マイ・ライフ・レッスン

母のがんのケアをするなかで感じたことなどを書いていた記録です。

楽しく看病

2009-04-17 20:24:13 | 母との日々~がん患者の家族として~
がんのリンクからこちらを見てくださっている人もいるので
書き辛さも感じつつ・・・

このところ母は急速に食欲が落ち、ほとんど食事らしい食事ができない。
腹部が臨月のようであるのに、上半身はがりがりに痩せてしまった。
去年母と見学しておいたホスピス病棟は満員で
一般病棟で対処せざるを得ないとのことなのでなるべくなら入院させたくないと思っているが、
何より本人の「病院に行くのは嫌だ」という強靭な意志が
足のリンパ浮腫も深刻なのにも関わらず、トイレ往復を可能にしている。
今の私に出来ることは理論で何かするのではなく、
ただただ、肌に手を当てつつ症状が緩和するように祈ることである。
家に行くまでの往復は色々考えたり、
昔の思い出に浸って目が潤んだりもするが
日当たりの良い母の部屋に入ると
それまでの感傷的な気分が吹っ飛んでしまうのが不思議。
いい陽気とはよく言ったものだ。(今日は雨だったけど。)

今日は以前から約束していた母のお友達が二人お見舞いに来てくれた。
何も説明しておかないのも差し障りがあるかと思い、
迎えに行って家に向かう道中に手短に現在の状態を説明したら
片方の彼女の顔がみるみる曇り・・・
彼女は数年前に乳がんの手術でリンパ節も取ったらしく、
ホスピスと聞いて過敏に反応してしまったようだ。
母に「今はがんの治療法も色々あるからきっと治るわよ、ねっ!」
なんて一生懸命話しかけているが、
こういう時にあえてそういう話題はなんだか痛かった。
妙に明るいのも無理してる感じがするときがあるし、
今を一生懸命生きている人を目の前にして悲しがるのも嫌だし、
自分としてもどういう風でいることが良いのかよくわからない。
ただ、今まで母の具合が多少悪くても、なるべくそのことを考えずに
生活するのを心がけてきた。
でもそろそろ無理が出てきて、
色々な人から「お母さんはどう?」と聞かれると答えるのが非常に面倒くさい。
わざわざ電話してきてくださる方もいるが
一通り話したあとで「大変だけど頑張って!」なんて言われると
かえってぐったりしたりする。
誰からも気にかけてもらえなければそれはそれで寂しいし、
何をどういう風に言われれば満足するのか自分でもわからず、ワガママなもんだわ。

昨年お父様が進行した肺がんと判明した方から久しぶりにメールが来た。
放射線の後遺症で大変だが、代替療法や食事療法も活用してなんとか頑張っている、と。
がんのおかげで家族の時間が濃密になったと思って
お互い楽しく看病しましょうね、と返信しながら
自分で自分の打った文字に励まされた。

と書いている間に弟から電話。
母が部屋にいない、という。
どうやら夜のドライブに連れていってもらっているらしい。
素敵なお友達がいて幸せな人である。




医療費無料の落とし穴?その2

2009-04-09 00:07:09 | 日々のあれこれ
子供が公園で遊んで砂場の砂が目に入ったらしく、
痛がるので眼科に連れて行くことに。
保育園に遅れる旨を電話すると園長が「園で何かあったときに
いつも連れて行く眼科がありますよ」というのでそこへ。
開始時間ちょうどについたせいか患者はまだ誰も来ておらず、
アンケートに記入してほどなく呼ばれるが
まずオートレフラクトメーター(屈折検査の機械)の前に座らされる。
それから診察室に呼ばれて目の中をチェック、
角膜に大きな傷がついていると言われる。
それよりも、と医師が切り出す。
「あんまり不安がらせることは言いたくないんだけど、
屈折の検査でかなり強度の近視の数値が出てますよ。
3歳児検診でひっかからなかった?」
えええー?強度の近視!?
近視って幼児はならないのでは???
と思って口に出すと「幼児でもなります!放置すれば弱視になりますよ!」
そして傍らにある視力表をチビに見せ、「これは?ああ、字は読めないか、
じゃあこうするのとしないのとでは、どっちが良く見える?」
と、眼の前にレンズをかざす。
レンズなしよりもレンズ有りを「こっちの方がよく見える」というチビ。
ええ?!ホントに近眼!?!?!?
2日後に精密な視力検査を再度することに。
ああ、おとなしくなるのをいいことに、TVに子守をさせてたせいだ・・・とめちゃくちゃ落ち込む。
4歳でド近眼・・・
で、夫に電話したら「そんな筈はない!」と
プンスカ怒って自作のカードを持って帰宅、
「3人でゲームしよう!」とチビでも読める簡単なひらがなを端っこに書いたカードを掲げて、
誰が一番速く答えられるか競争。
結果、チビ圧勝。
5m離れても小さな文字が読めるチビと、
ややぼやける夫、眼鏡なしでは10cmまで近づかないと全く判別できないワタシ。
4歳児の問診は本当に当てにならない。こいつのどこが強度の近視なわけ~!
冷静に考えてみれば、「砂場の砂が入って眼が痛い」って説明してるのに
まず屈折検査ってどうなのさ。
なるほど、待合室が広く設備も新しそうな今風の内装のこぎれいなクリニック。
アロマランプがついていて、子供のおもちゃや絵本もいくつか置いてあるし
受付の上方の備え付けのテレビでは「ハウルの動く城」のビデオも流れている。
医師の他に受付のお姉さんと検眼の男性。
この投資を回収するためには色々頑張らないといけないのだろう。
不安感を煽られて、危うく視力検査しにもう一度行っちゃうところだった。
もちろん二度と行きません。
角膜のでかい傷とやらも本人は翌日にはケロリンパだし。
でももし3割でも自己負担の場合だったら
「眼にゴミが入って痛い」と来院した患者に最初に近眼の検査はしないよな。
ああ、毎度腹立つ「せんでいい検査で保険点数を稼ぐ医者」。
乳幼児医療証は医者から見たら鴨が葱背負ってるようなもの。
医療費を全額公費負担してくれるのはいいが、やるなら償還払いにするか
詳細な明細書が毎度欲しいとあらためて思う。
無料にあぐらをかいていたらいつか自分達に負担がのしかかるに決まっているのだ。
そんなこと言ってるの、周囲でワタシだけかと思っていたら
小児科勤めの看護師さんも本日同じことを言っていた。
今回の眼科で出された目薬はジェネリックだったが、
ジェネリックって成分が似たようなもんならOKで、
チェックが相当甘いということだった。
ことごとく・・・




