森井教授のインターネット講座(神戸大学大学院工学研究科教授 森井昌克)

1996年から2009年3月まで朝日新聞に連載してました森井教授のインターネット講座のネット版(もどき)です。

自殺サイト連続殺人事件

2005年08月07日 11時12分13秒 | Weblog
昨日朝に東京へ向かう新幹線の中で、携帯電話が鳴って通話すると(非通知になっていると絶対に出ないのですが…)、「xx新聞社の○△というものですが、自殺サイトで呼び出して殺人を犯した事件で、コメントを伺いたいのですが…」という電話。矢継ぎ早に数社から受けました。いろいろと一方的にコメントさせてもらったのですが、これは野次馬的な^^;掲示板でも、昔から言われていて予想されてました。(不謹慎ですが)「どうせ死ぬんだったら、その現場を見せてくれ!」とか、もっと極端に「どうせ死ぬんだったら俺に殺させてくれ!」というような記事が載って、それなりに問題になってました。昔から小説でもドラマでも自殺志願の人を利用して、犯罪を行う筋書きはよく見かけました。十分有り得る事だったのです。「起きてから、注意喚起しても遅いだろ!」とお叱りを受けそうですが、なかなか「自殺」に関する込み入った内容を公に書くのは難しいものです。かなり以前に、比較的無用心ながらも結束力がそれなりに(局所的、局時的に)高い、インターネットコミュニティを利用して犯罪が起こりえることを新聞紙上で書きました。例えば、高齢者のコミュニティで高齢者のふりをして、高額な商品を騙して購入させるとかいったことです。

新聞社さんが私にコメントを求めた理由は、以前から、ネットの利用規制や公的監視に関しては、部分的には容認せざる得ない状況(時期)であることは認めながらも、原則として反対している立場で、コメントを幾度となくしており、最近も、自殺に関わる掲示板の書き込みに関して、プロバイダが警察側に情報を提供することに、プロバイダが自主的に提供するならともかく、警察側の判断で提供を強制することには反対であるとコメントしました。もちろん、自殺志願者がそのサインを出して、無意識下で助けを請う事は十分ありえ、その人を助けるために必要かつ十分な情報を警察に提出することは問題なく、強制しても良いぐらいですが、何が自殺に関する情報かということが明確に定義できなければ、過去の歴史から乱用されてしまう可能性が捨てきれないからです。極端に言うと、一件の自殺に関係する記事を理由にして、そのプロバイダのすべての交信記録を提出させることになり得るからです。このようなコメントを出していたので、今回の事件を受けて、どのように考えるのか、対策はあるのかということを聞きたかったのでしょう。

日本経済新聞に掲載されたコメントがここにあります。どうしてもコメントというのは、数百字も載せてもらえず、せいぜい50字前後ですから、要約の要約になります。

【追伸】「着信非通知ならば携帯電話に出ない」という件ですが、私の研究室の両K先生、ごめんなさい。お電話いただくときは、申し訳ないのですが大学の電話ですと、非通知になっていて、着信音がなりませんので、着信が通知となる電話からかけていただくと安心です。