作文小論文講座

苦手な作文を得意に。小学生から受験生まで、文章上達のコツを項目別に解説。作文検定試験にも対応。

情緒的読解力と論理的読解力

2009-06-29 | 読解力
 『公立中高一貫校合格への最短ルール』(若泉敏著)という本の中に、「国語的な問題の読み取り」とは、情緒的な読み取りのことであり、「算数的な問題の読み取り」とは、論理的な読み取りのことであるという内容が書かれていました。「国語的」、「算数的」という言葉が使われているのは、わかりやすい分類にするためで、実際には、どちらも国語の勉強において身につけるべき力だと思います。

 言うまでもなく、物語や詩を読むときは、登場人物の会話から気持ちを推測したり、行間から作者の心情を読み取っていくという情緒的な読み取り方が必要です。しかし、国語の勉強は、それだけではありません。説明文、論説文を論理的に正確に読み取っていくことも、国語の勉強の中で身につけなければいけない力です。本物の国語力とは、算数(数学)、理科、社会、英語など、どの科目を勉強するときにも困らない力だと思います。

 私も、以前は、「国語=文学」というイメージを持っていました。しかし、作文を教えるようになってから、大切なのは情緒的なものだけではなく、文章を論理的に読み取ること、また、論理的に表現することだということがわかりました。確かに、文章に花を添える感覚的な表現や気の効いた言い回しなども身につけておきたいものですが、文章の幹や枝となるような論理的思考を育てることを忘れてはならないと思います。

にほんブログ村 教育ブログ 国語科教育へにほんブログ村
 ↑
ブログランキングのページです。
よろしければ、クリックをお願いします。<(_ _)>

話し言葉と書き言葉

2009-06-27 | 作文
 話し言葉で作文を書いてしまう小学生は、少なくありません。「こないだ」「……けど、」「……してます。」など、細かいところですが、きちんと書き言葉で書いてほしいと思います。

 ところどころに話し言葉が入ってしまう程度なら、急いで直さなくても、良い文章を繰り返し読み、本人が書き言葉を意識するようになれば、自然に書き言葉で書けるようになります。そのたびに注意して、作文嫌いにしてしまう方がずっと問題です。

 ただ、話し言葉を多用している生徒の場合は、書き言葉で綴られた文章を数多く読むことと並行して、話し言葉と書き言葉は違うということを認識させる必要があります。

 私は、月に一度の清書の際に(言葉の森では、月に一度清書の週があります)、話し言葉を赤ペンで直したものを写すように指導しています。実際に手を動かすことによって、話し言葉と書き言葉の違いを身につけてほしいからです。もちろん、一度で直るわけではありませんが、だんだんと自分が書いていた文と正しい書き言葉の文との違いがわかっていくようです。

 直す指導をするときに大切なことは、子供に、間違いを指摘されたと思わせないことです。あくまでも、よりよい作文にするためのアドバイスであるという前提で指導にあたると、子供たちは自信を失うことなく、素直にアドバイスに従ってくれます。

にほんブログ村 教育ブログ 国語科教育へにほんブログ村
 ↑
ブログランキングのページです。
よろしければ、クリックをお願いします。<(_ _)>

読解力をつける問題集読書

2009-06-25 | 読解力
 言葉の森では、受験生に問題集読書を勧めています。毎日10分程度、国語の問題集の問題文だけを黙読するというものです。受験生にとっては、毎日の生活の中で読書の時間を確保することはむずかしいと思います。しかし、読解力は、問題を解く量ではなく、読む量に比例してついていきます。従って、特に受験生は、質の高い文章をコンスタントに読んでいくことが必要です。

 問題を解く必要はありません。問題は解かずに、ひたすら問題文だけを読んでいきます。空欄も気にせずに飛ばして読みます。最初は、文章の内容をつかめなくても構いません。どんどん読み進めていって、問題集の最後までいったらまた最初に戻ります。1冊の問題集を4回読むことが目標です。4回目ぐらいになると、文章の意味がつかめるようになります。


