作文小論文講座

苦手な作文を得意に。小学生から受験生まで、文章上達のコツを項目別に解説。作文検定試験にも対応。

謙虚さ

2012-08-24 | コラム
 日本人は、謙虚な国民だとよく言われます。みなさんの周囲にも、何に対しても積極的で、ときには傲慢だと思われるような人より、もっと自信を持ってもいいのにと思うような謙虚すぎるくらいの人の方が多いのではないでしょうか。確かに、謙虚であることはよいことです。しかし、自分から一歩を踏み出さない限り、進歩がないということも事実だと思います。誰かが率先して何かをしなければ、新しいことは生まれません。いつも引っ込んでばかりいては、自分自身も成長しないでしょう。また、過度の謙虚さは、他人に不快感を与えることもあります。

 言葉の森の中学生の課題長文に、香港の会社の求人の話が出てきます。「日本語のできる人を求む」という広告に、あいさつ程度しか日本語を話すことのできない香港人が殺到したというのです。もし、日本で、「英語のできる人を求む」という広告が出されたら、応募するのは、流暢に英語を話すことのできる、英語にはかなりの自信がある人だけでしょう。あいさつ程度の英語では、「英語ができる」とは言えないというのが日本人の認識だからです。そんな日本人に比べると、香港人は、非常に果敢であると言えます。

 もちろん、この香港人の行動には、賛否両論あるでしょうが、見習うべき点も大きいと思います。「あいさつしかできないのに、万が一採用されたら大変なことになってしまう。だから、当然、応募なんてできない。それに、他人から、あいつは傲慢な奴だと思われるに違いない。」というのが日本人の感覚でしょう。一方、香港の人は、「今は、あいさつしかできないけれど、もし採用されたら、どうにかなるものさ。話をせざるを得ない立場に置かれたら、勉強して話せるようになればいいのだ。」という大きな気持ちを持っているのではないでしょうか。そう考えると、香港の人の方が前向きで、この先の成長が期待できます。

 「謙譲の美徳」という盾の陰で、自分の殻にこもることは自分の可能性を狭めてしまいます。自分の良い点は素直に認め、良い点を前面に押し出していくことも必要ではないでしょうか。もともと謙虚さが身についている日本人なら、きっとスマートにさりげなく自己アピールすることができるでしょう。まずは、自分の良い点を認め、自分を成長させていこうという前向きな気持ちを持つことが大切だと思います。そうすれば、自ずと積極的な態度が身につき、少しずつ世界が広がっていくでしょう。謙虚さとは、自己を押しとどめるものではなく、自己を押し出すバネになるものなのです。


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