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プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

高橋栄一郎

2016-11-12 09:49:29 | 日記
1963年

高橋は狭いベンチのなかをカメラマンのフラッシュから逃げて歩いた。口をきくのがめんどうくさいわけでもない。鶴岡監督や捕手の野村に手柄話を聞かれるのがはずかしいのだという。それほど高橋は気が弱く、テレやだ。ナインがひとり残らずロッカーにはいるのをたしかめてから高橋は女性のようにやさしい声でしゃべりだした。「ストレートがよかったです。東映はみんなこの速球にひっかかった。そしてぼくのねらいはズバリ当たった」試合前高橋は大沢にからかわれた。「栄ちゃん(高橋)ことしいくつや」高橋は答えた。「もう二十六歳」大沢は笑っていう。「もう子供があってもええ年や。気が弱すぎる。だから東映のやつらにヤジられる」高橋はこの大沢との会話のなかからこの日のピッチングにひとつのヒントを得た。「気が弱すぎるといわれたとき、ふと思った。東映はそれを計算に入れて攻めてくるのじゃないかとね。だからぼくははじめから強引に攻めていった。シュートをきめ、カーブを忘れて速い球で押したのはそのためだ。東映はたしかにあわてていた」しばらく話し続けると高橋は目をとじて考え込んだ。「苦しかった巨人時代のことを思い出したのか」という質問に、高橋は激しく首を振った。「いや違う。たしかにぼくはきょうの試合に勝った。だが五回に一点とられた。その場面を反省したんだ。安藤(元)に打たれた内角の速球、あの球にはのびがなかった。相手が投手だからかんたんに押えようとリキんでいたんだ」高橋お言葉はつづく。「もう巨人時代のことは忘れた。いや、これでさっぱり忘れられる。まだあのころのことにこだわっていたらこんなピッチングはできない」高橋ははっきりいった。昨年まで1勝もできなかった高橋が、ことしは南海のかせぎがしら。第一目標の5勝はとっくにあげた。

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