作文小論文講座

苦手な作文を得意に。小学生から受験生まで、文章上達のコツを項目別に解説。作文検定試験にも対応。

教育相談受付中です。

2016-01-22 | お知らせ
 日曜個別作文教室の小中高校生向け講座は、ただ今、満員となっており、受講ご希望の方にはご迷惑をおかけしておりますが、このたび、Skypeによる教育相談を始めました。お子様の現状に合わせて、作文、読解などの勉強の仕方をアドバイスいたします。遠方で通学するのが難しい方にも家庭学習の参考にしていただけると思います。

 教育相談をご希望の方は、ホームページよりお申込みください。

 日曜個別作文教室

昔話の大切さ

2016-01-18 | 作文
 言葉の森では、中学2年生で「複数の意見と総合化」の勉強をします。対象的な二つの意見を挙げ、最後にそれらの上を行く意見で総合化するというものです。さらに、そこに昔話実例を入れます。

 中には、昔話自体をあまり知らない中学生もいるのですが、ほとんどの生徒は、「桃太郎」「一寸法師」「かぐや姫」などの昔話をうまく使って説得力のある実例に仕上げています。

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 物が豊かすぎると、地球環境に悪影響を及ぼす危険もある。今、地球温暖化が進んでしまっている。昔話のおむすびころりんの悪いおじいさんは、良いおじいさんのように宝物をほしがった。しかし、物欲のあまり、ネズミをネコの真似をして驚かせ、土の中でモグラになってしまった。今の地球に住む人間も同じである。生活を快適に過ごそうとするあまり、限りある資源を大量に使って、二酸化炭素を放出したり、無駄に電気を消費したりするなど、地球に悪影響を及ぼしてしまっている。

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 これは、ドキッとさせられる昔話実例です。幼いころに繰り返し読んでもらった昔話が、中学生になってからもこんなふうに役立っているのです。昔話のような単純な物語は、子供の心に印象深くに刻まれます。日本人は、昔話から善悪の判断を学んだり、思いやりの心を育んだりしてきたのだと思います。

 お母さん、お父さんは、お子さんにたっぷり昔話を読んであげてほしいと思います。


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読書好きな子供の作文

2016-01-12 | 作文

 読書好きな子供は、作文も上手なことが多いです。そんな読書好きの小学校5年生の男の子が書いた、水泳のクラス分けテストについての作文の一部を紹介します。この生徒は、いつも、本の一部を切り取ったかのようなすばらしい表現で、テンポよく臨場感あふれる作文を書いてくれます。

 4年生まではスイミングスクールに通っていたので、自信満々でテストを受け、いつも一番上のクラスに入っていたのですが、スイミングスクールをやめてしまったため、今回のテストはあまり自信がなかったようです。

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(テストを待っているとき)

「僕は放心状態だった。」

(テストの番が近づいてきたとき)

「僕は上の空だった。」

(さらに近づいてきたとき)

「僕は、他の人に緊張が感染したかのように、心の底から不安と緊張が膨れ上がり、上の空ではいられなくなった。」
「僕は自分に言い聞かせた。緊張があるというのは、自分の心の奥深くでは、いいプレイにしようと炎が燃えているのだと。」
「だが、そんなに緊張しなくてもいいだろっ叫ぶ自分も心の中にいる。二つの心がせめぎあって、つい僕はクスッと笑った。笑ったことで、僕の心の中に炎が宿った。」

(自分の番になったとき)

「落ち着けと自分に言い聞かせ、テストに挑んだ。」

(テスト中)

「やってみると、テストは苦もなく、泳ぐことができた。自分が余裕で泳いでいることに対して、僕は驚き、ホッとした。つい笑い出しそうになった。だが、我慢した。こんなところで終わってはたまらない。」

(泳ぎ切ったとき)