 読むときに注意することは、読み返しをしないということです。後戻りせずに、先へ先へと読んでいきます。この作業によって、速読力が身につきます。読解問題が苦手という子供の場合、速読力がなくて問題を解き切れないことが原因である場合が少なくありません。集中して一度で読み取るくせをつけておきましょう。最初のうちは、読み返しをしないと意味がわからないということもあるかもしれませんが、そんなときも、後戻りしたくなる気持ちをぐっと我慢して先に進みます。4回目になれば、自分でも驚くくらい楽に読み取ることができるようになっているはずです。

 他の勉強と同じように読解力をつけるためにも繰り返しが大切です。同じ文章を繰り返し読むという単純な作業が大きな力につながるのです。受験生のみなさんは、是非、この10分間の問題集読書を毎日の勉強の中に取り入れてみてください。問題集は、過去問を集めたものなど、少し難しめのものを選ぶとよいでしょう。

にほんブログ村 教育ブログ 国語科教育へ
にほんブログ村
 ↑
ブログランキングのページです。
よろしければ、クリックをお願いします。<(_ _)>

三分間作文

2009-06-24 | 作文
 コーチングについて知りたくて、何冊か本を読みました。その中の一冊、『カリスマ体育教師の常勝教育』という本に三分間作文というものが紹介されていました。書く前の一分間、気持ちを落ち着けて何を書くのかをイメージし、その後の三分間で思ったことを一気に書くのです。この方法で回数を重ねると、毎回字数が増えるのだそうです。

 このやり方のよい点は、三分間という時間にあると思います。三分間なら誰でも無理なく取り組めます。集中力も途切れません。結果が字数という形で明確に現れるので、目標を設定しやすく、やる気も高まります。

 この本の筆者である原田隆史さんは、「書くことは思考そのもの、表れた文字は自分の考えですから、書いているうちにどんどん考えが整理できるようになる。文字数が増えるということは思考力が高まってきた証拠です。」と記しています。

 三分間作文は、書くことが苦手な生徒にとっても、得意な生徒にとっても、実力を伸ばすための有効な方法だと思います。三分間作文で鍛えられた集中力と思考力は、普通の作文を書くときにも生かされるはずです。

 じっくり作文を書くの時間がなかなか取れない受験生の人にも毎日できる練習法としてお勧めです。


にほんブログ村 教育ブログ 国語科教育へにほんブログ村
 ↑
ブログランキングのページです。
よろしければ、クリックをお願いします。<(_ _)>


ことわざの引用 ~ゆめの日記より~

2009-06-23 | 作文
 作文にことわざを引用すると、なぜか好感度がアップします。ことわざを引用するためには、もちろん、その意味を理解しておく必要があります。学習漫画で覚えるのも一つの方法ですが、生活の中で自然に身につけていく方法もあります。お父さんやお母さんが会話の中にことわざを使ってみてください。

 先日書いたように、子犬(ゆめ)を飼い始めました。この子犬は、ことわざどおりの行動をすることが多いです。普遍性のあることがらを表したものがことわざなので、それも当然のことなのですが……。人間にも犬にもあてはまるところがことわざのすばらしいところです。

 ゆめの日記より。

「今日は、朝からたっぷり遊んでもらえた。『早起きは三文の得』というが、本当にそのとおりだ。」

「お母さんが朝食の準備をしてくれたけれど、冷めるのに時間がかかって、眠くなってしまった。『果報は寝て待て』ということわざもあるので、眠って待とうと思った。」

「目が覚めると、朝食が置かれていた。太っ腹な(体型ではない)お母さんは、私の餌箱にたっぷりドッグフードを入れてくれる。でも、食べているうちにお腹がいっぱいになってしまったので、少し残してしまった。健康には、『腹八分目』がいちばんだ。」

