マイ・ライフ・レッスン

母のがんのケアをするなかで感じたことなどを書いていた記録です。

たかがレシピ

2008-07-08 10:27:06 | 怒ネタ
前回夫が酷評した日本中医食養学会 Iさんのレシピが久しぶりに今日の夕刊に登場、というか、また目にとまってしまった。
「薬膳的夜食術 浅漬けサラダ」。
利尿作用のあるウリや豆、香味野菜を上手に取り入れましょう、枝豆は大腸の働きをよくします、までの説明はいいとして、材料:キャベツ、キュウリ、枝豆、ショウガ、大葉、ニンジン、「浅漬けの素」。
おい!こんなの、調味料のペットボトルに印刷してあるやつならともかく、
薬膳的なんぞとうたって新聞に載せるもんじゃないぞ!
頼むよ~ 学会って名前を語るんだったらさ。
こんなつまんないことで腹が立つのも私だけだろうな。
でも個々の食べ物それぞれの特性を生かしてレシピを考える人ならば、
調味料にはもっとシビアになってもらいたいと思ってしまうのよ。

近所のママ友に久しぶりに再会したら2人目を妊娠中でつわりがひどくて
何も作る気がしないというので急遽うちでありあわせの晩御飯を。
メインディッシュはつわりで困ったときの王道(?)「もずく酢とトマトサラダ」。
あんまり栄養はなさそうだが。
ワタシもトマトばっかり食べてたなあ。
もずくに限らず、酢の物なら大抵大丈夫ということであったが、
スーパーで売っているようなアミノ酸(旨み調味料)入りのできあいの酢の物だと全く駄目だということであった。
妊婦は添加物に敏感である。

うちの近所のスーパーはそれほど充実した品揃えとは言えないため、
人から生協とかCO-OPとかのカタログを見せてもらうとわくわくする。
しかし我が家は引っ越してきてすぐ入会した某生協団体も
宅配食料禁止令が出たため、一度も届けてもらうことなく
加入証と保冷バックだけが手元に残り、3年が経過している。
禁止したのはもちろん我が夫で「玄関の前に生鮮食品の箱を積んでおくのがだらしなくて許せない」
「お前はスーパーに行くこともできないくらい忙しいわけではない」という2つの理由なのだが、これを友人に話すと全員ワタシに同情してくれる。
遺伝子組み替えじゃない油を買いに行くのは結構大変なのに。
ぶつぶつ。
その不満は置いといて。
でも確かに、最近の生協の商品のラインナップには?を感じるものもある。
子持ちの友人の多くが生協系宅配サービスを利用し、
「この生協の○○は美味しいよ!」
「これは生協のだから大丈夫だよ!」
ってなことを口にするのだが、果たして本当にそうなんだろうか。
ギョーザ事件じゃないけど。
昔は確かに生協系の商品には食の安全や環境への配慮のこだわりを感じたが、
この頃のカタログを見るとそうでもないような。
なんでもかんでも扱いすぎだし、だいたい、便利を追求しすぎて加工食品がむやみやたらと多い。
もっとも、ワタシも結婚するまでマーボー豆腐は「マーボー豆腐の素」で作るもんだと
思っていたので大きなことは言えないが。
まともに料理するようになったこの頃は、
出来合いの惣菜を買うより作る方が高くつくのは何故か、とか
無添加とは何をもって無添加と主張するのか、とか、
そんなことが気になる。
表示も信用できない世の中だし。

「ここ数年間のわたしは、おおぜいの患者さんを治しながらも、
健康になろうと考えること自体が無謀ではないかとの思いがふとよぎることがある。
それはほとんどの人が、合成添加物に汚染された食べ物の影響を知ろうとせず、
なんの疑問も持たないからである。」

以上、昨日買った茂木昭著 「気の治療学―律動法」より抜粋。

私も添加物断ちが完全に出来ているわけではないが、
この3年の外食激減、インスタント食品原則禁止生活で、少なくともコンビニやファミレスでは自分から食べたいと思うものがなくなり、激しく旨み調味料の味のするものは受け付けなくなった。
敏感になったのは悪いことではないと思うので茂木先生の言葉に深く同意したいが、
問題はやはり先生には添加物と健康の相関性がはっきりと感じられても、
一般人誰にでもわかりやすい結果としての添加物の害がないことである。
女性の方が誰かの為に料理したり妊娠で胎児への影響を考えたりと、
添加物のことを考える機会が男性よりやや多いと思うのだが、
その女性達がメインユーザーである宅配サービスの商品構成から感じるに、
考えるだけでは利便性追求型の世の中は変わらないどころか
スピードが増す一方。
便利なものがあれば皆買っちゃうしね。

本日、ネット通販で電動工具を購入した夫がつぶやいた。
「これが4000円以下で買える時代が来たとは・・・恐ろしい。」
同感である。
食べ物に関してもその他のモノに関しても
今はメリットデメリットに関係なく
今は尋常じゃなく安く大量に氾濫しているけれども、
なんとなく、こんな時代はもう長く続かない気がする。