「水中で思いっきり笑った。嬉しい気持ちがあふれ出た。そのあふれ出した気持ちが、僕の名前を一番上のクラスの名前表に書き込んでくれたのだ。」

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 案ずるより産むが易し。テストの結果は良かったようですが、その結果を出すまでの気持ちの移り変わりが手に取るようにわかります。短い間に刻々と変化する心情を見事に言葉にしています。「緊張があるというのは、心の奥深くでは、いいプレイにしようと炎が燃えているのだ」とは、自分の心の内をよく見つめていると思います。確かに、いい結果を出そうと思わなければ緊張などしないでしょう。心の中の葛藤も冷静に観察しています。また、テスト結果を擬人法を使って表現したところも工夫されています。

 読書好きで、作文が得意な子供は、ときには、背伸びし過ぎて不自然な表現になることもあります。そんなとき、どんなに得意な生徒であっても、決して注意しないことが大切です。書くことに自信を持っている子供ほど、ちょっとした指摘に傷つき、自信をなくしてしまうことがあるからです。ほめることが大事なのは、どの生徒にも共通することなのです。



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親切をしたこと

2016-01-11 | 作文
 今週のテーマは「親切をしたこと」です。小学校3年生の女の子がお年寄りに親切をしたことについて書いてくれました。

 一つ目の話は、1年生のころ、荷物を持ったおばあさんに思い切って声をかけたという話です。学校に行くとき、目の前を重い荷物を持ったおばあさんが歩いていたので、「荷物、持ちましょうか。」と声をかけるのですが、「大丈夫。」と断られてしまいます。そのおばあさんは、「まるで風船をふくらます前のようによぼよぼ」だったそうですが、大きなランドセルを背負った1年生の女の子に荷物を持たせるわけにはいかないと思ったのでしょう。作文にも「おばあさんは、たぶん、めいわくをかけてはいけないと思ったのだと思います。」と書かれています。

 二つ目の話は、電車に乗っているときにおじいさんに席をゆずった話です。このときも、思い切って「どうぞ。」と声をかけるのですが、無視されてしまいます。「もしかしたら、お年寄りなので耳が遠かったのかもしれません。」と書いています。一つ目の話のときもそうでしたが、相手の身になって、想像したことを書いている点がすばらしいと思います。

 そして三つ目の話。やはり、電車の中でおじいさんに席をゆずった話です。三度目の正直で、おじいさんは、とてもうれしそうに、にこにこしながら席にすわってくれたそうです。女の子もほっとしたことと思います。すると、おじいさんは、荷物の中から何やら取り出し、女の子に渡したそうです。それは、なんと、今流行りの妖怪ウォッチのシールでした。しかも、かなりの数だったそうです。なぜ、おじいさんがそんなにシールを持っていたのかは謎ですが、そのシールは、神様からの三回分のご褒美だったのかもしれません。女の子は、そのシールを独り占めすることなく、一緒に出かけていた学童の先生に渡し、みんなで分けたそうです。

 小学校3年生は、作文の結びに、心の中で思ったことを書くことになっています。その女の子は、「親切をされる方は、もちろん、うれしいけれど、親切をする方もうれしくなるから、親切っていいなあと心の中で思いました。」としめくくっていました。これは、実体験を通してでないとわからない感想です。3年生ぐらいの子供にとって、大きな感想を書くのはむずかしいのですが、自分の体験をもとに、親切というものをされる側、する側の両面からとらえています。いろいろな視点から物事を考えられることは、作文を書くことの利点だと思います。


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作文のマンネリ化?

2016-01-11 | 作文
 低学年の保護者の方から、作文がマンネリ化しているという相談を受けることがあります。低学年のうちは、毎回「きょうのこと」という題名で、毎回、朝ごはんのメニューを書き、同じようなたとえを使い……というようなことはあると思います。でも、それをマンネリ化と呼ぶのは少し違うのではないかと思います。

 低学年のうちは特に習慣を作ることが大切です。その時期に、毎週、たとえ字数は短くてもきちんと作文を書いているということは、作文を書く習慣がしっかりできているということです。保護者の方は、まずそのことを認識することです。作文を書く習慣が身に付いたということは、非常に大きな収穫なのです。

 親が子供の作文にマンネリ化を感じたら要注意です。親が抱くマイナスの感情は子供に伝わるからです。たとえ心の中ではそう思っていたとしても、「いつも同じ作文で代わり映えしない」などという気持ちを決して顔に出してはいけません。せっかく軌道に乗ってきた作文の勉強がまた一からやり直しになってしまうからです。

