森井教授のインターネット講座(神戸大学大学院工学研究科教授 森井昌克)

1996年から2009年3月まで朝日新聞に連載してました森井教授のインターネット講座のネット版(もどき)です。

2005年暗号と情報セキュリティシンポジウム

2005年01月28日 11時20分23秒 | Weblog
今週は、ほとんど明石海峡大橋の本州側である、舞子(兵庫県)で開催された「2005年暗号と情報セキュリティシンポジウム」(SCIS2005)に出席してました。画像(写真)は、そのホテルの部屋の窓からの風景です。やはり、このシンポジウムは刺激になって有難いです。名前の通り、ネットワークやコンピュータ等のセキュリティに関する学術発表会なのですが、今年で22回目になります。確か、第1回は、私が学生の頃、伊勢の賢島で開かれました。その頃は発表が30件程度、参加者も50名程度でした。今回は、発表が340件以上、参加者は650人以上ですから、その発展が垣間見れます。

#ちなみに、お世話いただいた富士通さん、有難うございました。

以前は、比較的、暗号の周辺分野の理論的な研究発表が多かったのですが、最近は応用や実装も含めて幅広い分野の発表があります。ぜひプログラムを見ていただければ興味がわくでしょう。

ところで、私が関係している発表は、

2B1-3 内部状態遷移型ストリーム暗号SSSMの提案(第2報)
◎鵜川三蔵(徳島大学) 大東俊博(徳島大学) 元家宏美(徳島大学) 白石善明(近畿大学) 森井昌克(徳島大学)
2B1-4 パリティ検査式を用いた事後確率復号に基づく高速相関攻撃の復号誤り確率の低減について
◎福田 洋治(徳島大学) 白石 善明(近畿大学) 森井 昌克(徳島大学)
3B2-2 ウイルス分析のためのテストベッドの構築
○藤長 昌彦(KDDI) 中尾 康二(KDDI) 森井 昌克(徳島大学)
3B2-4 仮想ウイルス感染ネットワークの構築とその感染発症機構の開発
◎広岡 俊彦(徳島大学) 妹脊 敦子(徳島大学) 曽根 直人(鳴門教育大学) 白石 善明(近畿大学) 森井 昌克(NICT,徳島大学) 星澤 祐二(株式会社セキュアブレイン) 中尾 康二(NICT,KDDI株式会社)
3B2-5 メモリに展開されたコードを使う未知ウイルス解析支援システム
◎神薗 雅紀(徳島大学) 市川 幸宏(徳島大学) 白石 善明(近畿大学) 森井 昌克(徳島大学)
4D2-5 Most IVs of FMS Attack-Resistant WEP Implementation Leak Secret Key Information
◎Toshihiro Ohigashi(The University of Tokushima) Yoshiaki Shiraishi(Kinki University) Masakatu Morii(The University of Tokushima)

です。

現代版八百屋お七

2005年01月22日 15時47分58秒 | Weblog
「八百屋お七」と言われても、わからないでしょう…今の世代には。

「八百屋お七」とは、歌舞伎の出し物でもあり、もともと、井原西鶴の「好色五人女」のお夏、おせん、おさん、八百屋お七、おまんの各恋物語の一つです。中でも八百屋お七は有名で、実話に基づいた物語です。

その現代版というわけでしょうが、大きな違いは、「八百屋」でなくて「フリーター」、「お七」でなくて、「おとこ(男性)」というところでしょうか。時代は変わりました。

ゴルフ場でのスキミング 安全・安心が前提の世界?

2005年01月21日 13時13分00秒 | Weblog
去年の8月頃にゴルフ場でのスキミングを話題にしました。その犯行グループが逮捕され、手口が明らかになってきました。まあ、予想されていた手口なのですが、ロッカーのマスターキーを持っていたのには、驚かされ、ゴルフ場のセキュリティに関する問題も露呈しています。

スキミングの問題は、クレジットカードのスキミングから大きな問題となって、ゴルフ場ではキャッシュカードのスキミングが問題となっているわけです。誰に責任があるのか(もちろん、犯罪を犯すものが一番悪いのですが...)、簡単にスキミングを許すような銀行が悪いのではないかという意見もあります。確かに銀行にまったく非がないわけではないでしょうが、根本的には利用者のほうに責任がかかってくるでしょう。

昔は、個人のカードを偽造するということが想定できなかったのです。もちろん、技術的には可能だったのですが、その全般的なコストが犯罪の収入?に見合わなかったのです。しかし今では、簡単にカードを作れるようになり、いつでもどこでも、現金をおろせるようになりました。

暗証番号が4けたでは危険と言う意見もありますが、8けたにしようが、16けたにしようが同じことです。問題は暗証番号を個人がどのように管理しているかです。推定されやすい番号は問題外ですし、安易な利用や、メモ書き等、漏洩しないようにしなければなりません。

銀行キャッシュカードシステムは、カード自体にもセキュリティ(カードの存在)を想定しているわけですから、スキミングが難しい方式、たとえばICカード等を利用して、データを暗号化する等の対策は必要でしょう。