「朝食が終わって、遊んでいるとき、不覚にもおもらしをしてしまった。『覆水盆に返らず』。困ったことになった。」

「お母さんにすぐに見つかってしまい、少し叱られた。『河童の川流れ』ということもあるのにどうして大目に見てくれないのだろうと思った。」

「仕方がないので、得意の「お手」をやったら、お母さんの機嫌がよくなったのでほっとした。まさに『芸は身を助ける』である。」

「その後、お母さんと一緒にボールで遊んだ。ボールを取りに行くとき、すべって転んでしまった。しかも、そのまま壁に激突した。『泣きっ面に蜂』である。」


(注)本物の日記は、肉球で綴られていましたが、日本語に翻訳しました。

にほんブログ村 教育ブログ 国語科教育へ
にほんブログ村
 ↑
ブログランキングのページです。
よろしければ、クリックをお願いします。<(_ _)>
 

受験にも不可欠な思考力と記述力

2009-06-22 | 作文
 記述力をつけるのは比較的簡単です。言葉の森に入会して間もない生徒の保護者の方がよく言われるのは、国語のテストの記述欄が埋まるようになったということです。これまでは、ほとんど空欄だったのに、解答欄がぎっしり埋まるようになったとおっしゃるのです。

 実際、言葉の森の受講生だった私の二人の子供たちも、記述問題が空欄だったことはなかったと記憶しています。とにかく書く。実は、私もそうでした。高校時代の国語のテストで、「旅は道連れ、世は情け」とはどういう意味かという問題が出されたとき、「旅には道連れが、世には情けが必要だということ。」と書いて中間点をもらいました。それを見た、隣りの席の友人が、そんな解答で中間点をもらえるなら、私も書けばよかったと悔しがっていました。確かにそうだなあと思いました(笑)。

 話が横道にそれましたが、とにかく記述力をつけるのはそれほど難しいことではないのです。記述力は技術です。習慣的に書く練習をしていれば書くことが苦にならなくなり、むしろ楽しいことになっていきます。そして、書くことが得意だと思えるようになるのです。記述力に関しては、自信がつけば、もう問題はありません。

 問題は思考力です。思考力は、一朝一夕では身につくものではありません。積み重ねが必要なのです。思考力を育てるのは自らの経験と他者との対話と読書です。自分ひとりの努力だけで身につく力ではありません。

 小学生の体験は、余程特別な経験をしない限り、高が知れています。大切なのは、対話と読書です。特にお父さんやお母さんの経験談は、親子のふれあいという意味以上に、子供の思考力を育てるために欠かせないものです。子供にとっては、一生の宝となると言っても過言ではありません。だから、たくさん話をしてあげてください。正しいか間違っているかは問題ではありません。とにかくお父さんやお母さんの考えをたくさん聞かせてあげてください。

 読書は、思考力のみならず、記述力を確かなものにするためにも重要です。読書の好きな子供は、すぐに成果が出なくても、必ず、考えることと書くことが得意になります。余裕を持って書くことができるようになります。生徒たちの作文を読んでいると、ぎりぎりのところでがんばって書いているか、余裕を持って書いているかがよくわかります。余裕を持って書いている生徒は、例外なく読書好きの生徒です。

 対話と読書。これは家庭でしかできないことです。子供たちとたくさん話をしてください。そして、読書の機会をたっぷり与えてください。読書好きの子供にするための方法については、またいずれ書きたいと思います。


にほんブログ村 教育ブログ 国語科教育へ
にほんブログ村
 ↑
ブログランキングのページです。
よろしければクリックをお願いします。
いつもありがとうございます。<(_ _)>

入試作文にも役立つ構成図

2009-06-21 | 作文
 作文を書く前に構成図をかくのは、考えを整理し、書き落としをしないようにするという意味があります。もちろん、その結果として、作文を書く時間が短縮されます。

 構成図を単なる下準備のツールとして使うこともできますし、構成図自体を作品として残したいなら、規則を決めて色分けをするなどビジュアル的な工夫をすることもできます。

 入試に出そうなテーマについては、事前に構成図を作り、構造をはっきりさせるために意見や実例を次元別に色分けをしておきましょう。そうすると、俯瞰図を見るように全体の構造が一目瞭然となり、最後の復習をするときにも役立ちます。自分のかいた構成図を、写真のように頭に焼き付けておけば、本番でも落ち着いて作文を書くことができるでしょう。

