project-REN

南北朝(日本)時代と漫画家・車田正美先生の作品を瞑想する部屋。

【車漫】『柳生暗殺帖』-帰るところ-

2005年09月28日 14時45分43秒 | 車田正美

やたらに眠い。とにかく眠い。
冷え込んできたせいか、ともすれば冬眠に入りそう。まだ9月なのに。

『柳生暗殺帖』-帰るところ-

さて、竜魔と同じくらい動向が注目されている、と思われるのが飛鳥武蔵。
一応、「行方不明」です。
これで「無名≠武蔵」だったらどう盛り上がるのか下がるのかわかりませんが、とりあえず同一人物だと仮定すると、ちょっと切ないことになりそうです。

武蔵は『聖剣戦争篇』を最後に姿を消してしまいますが、生きている確率は高い。問題は、

「いちばん望むところへお帰りなさい・・・」(JC9巻)

そりゃないよ、カミサマ。
武蔵にはその「帰るところ」がない。
絵里奈ちゃんはいない、《黄金剣》もない。どこへ帰ればいいのですか。
・・・と思った武蔵がグレて、

「お前の望みは果たされる」(第6話)

と約束してくれた是音(ゼノン)に走った(・・・ほかにどう云えばいいのだ?)としてもおかしくはない。
もうひとつ。

「黄金剣とは、この武蔵の感情がそのまま威力となって爆発する聖剣なのだ!!」(JC6巻)

今さらですが、ここを読み直してあっと思いました。
武蔵、聖剣がないと、人とお話ができなかったんだ・・・。

世界に向かって叫びたいことはたくさんあったと思いますが、「力」にばかり着目されて人身売買(いや、だからほかにどう云えと)へ身を投ずるしかなかった武蔵にとって、小次郎との出会いは驚きだったのではないでしょうか。
彼の「力」ではなく「個人」に徹底的にこだわった小次郎との対決において、最後の最後に勝負を優先させた武蔵。
そして、悲劇的な現実に直面してしまった。

「小次郎はオレが殺すのだ」(第5話)

が、「あんた、責任とってよ」に聞こえてしかたがありません。
『聖剣戦争篇』で小次郎の、彼なりに武蔵を気遣った言葉にいちいち反抗していたところなんか、まさにそれ。
この予想ばかりは、はずれてほしいです。武蔵のために。

追記(2005/09/30):
【きつねのえんぴつ】様に、含蓄のある考察が掲載されているのでトラックバックさせていただきました。ありがとうございました。


最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
てっきり、セルコホイホイを仕掛けたのかと思いま... (セルコ)
2005-09-28 16:07:39
てっきり、セルコホイホイを仕掛けたのかと思いました(笑)
なぎらさま、こんにちは。

-帰るところ-
どうしても武蔵を語ろうとすると、悲しいものばかりになってしまいますね。
私、ずっと不思議に思ってて。武蔵は聖剣戦争後、どこに落っこちたのかなぁって。
「いちばん望むところへお帰りなさい」って言われて、武蔵が望む場所ってあるのか?って。
たった一人で、どこに落っこちたんだろう。それを想像しただけで泣けてきます。

>武蔵、聖剣がないと、人とお話ができなかったんだ・・・。
ここは、私全く考え付かなかった。すごいわ。
また一つ、武蔵を発見!て感じでとても嬉しいです。

雪の日の決戦、小次郎はなぜ自分にトドメをささなかったのか、武蔵はその理由に気付いたのかも。
なんかあの辺りから、小次郎に対して反抗期?みたいな(笑)
小次郎といるとね、やけに心が揺さぶられるというか。そういうのがあるんだと思います。
だから、居心地が悪くなる。のかな?

これからも武蔵が幸せになれる最後を期待して、柳生暗殺帖に注目したいです。
じゃないと許さないよ、もう。(泣)
返信する
セルコ様 (なぎら)
2005-09-28 22:46:13
セルコ様

おや、大物がかかっていますね(〃∇〃)。こんばんは。

武蔵が強ければ強いほど、それまでのキツ~い人生が窺えて、小次郎にどうにかしてほしくなります。
小次郎は、武蔵が超能力戦士であることに精神的な脅威を感じていませんからねえ。
流血三昧の竜魔にそれを告げられた時、見事なまでにスルーしていたのがすごかった。

セルコさんをこれ以上心配させないうちに、武蔵が「家」へ帰れることを祈るのみ。
というか、帰してやってくれ。頼むから。
返信する
なぎらさま、こんにちは。 (きつね)
2005-09-29 16:25:59
なぎらさま、こんにちは。
いつもながらの鋭い視点に感服しております。
人身売買は痛ましいですね。せめて人身御供に(なお悪い)

事後報告となりましたが、TBさせていただきました。
これからもよろしくご指導くださいませ。
返信する
きつね様 (なぎら)
2005-09-29 20:34:42
きつね様

こんばんは。TBありがとうございます。
ではでは拝見・・・ぅおう!

彼は「飛鳥くん」なのですね。ぴったりです。
「ボクはお兄ちゃん」というアイデンティティを失った彼にとっては、「黄金剣の正統継承者」という事実のみが自分を肯定する術(すべ)だったように思います。

でも、それを《華悪崇》の刺客や小次郎にさらっと告白してしまう彼は、とっても正直。
本来の彼はそういう若者だと思うので、『柳生暗殺帖』では、天国の絵里奈ちゃんもうっとりするくらいのカッコよさをかましてほしいものです。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。