そもそも「安全・安心」が前提の世界で作られたシステムですから、その意識を変える時期に来ていることは確かでしょう。

日記にして日記にあらず

2005年01月14日 16時26分35秒 | Weblog
また、個人の日記に書き込んだ内容が問題になっています。かつても、某大学の学生が、性犯罪まがいの「あること、ないこと」を書いて、実名を晒されて、大問題に発展してましたが、インターネットと言う書くほうから見ると、小さな窓ですが、その窓の向こうがどうなっているか、わからないようです。今回の女医さんも、よほど仕事のストレスを抱えているのでしょうが、その不満の「はけ口」として、自分のネットで公開している日記に書き込んだのでしょう(内容的には、その仕事上、許容度を超えて、事実であれば社会的にも許されない範囲ですが...)。

昔からの日記ならば、自分以外の誰にも見せない、見ないことが前提なのですが、インターネット上の日記は、保護手段を設けなければ誰でも見れるのです。女医さんも、その事実は知っていたのでしょうが、理解できなかったのでしょう。つまり、匿名で書いているつもりなのでしょうが、よほどのことがない限り、「引きこもり」ならいざ知らず、第三者との関係による社会的な行動を書く限りは、特定されるものです。この場合、女医であって、かつ爬虫類の飼育が趣味ということでしたら、かなり限定されて、すぐに誰だか特定されてしまうでしょう。つまり、病院の玄関で、大声で「患者のバカ野郎!!二度と来るな」と叫んでいるようなものなのです。

ネット上の日記に、匿名性などありえません、そう考えておいたほうが無難です。もし、本当に日記のようなしたければ、閲覧制限のついた(極端には自分しか見えない)ページに日記を書くべきです。

上海ガニと文化の侵食

2005年01月08日 01時10分51秒 | Weblog
お台場で上海ガニが繁殖しているそうです。まだまだ少数のようですが、複数見つかっていますから、繁殖していると考えて良いでしょう。もともと名前の通り、中国の河川敷や沿岸に生息しているカニですから、日本では生息していないはずなのです。恐らく、輸入したものが(生きたまま輸入することを日本は認めていますから... 米国は認めていないそうです)逃げたか、故意に逃がしたか、もしくは貨物船等に紛れ込んでいたものが繁殖したのでしょう。漏れ聞くところでは、国内でも養殖しているところがあうそうで、そこから逃げたのかもしれません。上海ガニは「チュウゴクモクズガニ」と呼ばれますから、国内の在来種である「モクズガニ」と親戚です。しかしながら在来種と比較して繁殖能力は高いそうで、アメリカザリガニのように、在来種を駆逐するかもしれません。

文化もそうゆうところがあるかもしれません。欧米文化が...というような高いところではなくて、もっと軽いカルチャーの部分です。まあ、文化というものは時代が左右させると言ってしまえば、それまでなのですが。

例えば日本語文化に対してです。言葉と言うものは大事にすべき文化なのですが、ネットワークの出現によるコミュニティの多様化によって、言葉も多様化しています。今までは、TVの影響は無視できない...といいつつもさほど大きな影響は与えませんでした。ネットワークの影響は無視できないでしょう。携帯電話で用いられる言葉(話し言葉でなく、メールでの書き言葉)は確実にコミュニケーションの取り方を変えています。対面の文化がインターフェースを介した文化に侵食されようとしているのです。

社会の中の大学生

2005年01月04日 15時43分23秒 | Weblog
徳島大学工学部では、互礼会という新年会があります。その中で大学の状況(企業で言えば経営業績や来年の指針)の説明があるわけですが、昨年は独立行政法人化初年、今年は2年目と言うことで厳しい状況の説明がありました。一般の企業と同様に、合理化を含む経営努力が必要と言うことでしょう。

ところで、一方の主体である大学生のほうですが、今朝、「岩手大学工学部4年生が銀行強盗」という記事が入ってきました。大学は寝耳に水で、とても信じられないと言うコメントです。そのコメントは正直なところでしょう。昨年からにかけて、大学生の犯罪が紙面やテレビをにぎわしています。まだ、ニュースになるだけ珍しいと言うことで、安堵する気持ちもほんの若干ですがあるのも事実です。大学生だからといって、社会的に成熟しているかと言うことは、最近でははなはだ疑問です。学力は一定レベルにあるとしても(これも低下が著しく、問題になっていることは否めません)、社会性については別問題でしょう。「ゆとり教育」とはかけ離れてしまい、社会性についても「妙なゆとり」を持ってしまい、それこそ、社会性からかけ離れてしまっている学生が増えているような気がします。

「銀行強盗で岩手大生逮捕 盛岡」

今年もよろしく

2005年01月02日 03時32分20秒 | Weblog
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
昨年は忙しくて、それなりに充実してはいたのですが、4月にJingChiをBlueNoteで見たのを最後にコンサートから遠ざかっています。来月には、MarcusMillerやLarryCarltonが来ますので、ぜひ見に行きたいですね。お誘いがあれば喜んで^^; あぁ、SHAKATAKも。
さらに徳島に角松敏生が来るということで悩んでいます... どうしようかなぁ...