で、たかがちっちゃな新聞記事でここまでぼやける自分には
そろそろメンテナンスが必要なんじゃないかと思われるこの頃。
旅行に行ったばっかりだってのにさ。




人生は廻る輪のように

2008-07-04 15:51:20 | 母との日々~がん患者の家族として~
以前この著書から引用された
ある一小節にいたく感動したことがありました。
しかしその後、色々経験するうちに、
所詮こんな言葉はただの理想論じゃないの~、
現実はこんな風に前向きに考えられないよと
斜め視点になり、著書をきちんと読むことはありませんでした。
ところが少し前にNHKでE・キューブラー・ロス医師の特集番組があり、
晩年脳卒中で半身不随になった彼女が、
著書で説くような、現実をあるがままに受容し生きる意味を見出している「聖女」として患者生活を送るどころか、
左半身が動かないという現実に憤っていた事実を知りました。
正確ではないかも知れませんが、
インタビュアーの「あなたは○○と言っていましたよね?」というような質問に対し
「ふん、あんなものは全部嘘だったのよ」という、
著書のファンが期待するものとはほど遠い、すんごい態度の答え方をしていたように記憶しています。
きれいごとではない人間臭さを感じて、逆に興味をそそられました。
それでまずは柳原和子さんも褒めていた「ライフレッスン」を読んでみたのですが
あっさりとはまってしまったので、
続いて出版当初は最後の著作になると言われていたこの本を読んでみました。

ライフレッスンの比じゃないくらいはまりました。
久しぶりに頭がぼ~っとするほど感動しました。
感動というより動揺に近い感情かも知れない。
バスの中で読みながら泣くこと数回。
三つ子の長女として生まれたロス医師の自伝的な内容ですが、
とにかく休息とは縁遠い、濃密な、行動に次ぐ行動の人生。
感傷的な話の映画とかには弱い私ですが、
読んでいていちいち涙が出るのはこの本の内容がそうだというのではなく、
他人に起こった色々な出来事や生活習慣の異なる国の人々の雰囲気を
それなりにリアルに想像できるようになったからという自分側のコンディションに尽きます。
ロス医師は本を読んで泣く暇なんかなかっただろうけれども。
数年前に読んだとしても今ほどは心に響かなかったと思うと、
本との出会いにもそれぞれ丁度良い時期というのがあり、
母ががんにならなければ、そのうち読もうと思っていたこの本をあせって今読むことはなかったわけで
やっぱり運命というものがあるのか?と思います。
ロス医師が死後の体験の素晴らしさに気づいた後半のチャネリングの話になると
昔から第六感的なものに疎い私としては付いていけていけませんでしたが、
そこを省いても私にとって良書です。

読むのは移動中だけなので
電車やバスに乗るのが待ち遠しかったのですが
読み終わってしまったのが残念。
活字が好きというわけではないので、
なかなか次に食指が動くものがありません。
皆様、こんな今の私にお勧めの本がありましたら是非紹介してくださいね~





ライフレッスン

2008-07-03 10:35:34 | 母との日々~がん患者の家族として~
良かったですねえ!と沢山の方に言っていただいたので
わざわざこれを書くのもちょっとためらわれますが、
母のがんが再発してます。
再発を告げられた患者は2週間くらい鬱になることがよくある、と
どなたかのブログで読みましたが母もその例に漏れず
再発宣告直後の気分の急降下は凄まじく、それが体調にもはっきり現れて
私の方もちょっとぐったりでした。
今回ほど「人を励ます」ということの難しさを感じたのも初めてですが、
春に読んだ本田神父の新聞記事
「相手の立場に立って、と言われるが
しょせん人は他人の立場に立つことはできないのだということがわかった」
というのが再び実感を伴ってひしひしと。
がん患者の気分はがん患者にしかわからない?
いや、それでは救いがなさすぎます。

そんなわけでどうにかしてお互いの気分転換を図るべく、
母を連れて旅行に行って参りました。
体調もまあまあで過ごせたのは
好天に恵まれたこともありますが、この本のお陰かも知れません。
(今の自分にかなり響くものがあったので
少し前にこのブログのタイトルも変えました。)

E・キューブラー・著 「ライフ・レッスン」 

「ライフ・レッスン」にはある否定的な出来事に対して人は最初にショックや怒りや憤りを感じ、嘆き、
次に取引をし、それから自己へのひきこもりなどのいくつかの共通の段階を踏む。
そしてその段階を経てうまくいけば
最終的にやすらぎと受容の段階がおとずれる、ということが書いてあります。
(物を無くした、とか単純な事柄でも当てはまりますが、
往々にしてそれは誰もが避けられない「死」についての話になります)
どんな出来事も自分を成長させるためのレッスンとして捉え、
その気づきを通して前向きに生きる(あるいは人生を終える)ことが出来る可能性を説く本です。
これまた自分で書く概略には自信がないので興味がある方は是非ご自身で一読を。
辛いことで悩んでいる方には特にお勧めです。
レッスンの例として挙げられているエピソードが死と向き合う事例ばかりなので
再発でショックを受けている時にこういう本を渡すのはどうかなあと
ちょっと悩みましたが杞憂だったようで
旅行中に3回も再読し、ページは傍線だらけになっていました。
結局、ロス女史の書いているように、
死を避けようとしているのは周囲だけの話で、
患者本人にとってはまさに直面した問題であり、
それについて語れる場を求めているんだなあと。
20年前はこんな素敵な本には出会えませんでした。
感謝。

私の人生の中でも最も宿題の多い夏です。