 漢字を繰り返し書く勉強をマンネリ化と呼ぶ人はいません。計算も同じです。作文は、もちろん、創造的な要素があるので、漢字や計算の勉強と同じではありませんが、繰り返しが大切という点では同じです。繰り返し、つまり継続のないところには、変化も成長も生じないのです。

 種から芽が出るまでに、種の中でどんな変化が起きているのか肉眼で見ることはできません。しかし、種の中では、何かが刻々と変化しているのです。変化を確認しようとして種を開けてしまったら元も子もありません。芽が出るまで気長に見守ることが大切です。

 作文の勉強もそれと同じです。作文の勉強には長い時間を要します。マンネリ化しているように見えたとしても、見えないところで何かが変化しているはずです。その証拠に、いつまで経っても一年生のときのままの作文を書く生徒は一人もいません。種の中で何かが変化しているように、子供の内側では何かが少しずつ変わっているのです。

 作文にマンネリ化はありません。マンネリ化を感じるくらい作文を書いているのだとしたら、むしろ喜ぶべきです。お母さん、お父さんは、目に見えない変化を心で感じ、子供の成長をじっと見守ってあげる必要があります。マンネリ化と言う前に、継続力とまだ目には見えていない成長を多いにほめてあげてください。

 ローマは一日にしてならず。即効性のある美容法やダイエット法が危険なように、作文の勉強に即効性を求めるべきではありません。大きな花を咲かせるために、まず必要なことは、途中で芽を摘まないことです(笑)。作文の勉強は先を急ぐものではなく、じっくり育んでいくものなのです。


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小さいころから大切にしているもの

2016-01-10 | 作文

 言葉の森の小学校4年生の課題に「小さいころから大切にしているもの」というのがあります。小学校4年生ですから、この世に生まれてまだ10年くらいしか経っていないわけですが、自分が幼いころから大切にしているものについて紹介し、それにまつわるエピソードを書きます。自分が生まれたときに祖父母が買ってくれたぬいぐるみ、小さいころによく遊んだおもちゃなど、毎回、ほほえましい作文がそろいます。

 小学校4年生では、結びの工夫の練習をします。作文の最後を動作や情景を表す文で結ぶのです。「ぼくは、今日もそのぬいぐるみといっしょに眠ります」「私は、人形をそっとおもちゃ箱にしまいました。」といった具合です。中には、「祖父母に買ってもらったぬいぐるみは、今も押入れの段ボールの中で眠っています。」などというのもあります。講評を書くとき、思わず、「たまには押入れから出してあげてね。」とコメントしてしまいますが(笑)。

 さて、今年もその課題の週が巡ってきました。ある男の子が書き上げた作文を持ってきます。題名を見ると「小さいころから大切にしている人」となっています。長いこと作文の講師をしていますが、こういったケースは初めてでした。早速作文を読んでみると、「ぼくが小さいころから大切にしている人は家族です。」とあります。もうこれだけで感動ものです(笑)。読み進めてみると、お父さん、お母さん、二人のお兄さんがこれまでいかに自分のためにしてくれたことを思い出して綴っているのです。

 毎日食事を作ってくれていること、旅行に連れていってくれたこと、野球を教えてくれたこと、病気のときに看病してくれたことなどなど。そんな家族にいかに感謝しているかが切々と記されていました。そして、最後には、自分が大人になったら、家族に恩返しをしたいと……。誤字もあるし、4年生で習っていると思われる漢字もあまり使われていません。主語述語がうまく合っていない文もあります。それでも、いえ、だからこそ、その男の子の思いが十分に伝わってきました。読み手を意識して気持ちに飾りをつけて書いたわけではなく、自分の素直な気持ちをそのまま書いたということがよくわかるからです。

 作文には、子供の純粋な気持ちが表れます。そんな子供の気持ちに触れるとき、ほっとすると同時に忘れかけていたものを思い出すことができます。子供の作文から教えられることは、決して少なくないのです。
 あなたには、小さいころから大切にしているもの、ありますか?


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