 構成図には、応用がきくという利点もあります。構成図をかくことに慣れていれば、咄嗟のときには、頭の中で構成図をかくことができます。作文だけではなく、ディベートやスピーチなどにも大いに活用できそうです。

 構成図のかき方は、下記のページをご覧ください。
 言葉の森◆構成図のかき方


にほんブログ村 教育ブログ 国語科教育へ
にほんブログ村
 ↑
ブログランキングのページです。
よろしければクリックをお願いします。<(_ _)>

構成図 ~負うた子に教えられ?!~

2009-06-20 | 作文
 作文の前に構成図をかくようになってから、子供たちの意識が変わってきたような気がします。小学校中学年の生徒には、まだむずかしいかと思っていた構成図ですが、むしろ、中学年くらいの方が何の抵抗もなく、楽しく取り組んでいます。構成図と作文との間にギャップがある場合も少なくはないのですが、構成図をかくことによって、考えを広げたり深めたりできることは、それだけでプラスになると思います。作文からだけでは見えてこない子供の知識や考えを知ることができるという点で、私にとっても大きな意味があります。

 今日は、むずかしい感想文に取り組んでいる6年生の生徒が構成図に何をかけばよいのかわからないと質問をしてきました。構成図に決まりはありません。何をかいてもよいのです。その生徒にとっては、何をかいてもよいという自由さがかえってネックになってしまったようです。そんなときは、具体的にアドバイスをします。感想文の元になっている文章を読んでわかったこと、気づいたこと、身近なところで見つけた似た話、それに対する自分の考えなどをかけばよいのだといくつか具体例を挙げながら説明しました。すると、その生徒は、すぐに構成図をかきはじめ、あっという間にすべての枠を埋めてしまいました。

 感想文と一緒に提出された構成図を見ると、それぞれの枠に○印がつけられています。構成図にかいたことをなるべく感想文の中に取り入れようと、文章に書いたものにチェックをしていったのです。誰でも思いつく作業かもしれませんが、そのようなことをした生徒は初めてでした。確かに単純な作業ではありますが、私は非常に感心しました。この方法を使えば、構成図と作文とのギャップを埋めることができるでしょう。もちろん、構成図にかいたことをすべて作文に織り込む必要はないのですが、すばらしい構成図をかいているのに作文に反映されていない生徒の指導には有効な方法なので、これから試してみたいと思っています。

にほんブログ村 教育ブログ 国語科教育へ
にほんブログ村
 ↑
ブログランキングのページです。
よろしければクリックをお願いします。<(_ _)>

ほめる指導の大切さ

2009-06-19 | 作文
 子犬を飼い始めました。いろいろとしつけなければならないことがあって大変です。(でも、楽しいです。)しつけのポイントは、大袈裟にほめること。ちゃんとトイレができただけで、「わあ、お利口さん。ゆめちゃん、すごいねぇ。ゆめちゃん、天才!」と何度も繰り返します。(ゆめは犬の名前。)ゆめもうれしそうです。自信たっぷりの得意げな顔をしています。

 私は、作文を教えている生徒に対してもいいところを見つけてとにかくほめるように心がけています。特に、自信がなさそうに「今日はこれしか書けなかった。」とか「話がどんどんそれてよくわからない作文になっちゃった。」などと言ってきたときは、そんな言葉は聞こえなかったように「すごい。こんなに書けたんだ。」とか「さすが、○○君らしい視点で書けているね。」などと全面的にほめます。(実際、本人が思っているほど問題のある作品ではない場合が多いのです。)

 生徒たちが自信を失くしかけるのは、初めて感想文を書くときと高学年になって、急に課題が難しくなるときです。ここでうまくほめることができるかどうかは非常に重要です。自信がなかったのに認めてもらえたという体験は、大きなバネになります。「○○ちゃんは、感想文が得意だね。」と声をかけると、不思議なことに本当に感想文が得意になります。その後の感想文課題のときも必ず「○○ちゃん得意の感想文課題だね。」と言うと、「ええ~、得意じゃないよ。」と言いながらもうれしそうに感想文を書いています。難しい課題に進むときは、事前に「これからはすごく難しい課題になるから、長く書けなくて当然だからね。誰でもみんなそうだから。」と話しておきます。そうすると安心して取り組むことができるようです。もちろん、書き終えた後は、「難しい課題だったのに、最初からこんなに書けるなんてすごいよ。」と声をかけます。

