯町町の隣の小浜市に住む80代の男性は、「原発は必要だと思います。地震はいつ起こるかわからないので電力会社には、対策をしたうえで動かしてもらいたいです」と話していました。
原発の「設置許可」
原発の安全性を確認する国の審査を受け、原発を設置しても問題ないと判断されると、設置許可が出されることになります。
この国の審査の時に用いられるのが規制基準です。
地震や津波といった自然災害や、核燃料が冷却できないような重大事故などへの、対策を取ることが定められています。
福島第一原発の事故のあと、規制基準はより厳しくなり、新しい知見を取り入れながら地震に対しても、原発周辺にある活断層の影響などをチェックしてきました。
この新しい基準に基づいて原子力規制委員会は、原発の再稼働を求める電力事業者の対策を評価し、問題がないと判断した場合には審査に合格、つまり設置を許可することになります。
大飯原発3号機と4号機は平成29年5月に審査に合格し、規制委員会から許可を得ていました。
最大の争点は「基準地震動」が十分な数値に設定されているのか
原発は、その周辺で将来起こりうる最大規模の地震の揺れを、過去の地震データや地質構造などをもとに算出し、それに耐えられる設計になっていることが必要です。
この想定の揺れは「基準地震動」と呼ばれ、数値は加速度の単位「ガル」で表されます。
関西電力は大飯原発の基準地震動を「856ガル」と設定し、この大きさの揺れへの耐震性を満たす施設にしているとしています。
原子力規制委員会は審査で数値の設定を妥当と評価し、安全性も確保されているとして、平成29年5月に3号機と4号機の設置を許可していました。
裁判では基準地震動が十分な数値に設定されているのかどうかが最大の争点になりました。
原告側は原子力規制委員会が福島第一原発事故のあと、みずから見直した審査のガイドラインに反していると主張していました。
注目したのが基準地震動に関し「ばらつきも考慮されている必要がある」と、新たに書き加えられたガイドラインの記述です。
「ばらつき」とは過去に起きた地震の中には、その規模が基準地震動の算出に用いられる平均値に近いものだけではなく、大きくかい離したものがあることです。
原告側は「ばらつき」を反映させて計算すると、基準地震動は少なくとも「1150ガル」になると主張しました。
これに対して国側は「ばらつき」をどう考慮するかについて、原告側の解釈には誤りがあると主張しました。
そのうえで「856ガル」は過去に起きた地震の規模や、断層の長さや幅、震源の深さなどをもとに、不確かな部分があることも踏まえて、より安全になるよう大きめに計算されているので妥当な数値だとしていました。
大飯原発の運転への影響は?
今回の判決は仮処分ではなく、国側が控訴すればすぐに効力が生じることはなく、直ちに原発の運転に影響がでる訳ではありません。
4号機は来年1月に運転を再開する計画で、3号機は配管に傷が見つかった影響で現在、再開の見通しはたっていません。
一方、判決が確定すれば設置許可が取り消されるため、運転できなくなります。
原子力規制委員会は「国の主張について裁判所の十分な理解が得られなかったものと考えている。今後については関係省庁と協議の上、適切に対応して参りたい」とするコメントを出しました。
ほかの原発の影響は?
例えば、福井県にある関西電力の美浜原発3号機は、大飯原発と同様の算出方法で基準地震動を導き出していて、住民側によりますと、基準地震動の算出に「ばらつき」を考慮すれば、現在の最大993ガルを上回って「1330ガル」になるということです。
また、基準地震動は、すべての原発で算出する必要があり、今回の判決が今後、各地で行われている原発をめぐる裁判に影響する可能性もあります。
佐賀県にある九州電力の玄海原発3号機と4号機をめぐり、住民が設置許可の取り消しなどを求めて起こした裁判でも、今回と同様に住民側は基準地震動の評価にばらつきを考慮すべきだと主張しています。
この裁判は、来年3月12日に判決が出る見通しです。
関電の原発めぐる司法判断
その多くは退けられていますが、大飯と高浜については運転を認めない司法判断も出ています。
このうち大飯原発の3号機と4号機をめぐっては、平成26年5月に福井地方裁判所が「地震の揺れの想定が楽観的だ」と指摘して、当時、運転を停止していた原発の再稼働を認めない判決を言い渡しました。
これは原発事故後に全国各地で起こされた裁判の中で最初の判決で、その結果が運転を認めないものだったことから、原発を推進してきた国や電力会社に衝撃が走りました。
ただ、仮処分ではないためすぐに効力が生じることなく、関西電力が控訴して行われた2審で平成30年7月、名古屋高等裁判所金沢支部が「原子力規制委員会の審査に不合理な点は認められない」と判断して、福井地裁の判決を取り消し、そのまま確定しました。
一方、高浜原発3号機と4号機をめぐっては、運転を停止していた平成27年4月に福井地方裁判所が「国の新しい規制基準は緩やかすぎて、原発の安全性は確保されていない」という判断を示し、再稼働を認めない仮処分の決定を出しました。
その後、福井地裁の別の裁判長が決定を取り消したことから、翌年1月に、3号機が再稼働しました。
しかし、その2か月後、今度は大津地方裁判所が「事故対策や緊急時の対応方法に危惧すべき点がある」として、運転停止を命じる仮処分の決定を出しました。
この決定により、3号機は運転中の原発で初めて司法の判断によって停止しました。
この決定は1年後の平成29年3月に大阪高等裁判所が取り消したため、3号機は4号機とともに再び運転を始め、高裁の判断も最高裁判所への抗告が行われなかったため、確定しました。
これらの裁判や仮処分はいずれも関西電力に運転をしないよう求めるものでしたが、今回の裁判は国が行った設置許可自体を取り消すよう求めるものでした。
原発訴訟 これまでの司法判断
原子力発電所の運転停止や設置許可の取り消しを求める訴えは、昭和40年代後半から各地の裁判所に起こされましたが「具体的な危険があるとはいえない」などとして、退けられてきました。
平成15年に福井県の高速増殖炉「もんじゅ」をめぐる裁判で、名古屋高裁金沢支部が国の設置許可を無効とする判決を言い渡し、これが住民側の訴えを認めた初めての判決でしたが、最高裁で取り消されました。
平成18年には金沢地裁が石川県の志賀原発2号機の運転停止を命じる判決を言い渡しましたが、高裁で取り消されました。
こうした中、平成23年に福島第一原発の事故が起き、改めて安全性を問う動きが広がり、住民側の訴えを認める司法判断が増えました。
平成26年に福井地裁が福井県の大飯原発3号機と4号機の運転停止を命じる判決を言い渡しましたが、2審で取り消されました。
また、運転停止を命じる仮処分の決定も相次ぎ、福井県の高浜原発3号機と4号機では、平成27年に福井地裁、平成28年に大津地裁が2度、運転停止を命じました。
関西電力は平成28年3月、大津地裁の1回目の決定が出た際に運転中だった3号機の原子炉を停止させ、司法の判断で運転中の原発が停止した初めてのケースとなりました。
運転停止の決定は高裁で取り消され、高浜原発3・4号機は再び運転を始めました。
また、愛媛県の伊方原発3号機では平成29年と、ことし1月に広島高裁が2度、運転停止を命じる決定を出しました。
平成29年の決定はその後、取り消されましたが、ことし1月の決定については広島高裁の別の部で審理され、伊方原発3号機は運転できない状態が続いています。
原子力発電所をめぐる裁判で住民側の訴えが認められたケースは、これで9件目となり、設置許可を無効とする判決は、平成15年の高速増殖炉「もんじゅ」をめぐる判決以来で、2件目です。
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