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米中間選挙後にウクライナ支援“打ち切り”も?トランプの岩盤支持層は熱烈なプーチン派、バイデンが急かす政治交渉での終戦=高島康司

2022-11-12 | 教材
マネーボイス
 

米中間選挙後にウクライナ支援“打ち切り”も?トランプの岩盤支持層は熱烈なプーチン派、バイデンが急かす政治交渉での終戦=高島康司

共和党のトランプ岩盤支持層である福音派の動向について紹介する。なんと彼らは熱烈なプーチン支持である。中間選挙でトランプ派の共和党が優勢になると、ウクライナ支援に大きな影響が出て来ることは間違いない。(『 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 』高島康司)

 

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ロシア軍のヘルソン市放棄と交渉の圧力

前回の記事では、日本では報道されているほどウクライナ戦争でロシアが負けているわけではない状況を紹介した。

日本ではロシア軍の損害が一方的に報道されるだけで、ウクライナ軍の損失は伝えられることはない。両者の損失を客観的に伝える軍事系シンクタンクの情報などを参照すると、実際に状況は日本国内で喧伝されるものとはかなり異なっていることが見えて来る。

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もちろん、ロシア軍が大勝利しているわけではない。ウクライナ軍とロシア軍の損害の大きさを比較すると、ウクライナ軍の損害の方がロシア軍のそれよりも約1.5倍ほど多いことが明らかになっている。このような状況が続くと、時間が経てば経つほどウクライナ軍の損耗はかさみ、戦い切れなくなる状況も想定される。

ウクライナ軍に大きな損失が出るなか、ウクライナにとっては大きなニュースがあった。

ロシア国防相ショイグとロシア軍総司令官スロビキンは、ドニプロ川東部へのロシア軍の撤退を発表した。これでドニプロ川西部にあるヘルソン市も放棄したことになる。これは、ウクライナにさらに4万6,000平方キロメートルの領土を流血なしに与えるということを意味する。

ロシア軍は撤退の際、これまで支配していた地域のほとんどの橋を爆破してウクライナ軍の進軍を遅らせ、ロシア軍はすでに東岸のスニフリッカを含むこの地域の3つの町に到達している。これからロシアは、ドニプロ川という自然の大きな障壁を利用してウクライナ軍の進撃を止めながら、ザポリジャー、ドネツク、ルガンスクに兵力を集中させるだろう。

この撤退がどのような経緯でなされたのか、多くの情報がある。先頃バイデン政権のジェイク・サリバン特別補佐官はキーウでゼレンスキー大統領と会談し、ロシアとの協議は行わないとするゼレンスキーの態度を改めるように促した。ロシアとの政治的な交渉に向けての一種の圧力とも受け取れるものだ。

さらにサリバン特別補佐官は今度はロシアに赴き、プーチン大統領の外交政策顧問であるユーリ・ウシャコフ、さらにニコライ・パトルシェフ安全保障会議書記とも会談した。その目的は、ウクライナ戦争のエスカレートのリスクを回避し、コミュニケーション・チャンネルをオープンにしておくことであり、ウクライナ戦争の解決について議論することではなかったとしている。だが、サリバンがゼレンスキーにロシアとの対話を促しているので、ロシアにも対話の提案を行った可能性が指摘されている。

その証拠に、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、ロシアがウクライナとの交渉を拒否したことはなく、「もちろん、現時点で生じている現実を考慮しながら」交渉する用意があると強調している。

こうした状況を見ると、ウクライナ支援に疲れ政治的な決着の可能性を模索するバイデン政権が、ウクライナがロシアとの対話のテーブルに着きやすくするため、少なくとも表向きは貴重な勝利をウクライナに与えた可能性も指摘されている。交渉の可能性を積極的に模索するロシアも、これに応じたとも考えられる。

つまり、今回のヘルソン市を含めたドニプロ川西岸からのロシア軍の撤退は、政治的な交渉が始まる最初のサインだったのかもしれない。少なくともそうした見方が、スペインの著名な軍事シンクタンク、「Ejercitos」などから出ている。

一方、ヘルソン州の戦線におけるウクライナ軍の死傷者は1万2,000人に到達している。これは死傷者が1,500人から1,700人のロシア軍の7倍から8倍の多さだ。ロシア軍のドニプロ川西岸からの撤退は、多大な損失を被っているウクライナ軍にとっては、願ってもないことだった。

米中間選挙とウクライナ戦争

さて、このように、水面下で政治的な交渉に向けての動きが進んでいる可能性があるなか、行われているのが米中間選挙だ。米下院、435議席のすべて、上院、100議席のうちの35議席が争われている。与党民主党の劣勢が伝えられるなか、下院は共和党が過半数を制する勢いで、上院では接戦が続いている。

