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矢ノ浦国満

2023-08-19 17:00:01 | 日記
1977年
矢ノ浦国満(35)ときけば、現役当時の華麗なグラブさばきを鮮やかに思い起こすファンもさぞや多いにちがいない。その矢ノ浦が、大阪で18万余円のゴルフセット一式をだまし取った疑いで逮捕された。架空の名刺を使い、代金は給料日に払うといってそのままドロンー金額といい、手口といい、お世辞にも華麗なとはいいかねるサギ師ぶりである。35年、福岡の東筑高から鳴り物入りで近鉄に入団。たちまちショートの定位置を獲得して2割5分6厘の打率をマーク、新人王の有力候補となるほどの逸材であった。その後もコンスタントに2割7~8分台を打っていた矢ノ浦が、40年、極度のスランプに陥ってしまう。「バクチに狂ってね。鉄火場にもよく出入りしていたましたよ。近鉄を退団するころには、スゴ味のある借金取りが試合前のロッカールームにまで押しかけてきた」41年のサンケイへの移籍は、なかなかユニークなもので「近鉄との合意の上で、サンケイは矢ノ浦自身にトレードマネーを渡したんだ。これで借金を払い、きれいな身体で入ってこい」ってわけさ。それが当時の金で800万というから、矢ノ浦にもまだまだ値打ちがあったんだな」そんな温情がかえってアダとなったのか、サンケイで二年、さらに巨人に移って一年と、矢ノ浦のギャンブル狂いに少しも歯止めはかからなかったようだ。それどころか、ついには生活費にも事欠くありさまで、見かねたサンケイは、給料日に夫人を呼び、直接手渡すことまでしたのだという。それにしても、問題児をひどくキラった川上巨人軍が、なぜ矢ノ浦を入団させたのか。「当時のショートは守備のヘタな黒江でね。背に腹はかえられんというわけですよ」巨人在籍中は七試合に出場して1安打のみ、シーズンオフを待たずにクビとなっている。「矢ノ浦は甲子園でとんでもないエラーをする。大阪の暴力団に多額の借金があって、八百長の片棒を…」-そんなウワサがしきりに流れたのも、ちょうどこのころだった。巨人を退団ののち、矢ノ浦は森徹監督ひきいるグローバルリーグに、主将格で参加するが、「アメリカの競馬に凝って、チームメートはおろか、現地の日系人にも数十万の借金で…」(マネージャーの平野洋司氏)-やはり、である。帰国してからすっかり身を隠していた矢ノ浦の名が、47年8月の新聞紙上を飾った。「勤務先の不動産会社で167万円を横領。バクチにつぎこみむ…」かつて一晩に百万単位の金が動くといわれたプロ球界のギャンブル熱も、例の黒い霧事件を境にすっかりさめ、いまでは賭金もサラリーマンのそれに毛のはえた程度とか。野球記者の間で矢ノ浦こそが最後の大物といわれるユエンであろう。

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