作文小論文講座

苦手な作文を得意に。小学生から受験生まで、文章上達のコツを項目別に解説。作文検定試験にも対応。

作文の勉強は生き方の勉強

2007-08-02 | コラム
 「作文の勉強は生き方の勉強」――ちょっと大袈裟な題名をつけてみました。(笑)でも、つくづくそう思うのです。週に一度、対象(それは、出来事の場合もあるし、長文の内容である場合もあります)とじっくり向き合って考えを深める機会が持つということには非常に大きな意味があると思います。

 低学年のうちは、出来事などに対して、自分の感じたことを書くことが主ですが、高学年になるにつれて、もっと高い視点から感想を書くことになります。5年生では「わかったこと」を書いてまとめます。つまり、体験や長文の内容から学んだことを書くわけです。6年生になると「人間にとって、○○とは……である。」という一般化の主題の勉強をします。個人的な感想を離れて、「人間」という一つ高い視点から物事を見つめるのです。中学生、高校生の小論文では、その視点はさらに高いものになっていきます。総合化の主題と言って、視点の高さを変えてまとめるような書き方の練習もします。

 少し話が飛躍しますが、私は、幸せな人生を送るためには、高い視点から物事を見るということがとても重要だと思っています。何か嫌なことがあったとき、目先のその嫌なことばかりにこだわっているとなかなか明るい気持ちになれませんが、少し高い視点から見ると、視野が広がり、気持ちに余裕が持てるものです。何か問題に突き当たったとき、その問題と同一の次元であれこれ悩んだところで、たいした解決策は思いつかないでしょう。一つ高い次元に身を置くことによって、初めて見えてくるものがあるはずです。

 視点が高くなると、いろいろなことについての許容範囲も広くなります。視点を高くするためには想像力が不可欠なので、さまざまな立場の人の痛みもわかるようになります。世の中には、善悪の判断だけでは割り切れないことがたくさんありますが、そんなときも視点の高い人は、何がほんものかを見抜くことができます。常識や習慣といった、固定観念に縛られることもありません。高い次元で、自由におおらかに生きることができるのです。

 高い視点から物事をとらえるという姿勢は、一朝一夕に身につくものではありません。さまざまな事例に当たり、歴史上の人物をお手本にしたり、周囲の人の助言を得たりしながらも、自分なりに考えを深めることが必要です。作文の勉強は、そのためのとてもよい訓練になるはずです。作文の勉強は、実は、非常に奥の深いものなのです。