今回想定されるのは、以下のいずれかだ。
(1)下院で共和党が多数派を奪還する一方、上院は民主党が多数派を維持する「ねじれ議会」(2)共和党が上下両院で過半数を握る「野党主導議会」

予算や重要政策を進めるには法案を成立させる必要がある。法案は上下両院で可決した後、大統領が署名して成立する。(1)と(2)のいずれでも、政権の意向で民主党が提案する法案審議は共和党の協力が不可欠になる。与野党が争う法案であれば協議が難航し、議会通過は見込めなくなる。

特に(1)の場合、財政規律を重視する共和党は民主党の「大きな政府」志向に批判的で、政府債務上限の引き上げに反対する見通しだ。政府閉鎖に陥る可能性も出てくる。

(2)では共和党が独自法案を通すことも可能になる。気候変動対策を優先する政権・与党が消極的だった、国産石油・天然ガスの増産を促す法案などが想定される。上院は幹部人事の承認権限を握っている。閣僚らが退任し大統領が後任を指名しても、共和党が妨害して主要ポストが空席となる恐れもある。

ウクライナ支援に変化か?

しかし、やはりなんといっても今回の中間選挙でもっとも大きな影響を受けるのはウクライナ支援だ。

一国主義的なトランプの影響力が強い共和党が上下両院で過半数を制すれば、「ウクライナには白紙のチェックは切らない」と下院共和党トップのマッカーシー院内総務は発言している。共和党内には、アメリカの安全保証とは直接関係のないウクライナに過剰な支援を与えることに消極的な意見が多い。ウクライナ支援の資金は国内問題の解決に充てるべきだという意見だ。

中間選挙の数日前、共和党から「ウクライナへの軍事支援にNOと言え」と題するパンフレットが配られている。

共和党パンフレット

共和党パンフレット

このパンフレットには次のようにある。「私たち共和党は、国境のことだけを考えます。ウクライナは米国が使ったドルをすべて説明しなければならない」。

このパンフレットを見ると、共和党内がいかにウクライナ支援に後ろ向きであるかがよく分かる。

プーチン支持を明確にする福音派

このように、共和党の特にトランプを支持する層がウクライナ支援に消極的である実態は日本でもよく伝えられている。

しかし詳しく調べると、共和党内部にはそんなレベルではなく、はっきりとプーチン支持を表明する層が存在しているのだ。こうした層の存在は日本ではほとんど報道されることがないので、その存在と彼らの見方を知ることは大変に重要だ。

このプーチン支持を表明している層とは、キリスト教福音派である。周知のようにこれは規模の小さな層ではない。全米で8,000万人の信者(全米の人口の4分の1程度)がおり、共和党内のトランプ岩盤支持層の中核になっている。

トランプが2020年の大統領選挙を覆そうとし、1月6日の暴動に至り、その後、共和党がクーデターの試みを軽視するようになって以来、共和党の主流と党内の過激派の区別がますますつきにくくなっているのが現状だ。もし共和党が議会を制した場合、その真意が問われるのは、今年のロシアの侵攻からウクライナを守るために、米軍の支援を継続するかどうかを決めるときだろう。

共和党が支配する議会では、ロシア侵略に反対しバイデン政権の対ウクライナ軍事支援を支持する伝統的なタカ派共和党議員と、ロシアのプーチン大統領を崇拝しアメリカの対ウクライナ支援を打ち切ろうとするキリスト教福音派が、対ウクライナ支援に関する投票で峻別される可能性がある。ウクライナに関する投票は、伝統的な共和党がまだ影響力を持っているかどうか、そして共和党内の福音派の台頭に立ち向かう意志を持っているかどうかのバロメーターとなる。

キリスト教福音派は、共和党のなかで驚くべき動きを見せている。彼らは政教分離を信じない神権主義者で、アメリカは「キリスト教」国家として建国されたので、その原点に戻る必要があると主張する。彼らは西洋の世俗主義文化を軽蔑し、白人の人口減少を恐れ、フェミニズム、同性愛、中絶の権利、さらには個人主義を、より伝統的で階層的な社会と対立する近代的概念として深く嫌悪している。

プーチン大統領はキリスト教原理主義の戦士であり、ウクライナへの侵攻は世界的な反動左派を粉砕するためのキャンペーンの一歩であると信じるようになったのである。

福音派のプーチン崇拝

ウクライナへの援助をめぐる党内抗争は、共和党の外交政策の主導権をめぐる長い戦争の最初の戦いとなるかもしれない。

キリスト教福音派は、プーチンをリベラルな世俗主義に対する強力な右派の反撃のリーダーであり、彼らのキリスト教信仰の保護者であるとみなしている。プーチンは、ロシア正教会を国教化し、ロシア国内で文化戦争を繰り広げ、特に反同性愛やその他の「家族保護」とされる施策によって、アメリカや他の西側諸国のキリスト教原理主義者からの強い支持を得てきた。