 表記ミスなどは、ひとこと触れておく必要がありますが、「注意はさらっと。ほめ言葉はたっぷり。」という基本を忘れずにいたいと思っています。子供にとって、ほめ言葉の影響力は、大人が考えるよりずっと大きいものなのです。

にほんブログ村 教育ブログ 国語科教育へ
にほんブログ村
 ↑
ブログランキングのページです。
よろしければクリックをお願いします。<(_ _)>

感想文 ~はじめに体験ありき~

2009-06-18 | 作文
 小学校中学年のころだったと思います。伝記を読んで感想文を書く宿題が出ました。私は野口英世の伝記の感想文を書きました。まず、考えたのは、感想文を読んでくれる人たちが野口英世の生涯を知らなければ、感想を書いてもわかってもらえないのではないかということです。そこで、まず、本のあらすじを書くことにしました。それだけで原稿用紙を4枚ぐらい使ったと記憶しています。そして、いよいよ感想。あらすじに比べたらほとんど書くことがありません。「もし私だったら……」と想像したことを書くのが精一杯で、感想文とは名ばかりの、大部分が本のあらすじという作品になってしまいました。

 今、振り返るとわかるのですが、私の失敗は、「感想文」という言葉を文字どおりに受け止めてしまったことにありました。素直すぎたのです(笑)。本の内容やそれを読んだ感想を書くことにこだわってはいけなかったのです。本の内容はきっかけにすぎません。自分が体験した、本の内容と似た話を作文として書いていくと考えた方がずっと書きやすくなります。もちろん、その方がユニークで興味深い内容のものが書けます。

 本の内容はきっかけにすぎないと書きましたが、もっと極端な言い方をすれば、感想文の本選びのポイントは、本の内容そのものではなく、自分の体験なのです。本が先にあるのではなく、自分の体験が先にあります。これまで自分の身に起きた出来事の中でいちばん感動的に書けそうなものをさがし、その体験を実例として挙げられそうな本を選ぶというわけです。ただし、この裏技に基づいて本を選ぶのは、子供にはむずかしいかもしれません。お父さんやお母さんが選んであげるとよいでしょう。

 感想文の書き方の流れは、下記のページにくわしく載っています。
読書感想文の書き方

にほんブログ村 教育ブログ 国語科教育へ
にほんブログ村
 ↑
よろしければクリックをお願いします。<(_ _)>
目標の3位まであと一歩!

たとえと昔話

2009-06-16 | 作文
 昔話は、小さな子供のためだけのものではありません。言葉の森のカリキュラムでは、中学生以上の項目に「昔話実例」というものがあります。昔話を例に挙げながら、自分の意見の根拠を説明するのです。

 昔話は、たとえにも活用することができます。気持ちを表現するときに、昔話の登場人物を思い浮かべてみましょう。

「急いで家に帰らなければならなかったシンデレラのようにあわてていました。」

「鬼退治に出かける桃太郎のように期待に胸をふくらませていました。」

「オオカミがおばあさんに化けていたことに気づいた赤ずきんのように驚きました。」

「玉手箱を開けておじいさんになってしまった浦島太郎のようにただただ呆然としていました。」

 いかがでしょうか。誰でも知っている昔話だからこそ効果的なたとえになるのです。たとえは、わかりやすくなければ意味がありません。個性的でありながら、誰もが納得できるようなたとえを工夫してみてください。気持ちを表すたとえに困ったら、昔話を思い浮かべてみるのも一つの方法です。

にほんブログ村 教育ブログ 国語科教育へ
にほんブログ村
 ↑
国語の勉強に役立つページがいっぱい!

構成図っておもしろい!

