1976年
ことしこそはベスト4にーと鼻息が荒い。昨年から投げていてキャリア十分のエース伊藤。切れのいいシュートが武器だが最近はカーブも覚え、ピッチングに幅をつけた。
九回裏二死、四街道最後の打者青井の一打は、低いライナーとなって伊藤投手のグラブにおさまった。東金商の勝利。伊藤投手の両手が高々と上がった。Aシード四街道とガップリ四つに組んだ東金商。エース・伊藤投手は1安打を打たれてノーヒットノーランこそ達成できなかったが、カーブ、速球が小気味よく決まった。「ベンチのサイン通りに投げ、最高のピッチングでした」と伊藤投手はニコリ。得点には結びつかなかったが、自らも三塁打を放ち、打でも活躍。東金商にとっては初の安打、四街道のエース藤井の速球をとらえた見事な当たりだった。今大会屈指の好投手と評判の高かった四街道の小さな大投手藤井に対して「さすがに球速があります」と感心する。鈴木良司監督は「好投手とは言え同じ高校生だから大丈夫だ」と、試合前、ナインを激励した。その効あってか「硬くならず、いつものフォームで打ってくれた。厳しい戦いでした」と鈴木監督。「第一戦の君津戦では外角球を打たれたので、内角の速球で勝負をした」伊藤投手の気迫は十分。この気迫が、ナインに伝わり、藤井投手を攻略した。応援団スタンドには伊藤投手の両親が盛んな声援。「野球が好きで小学校五年からやっていた」と話す父親の静雄さんは投打ともに活躍したわが子の姿にうれしそうで、目にキラリと光るものがあった。
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