亢宿

2009-04-05 21:20:57 | 日々のあれこれ
友人が最近ちょっとはまっているという占いを教えてもらった。
彼女には以前にタロット占いも紹介してもらったのだが、
今回も「怖いくらい当たる」という。↓
宿曜占星術 光晴堂
説明を全部読むのがめんどくさくて
まだあんまり見ていないのだけど、
これで調べると、27分類の中で私は「亢宿」というものになるらしい。
将来が不安な私達、教えてくれた彼女とは老後は支えあおうね!と
以前から約束しているのだけれど、この占いによるとそんなに相性が良くないので
一緒に暮らすならそれぞれ個室がないとね。
彼女はバリバリ働いているので仕事関係の人との相性や
その日の運勢なんかを見ているらしいが、それが全部当たっているらしい。
あ、この人明日が要注意の日だな、と思うとその日にリストラを申し渡されていたり
商談ならこの日に、と設定するとうまくいったり、納得することばかりだそうで・・・
私はといえば、現在仕事もほとんどしてないので相性を見る相手があんまりいない。
とりあえず息子との相性は良くなかった。
夫とはまあまあ。
思いつく友人の誕生日を入れてみても何故かどの人もあんまり、でめげてしまった。
一番良いのは「参宿」の母・・・(T_T)
「亢宿」「危宿」「参宿」のお友達募集してまーす。



母に歌う子守唄

2009-04-03 00:31:30 | 母との日々~がん患者の家族として~
明日は行かないからね、と言ってはみたものの、やはり気になって
午後になって母のところへ行く。
しかし、「忙しいけど来たんだからね」という気分が態度に出てしまうと駄目だ。
色んなことが雑になる。
リンパドレナージュも、時間はかけているのに思ったような効果が出ない。
「先生はそんな風にやらなかった」と母も不機嫌になるし、最悪だ。
何のために往復2時間以上もかけているのだ。
帰りの電車を待つホームで罪滅ぼしをするように
次回のリンパドレナージュの出張施術の予約電話をかける。

こんなんじゃいかーん!

翌日、沈む気分を転換しようと久しぶりに図書館に寄る。
がんの闘病記でも借りるつもりだったがコーナーが変わっていてすぐに見つからない。
ふと目に留まった
落合恵子「母に歌う子守唄 その後 私の介護日誌」
にする。

バスの中で読む本じゃなかった。
落合さんの生活には爪の先ほども及ばないが、
彼女のお母さんに対する愛慕、寝たきりという状態に対しての細やかな配慮、
すべてが今の私の想像力を暴走させて
涙で何度も中断。

ほぼ読み終わった頃に母のところへ到着。
昨日とはうって変わって前向きになれている自分がいる。
「よっしゃあ!さて、用意して!」と弾んでいる私の声に
母も「何かいいことでもあった?」といぶかる。
貴女と今ここに一緒にいて世話を焼けることが嬉しいと、今読んだ本のお陰で実感できたの。
なんて口にはとても出せないけどさ。

落合さんのお母さんが好きだったという勿忘草ってどんな花だっけ、
と考えながら歩いていたらお花屋さんの鉢に並んでいた。
すごく小さくて可憐な花。
私もいつか庭に植えよう。