2009-06-15 | 作文
 構成図とは、これから書こうとしている作文のテーマについて、思いつくことを順番に短文で書いていくものです。最初は、中学生以上の生徒に白紙を渡し、自由に書いてもらっていましたが、小学生でも作文を書くときの助けになるのではないかということで、小学生(3年生以上)にも書いてもらうことにしました。
 小学生中学年で構成図など書けるのだろうかと半信半疑だったのですが、見本を見せながら、思いついたことを簡単に書いて、矢印でつないていけばよいのだと説明したところ、意外にも非常に積極的に取り組んでくれました。
 抵抗感なく取り組めた理由の一つは、枠組みができているため、その四角い枠を埋めていく感覚で簡単に書けるということだと思います。中学生以上の生徒が、最初に構成図に取り組んだときは、白紙で何の枠もなかったため、戸惑う生徒も少なくありませんでした。不思議なもので、いくつかの枠があるだけで、その枠を全部埋めたいという気持ちになるようです。これは、私自身が経験済みです。枠を埋めていく作業は、ジグソーパズルを完成させていく過程に似ています。完成に近づくのが目に見えるので、やりがいがあり、楽しく作業を進めることができます。
 漫画家志望のYさんは、漫画をかいていくような要領で、短文と絵を見事に組み合わせながら発想をどんどん広げていきます。構成図を書かなかったら、思いつかなかったであろうことがいくつも並んでいます。
 いつもユニークな作文を書いてくれるT君は、自分の意見やそれを裏付ける社会的な実例を次々に矢印でつないでいきます。その構成図をもとに書き上げた作文は、2000字をこえる大作でした。いつもの作文に増して、内容が深く、充実しています。
 どうやら難しく考えすぎていたのは大人だけで、子供たちにとって、構成図は遊び感覚でできるツールのようです。子供たちは本当に柔軟な頭脳を持っているのだなあと驚かされました。
 子供たちの頭の中に眠っている考えを引き出し、深めていく構成図。これからもどんどん活用していきたいと思っています。

にほんブログ村 教育ブログ 国語科教育へ
にほんブログ村
 ↑
国語の勉強に役立つページがいっぱい!

フォトリーディングに学ぶ

2009-06-14 | コラム
 先日、『あなたもいままでの10倍速く本が読める』という本を読みました。フォトリーディングに関する本です。フォトリーディングの方法をしっかりマスターすれば、これまでの10倍のスピードで、次々と本を読んでいくことができるというわけです。速読がうまくできるようになるかどうかは別として、フォトリーディングのやり方は、四つの点で、みなさんの勉強にも生かすことができると思いました。

 一つ目は、まず、目的を明確にするということです。フォトリーディングでは、最初に、読書の目的をはっきりさせます。ストーリーを楽しむために読むのか、自分の求めている特定の情報を得るために読むのか、とりあえず筆者の考えを知るために読むのかなど、まずは目的を決めることがその後の読書の流れをスムーズなものにするからです。

 勉強をするときも、今から何のために何の勉強をするのかをしっかり決めてから勉強に取りかかる方が集中力が増し、効率の良い勉強ができます。ただ漫然と勉強を始めるのではなく、「今から、○○分間、▲▲▲を覚えるために□□□の勉強をする」というように目的をはっきりさせ、引き締まった気持ちで机に向かう方が勉強がはかどるであろうことは容易に想像できるでしょう。

 この目的を明確にするという点においては、アファメーションが重要な役割を果たします。目的をきちんと言葉にして、心の中で言ってみるのです。わざわざそんなことをしなくても自分でわかっていればよいのではないかと思う人もいるかもしれませんが、アファメーションは、自分の行動の方向性を決めるという点で非常に有効なのです。アファメーションを行うことは、自分に強力な暗示をかけることと言ってもよいでしょう。

 二つ目は、後頭部の上の一点に注意を固定するということです。本の中では、「ミカン集中法」という名前で紹介されているのですが、後頭部の上の一点に注意を固定することによって、リラックスした集中状態を作り出せるのだそうです。「ミカン集中法」とは、簡単に説明すると、ミカンを一つ、後頭部の十五~二十センチ上あたりに置いたつもりになり、静かに目を閉じて、そのミカンのバランスを取ろうとすることによって集中力を高める方法です。後頭部は、目から入った情報を処理するところです。