現在、共和党のキリスト教福音派の多くは、プーチンがウクライナの親欧米政権を潰して戦争に勝利することを公然と望んでいる。彼らはロシアの情報を受け入れ、ウクライナに関するモスクワの情報をしばしばそのまま流している。

たとえば共和党のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員は、議会で最も声高に福音派のイデオロギーを主張する一人であり、公の場で公然と主張する数少ない人物の一人である。今年初め、彼女は白人至上主義団体が開催したイベントで演説し、観衆の多くが「プーチン!プーチン!」と唱和した。彼女も「プーチン!」と叫んだ。

先週、グリーンはアイオワ州の集会で、共和党が政権を取れば議会はウクライナへの資金援助を打ち切ると話した。「共和党の下では、ウクライナに一銭も行かない 」と言った。

一方、アリゾナ州選出の上院議員、ウェンディ・ロジャーズは、2月にウクライナのゼレンスキー大統領は「ソロスとクリントンのためのグローバリストの操り人形」だとツイートしている。

今年の選挙戦を通じて、共和党の多くの下院議員候補は、キリスト教福音派に対する一種の政治的な賛同として、ウクライナへの軍事支援の継続に反対を表明し、ウクライナにおけるプーチンの勝利を公然と擁護し、ロシアの側にいることを示した。

オハイオ州の上院議員候補であるJ.D.バンスは今年初め、「正直に言うと、ウクライナがどうなろうと知ったことではない」と述べた。「この状況ではウラジミール・プーチンが悪者だ」と言いながらも、「自国にとって最終的に収穫が乏しいと思う長期的な軍事紛争に資金を提供することはできない」と主張した。

トランプ前大統領は現在、共和党のキリスト教福音派の勢力が拡大していることを認識し、自身の集会などで親プーチン、反ウクライナのレトリックを使用している。彼はプーチンがウクライナに侵攻したのは「賢い」ことだと主張している。

プーチンは今、ウクライナの大部分を独立させたと言っているわけです。私は「なんて賢いんだ」と言ったんだ。そして、彼は平和維持軍として入っていくつもりだ。それが最強の平和部隊だ」とトランプは言った。

トランプとともに、「フォックス・ニュース」の解説者、タッカー・カールソンも親プーチン、反ウクライナの論調を用い、アメリカの選挙キャンペーン中にロシアの主張する情報を提供してきた。カールソンとプーチンの間には、フィードバック・ループが形成されている。カールソンは「フォックス・ニュース」でロシアの主張をおうむ返しし、ロシアの国営テレビ、「RT」は、カールソンの主張を放映している。

共和党が過半数になればウクライナ支援は削減

共和党の議会指導者たちは、伝統的な共和党員とキリスト教福音派の脆弱な連合をまとめようとして、なぜ多くの候補者がウクライナへの援助に反対しているのかについて、積極的に語ってはいない。彼らは、共和党内でキリスト教福音派が台頭していることを話したがらない。

その代わりに、ウクライナへの援助継続への反対は、アメリカの孤立主義の高まり、予算の制約、来年の不況の可能性から生じていると示唆している。

ケビン・マッカーシー下院議員は、共和党が支配する下院ではウクライナへの援助は削減されるだろう、なぜなら国内に多くの経済問題がある以上、政府は何十億ドルも費やす余裕はない、と主張している。最近のインタビューで、「国民は不況にあえぎ、ウクライナに白紙委任状を出すことはないだろう。そうしないだけだ。タダの白紙委任ではないのです。そして、バイデン政権が国内でやっていないことがあります。国境警備をしないことで、人々はそれを重く見るようになる」と述べている。

共和党のタカ派、伝統派を代表する上院少数党首のミッチ・マコーネルは、マッカーシーのウクライナ支援打ち切りの警告に対して、共和党が支配する上院では、バイデン政権が提供してきた以上の軍事支援を実際に要求するだろうと主張した。共和党の上院は、「必要な兵器をタイムリーに提供し、ウクライナへの同盟国の支援を強化する」ことを求めるだろうと述べた。

マッカーシーとマコーネルのウクライナをめぐる議論は、ホワイトハウスを挟んで、上下両院で激しい争いが繰り返されることになりそうだ。

ウクライナ支援をめぐる党内抗争は――

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ウクライナ支援の縮小と政治交渉

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