 「ミカン集中法」は、勉強の集中力を高めるためにも使えそうです。勉強をする前はもちろん、勉強中に集中力が落ちてきたなというときにも、ミカンを一つ後頭部の上に置いてみると、また新たな気持ちで勉強に取り組むことができるはずです。もちろん、ミカンでなくても構いません。帽子をかぶったつもりになったり、鳥が止まっているつもりになったり、とにかく、後頭部に注意を固定することができれば、どんな方法でもよいのです。自分にいちばんピンと来るオリジナルな方法を考えてみるのも楽しいと思います。

 三つ目は、全体を見るということです。フォトリーディングでは、通常の読書のように、最初のページから順番に文字を追って読んでいくのではなく、まず、見出しや小見出し、写真など、目につく部分をざっと最後まで見て、全体の流れを把握します。見出しなどが特にない場合は、次々にページをめくって、大事な部分を拾い読みしていきます。大事な部分を見つけるコツは、勘です(笑)。まだ読んだことのない本なので、どこが大事な部分かはわからなくて当然です。だから、勘に頼るしかありません。やってみるとわかるのですが、勘で見つけた部分を読んでいくと、ほとんどの場合、それだけで全体の流れが把握できるものです。

 とりあえず全体を把握してから、視野をだんだんと狭め、焦点を絞っていくというこの方法は、歴史などの勉強においても有効です。日本史にしても、世界史にしても、まずは、教科書の見出しや写真などを最後のページまで、ざっと見ておきましょう。最初に全体の流れを大まかに把握しておくと、大きな年表を頭の中に広げたままで、細部の勉強をすることになるので、常に全体を見ながら細部の勉強を進めることができます。

 国語の読解問題を解く場合も、問題文をいきなり最初から読んでいくのではなく、各段落の初めの部分だけ、または各段落の最後の部分だけを飛ばし読みしてから、全体を読んでいくと全文の意味をつかみやすくなります。国語の問題を解くときは、最初に問いを読んでから問題文を読むとよいと聞いたことがある人もいるかもしれませんが、それと似ています。どんなことが書かれているのかを頭に入れてから、細部を読んでいくのです。すると、一人よがりな思い込みをなくして、素直に文章を読んでいくことができると思います。

 四つ目は、ソフトフォーカスで潜在意識に情報を焼きつけるということです。フォトリーディングでは、見出しなどを見ながら全体を把握した後、次々にページをめくりながら、文字にはピントを合わせず、ソフトフォーカスでページ全体を写真に収めるような感じで見ていきます。見開きページを2秒ぐらいのスピードで、次々に写真に収めていきます。もちろん、このとき、顕在意識は何も覚えていません。ただ漠然とページをめくっているだけなのですから、覚えていないのはあたりまえです。しかし、写真に焼き付けた情報は、潜在意識にはしっかり刻まれているのだそうです。

 この方法のよいところは、少しの時間で気軽にできるということです。3D画像を見るときのように、焦点をずらして、全体を1~2秒、ぱっぱっと見ていくだけでよいのですから、空いている時間に、気軽にすることができます。ある程度の集中力は必要ですが、覚えようなどと意気込む必要はありません。最初のうちは、本当に潜在意識に情報が入っているのかどうか不安に思うかもしれません。しかし、10分程度でできる作業なので、教科書や参考書で試してみる価値は十分にあると思います。写真を撮るように一通り最後まで見ていってから、通常の勉強をすると、いつもより内容を吸収しやすいことに気づくかもしれません。

 以上、フォトリーディングの本から学んだ、勉強にも役立つ方法をご紹介しましたが、これらの中からできそうなものを少しずつ取り入れてみるとよいと思います。もちろん、フォトリーディングそのものを普段の読書に活用してみることもお勧めします。

 フォトリーディングに興味のある人は、公式ページにくわしい内容が載っていますので、参考にしてください。
 http://www.lskk.jp/photo/

にほんブログ村 教育ブログ 国語科教育へ
にほんブログ村
 ↑
国語の勉強に役立つページがいっぱい!